第3極はまるで馬糞の川流れ    杉浦正章
■トップが皆戦意喪失で失速
 
第2次大戦末期ニューギニア戦線などで米軍の猛攻を前に部隊長らが「各自自活して生き延びよ」と事実上の日本軍解体を涙ながらに宣言しているが、いまそれが第3極で起きている。

生活の党代表・小沢一郎がついに所属議員らに「好きにしていい」と事実上の解体を認めた。みんなの党代表の浅尾慶一郎も「手法の違いによる解党ということだと思う」と変な理屈を付けて解党を宣言した。維新代表・橋下徹も出馬を断念した。

物語るものは何か。第3極とはしょせんはマスコミに踊らされた風に漂う浮き草に過ぎなかったということだ。今のところ野党には第3極の軒並み失速という事態が起きて遠心力のみが働き、求心力が働かない。

このバラバラの事態を政界用語では「馬糞の川流れ」という。「せめて牛糞で固まりたい」と思っても、「この指止まれ」と手を挙げるカリスマと求心力のある指導者がいない。

一昔前なら小沢がそれであったが、今は落ち目の三度笠だ。しかし小沢の動物勘というか予知能力はすごい。既に9月の段階で「再増税の判断をする前に騒ぎがおきる」と臨時国会終盤の「消費税政局」を予測しているのだ。

おそらく小沢は各種経済指標を見て7−9月のGDPが壊滅的になると予測、臨時国会の最中に政局に持ち込む“最後の決戦”の作戦を編みだした。しかし解散までは予想していなかったと見えて「野党側が候補者を決めて走らせるには、半年は必要だ。そんなに時間はない。

来年の4月の統一地方選挙の後ではもう遅い」と、早期に野党が民主、維新を中心に収れんして、小沢の生活の党も民主党と合併して、野党2党が候補者を一本化する作戦を明らかにしていた。その場合に候補者を調整出来るのは自分しかないと思っていたようで「お役に立てれば、調整する。要するに実務だ」と意欲的であった。

実際に、小沢は安倍が消費増税延期を決断したことを理由に「消費税が延期になれば、わだかまりはないはず」と親しい関係にある参院民主党のドン輿石東を通じて、民主党に打診をした。

民主党を中心に第3極を糾合して新党を結成、自民党に対抗しようとしたのだ。しかし、同党幹部は「とんでもない」と拒絶。“小沢アレルギー”は全く消えていなかったのだ。

これが冒頭の「好きにしていい」との投げ出し発言につながるのだ。本人は気付かないだけで、もう小沢の活躍出来る時代ではなくなっていたのだ。

一方で、もう1人第3極復活の鍵を握っていたのが維新代表の橋下徹だ。橋下が衆院選に立候補すれば、維新に「微風」くらいは吹いたかも知れない。

当初橋下は「公明党にやられたので、このままでは人生を終わらせることはできない」と事実上出馬を宣言していた。公明党の佐藤茂樹が出馬する大阪3区で出馬する構えであった。

大阪都構想を巡って決裂した公明党への私怨が募ったのだが、結局勝てるかどうかの自信が持てなかったのだろう。24日朝の街頭演説で不出馬を表明した。橋下が出馬すれば少なくとも維新は固まった。

しかし共同代表・江田憲司では「風」は吹かない。逆に風で当選した維新の1年生議員らに動揺が走り、既に10数人が民主党からの出馬を打診しているといわれる。

これに対して江田は、22日の講演で、選挙後に民主党の一部勢力と合流を目指して協議を始める考えを示した。「信頼関係をつないできた民主党の閣僚経験者と投票日の夜から話をし、自民党に対抗し得る新しい一大勢力をつくりたい」と述べたのだ。

閣僚経験者とはかねてから橋下らとの親交がある前原誠司や細野豪志を念頭に置いている。しかし普通は選挙前に新党結成を打ち出すのだが、あえて選挙後としたのはなにやらいぶかしい。選挙後では勢いも出ない。結局、離党を食い止めるのに懸命の発言なのだろう。

一方みんなの党の浅尾も、さじを投げた。もともと渡辺喜美という強烈な個性で持ってきた党であり、渡辺がつぶれては、ひ弱なインテリの浅尾では政治家集団を維持するのは無理だったのであろう。

渡辺の個人商店を番頭が経営しても限界があるのだ。こうして第3極は次々に「自活して生き延びよ」になってきた。風で当選してきた議員らはそよ風程度の逆風でも倒れるのだ。

ところで焦点は、民主党代表・海江田万里の動向だ。この馬糞の川流れ現象を、せめて牛糞にできるかどうかは全て海江田の力量にかかっているといっても過言でない。

小沢の言うように新党結成が一番の訴求力があり、事実前原、細野らは衆院解散前、海江田に維新の党などとの新党結成を求めたが、応じなかったと言われている。

受けていれば橋下も立候補した可能性がある。民主党にとっての不幸は総選挙惨敗を受けて、有能な政治家が代表選に出馬することを尻込みし、二戦級の海江田を党首にしてしまったことだ。

夏に「海江田降ろし」が起きたが、不発に終わった。せめて維新などとの間で選挙区調整を進めなければならないが、どのくらいの選挙区で候補者調整ができるかは不明だ。

民主、維新は約30選挙区で競合しており、この調整が焦点となるが、2日の公示が迫る中で強力なリーダーが存在しないということは痛い。(頂門の一針)

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| 杉浦正章 | 16:43 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







ますます社長国会招致が必要となった    杉浦正章
■謝罪の背後に開き直りの欺瞞姿勢
 
ついに朝日新聞が報道史に残る2大誤報で謝罪し、社長が辞任することになった。これだけ世上を惑わしたのだから当然である。

しかし、社長と編集担当の記者会見から見えてくるものはなお残る欺瞞(ぎまん)性である。慰安婦強制連行問題では、「広い意味での強制性があった」と問題すり替えの姿勢を維持して開き直った。

「逃げた」と世界中に日本の恥をさらした原発撤退報道は、本質が反原発のキャンペーンであるにもかかわらず、「吉田調書の評価を誤った」と単なる誤報で逃げを打った。2大誤報はそれぞれ第三者委員会が調査すると言うが、これも国会の追及逃れのための逃げ口上だ。

誤報によって受けた国益の損失は甚大なものがあり、国会はあらためて社長・木村伊量を招致して、問題の解明を図る必要が生じてきた。

地方創生相・石破茂はさすがに頭がいい。マスコミの在り方の問題なのにポイントの掌握力が抜群だ。11日のBS日テレの「深層ニュース」で、社長記者会見の問題点を鋭く指摘している。

石破はまず社長が吉田調書で「読み取る過程で評価を誤り、命令違反で撤退という表現を使った」と弁明した点について、「読み間違ったと言うが朝日新聞はどれだけの国語能力を持っているのか。どこにも『逃げた』とは書いてないのだから、どう見ても間違えようがない。国語力が足りないのかそれとも他の理由なのか」と首を傾げた。「朝日は相当の国語能力がないと採用されない」とも述べた。

石破は、もっと深いところに狙いがあると踏んでいるのであろう。筆者があえてそれを言えば、吉田証言誤報は、朝日新聞の反原発キャンペーンの一環であり、「結果としてチェックが足りなかった」(編集担当・杉浦信之)などというレベルのものではないということだ。

朝日は大方針のもとに記事を組み立てる“習性”があり、調書に「逃げ出した」などと書いてなくても、「逃げ出した」にしてしまうのである。問題の根幹は朝日の左傾化編集方針にあるのだ。

慰安婦強制連行について石破は「朝日が誤りに気づいたのはいつだろうか。社長は『遅きに失した』というが、今気付いたならしょうがない。しかしかなり前から指摘されていたことではないか。それが何で今になったかよく分からない」と指摘した。

済州島における強制連行の虚報は「吉田清治というペテン師」(首相・安倍晋三)の“小説”をうのみにした1993年の河野談話直後からインチキ説が指摘され始めている。それにもかかわらず朝日は36年間にわたりペテン師の記事を“あえて”真に受けた形にして16回も書き続けたのである。

そこに時の自民党政権を貶(おとし)める意図を感じない政治家はいまい。石破は朝日の狙いの“深さ”を示唆しているのだ。

さらに石破は木村が「読者におわび」を繰り返したことについて「おわびは読者だけか。それより名誉を傷つけられた国と、日本の尊厳、国際社会に与えた影響はどうなるのか。私の感覚からすると違和感がある」と強調した。もっともである。

解約続出のようだから社長が読者を大切にする気持ちは分かるが、吉田調書の誤報はフクシマの英雄を唾棄すべきセオル号船長なみだと世界に報じられ、命がけでフクシマを押さえ込んだ職員らの功績を無にした。そればかりか日本人の尊厳まで傷つけた。

慰安婦強制連行では、国連の無能な委員会が真に受けて「性奴隷」の表現でいまだに日本を貶め続けている。謝るべきは朝日が寄って立つところでもある国家の尊厳毀損に対してでなくて何であろうか。

石破は指摘していないが、さらなる問題は記者会見で杉浦が強制連行取り消しについて「虚偽だろうと取り消した。しかし、慰安婦が自らの意思に反した、広い意味での強制性があったと認識している」と強調した点である。

これは8月5日に紙面で強制連行の誤報を取り消しながら、「自由を奪われた強制性があった」と問題をすり替えた“路線”を継承している。社内で「記者会見でここだけは譲るな」という駄目押しがあったことを物語っている。

朝日新聞慰安婦報道の本質は、国による強制連行があったかどうかの一点に絞られるべきものであり、戦時慰安婦制度の一般論にすり替えるのはおかしい。自らの意志に反したかどうかは個個の慰安婦の“思い”の部類の問題である。戦時における世界中の軍隊が共通に抱える問題であり、日本に特化して語るべきものでもない。

朝日はこれらの問題を第三者委員会に丸投げして「過去の記事作成、訂正に到る経緯、日韓関係始め国際社会に与えた影響について徹底して検討していただく」(木村)というが、そのような問題は第三者委員会で行わなくても社長自らが判断すれば良いことだ。

辞任の時間稼ぎと、国会への招致を避ける思惑があるとしか考えられない。招致されても「第三者委員会で検討中」と言い逃れができる。国会は毎日新聞などの言論弾圧の指摘などに惑わされるべきではない。

先に書いたように国家として直接被害を被った「言論災害」が本質なのであり、国会は社長以下幹部を招致して問題を解明すべきである。(頂門の一針)

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| 杉浦正章 | 08:59 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |







朝日の「慰安婦誤報」は確信犯的である    杉浦正章
■国会は検証に乗り出すべきだ
 
一報道機関の誤報がこれほど国の信用を傷つけ、おとしめた例があっただろうか。誤報に基づき強制連行を詫びた河野談話が作られ、誤報に基づき「性的奴隷制度」と断定した国連報告が発表され、誤報に基づき慰安婦像が米国各地に建造されている。

しかも朝日新聞の報道は意図的であり恣意的であり、故意に史実を曲げた誤報であった。

その誤報を5日と6日の紙面で認めながら朝日はなお「自由を奪われた強制があった」などと主張、強制連行の本質を、慰安婦一般の問題にすり替えようとしている。まさに確信犯的誤報の実態を露呈していることになるが、「読者の皆様」への記事取り消しですむ話だろうか。

国際的に取り返しのつかない問題に発展しており、青少年の日本国民としての自信喪失ダメージは大きい。

自民党幹事長・石破茂が国会での検証を唱えているが、是非実現してもらいたい。国際的な発信も不可欠だ。

大誤報の核心は2つある。1つは1982年から文筆家・吉田清治の「済州島で慰安婦狩りをした」とする生々しいねつ造記事を繰り返し16回にわたって報道してきたが「吉田氏の証言は虚偽だと判断し記事を取り消す」としたことだ。

自民党総裁・安倍晋三が2012年の党首討論で「朝日の誤報が吉田清治という詐欺師のような男の本とともにまるで事実のように広がった」と指摘したとおりの結果となった。“詐欺師”に踊らされたか、分かっていて利用したかだが、これはあきらかに両方であろう。

途中で“詐欺”と分かりながら32年間も訂正しないでおいたことからも明白だ。

もう1つは、もともと関係のない工場などに動員された「女子挺身隊」を「慰安婦」と断定して繰り返し混同した記事を掲載したことだ。

これについて朝日は、「当時は、慰安婦問題に関する研究が進んでおらず、記者が参考にした資料などにも慰安婦と挺身隊の混同がみられたことから、誤用した」と誤報の経緯を説明した。

しかし歴史を少しでもかじった者なら女子挺身隊が勤労動員であり、「研究が進んでいる、いない」の問題ではないことが分かる。慰安婦に結びつかないことは誰でも分かる事であり、「挺身隊」という名前だけで卑しい想像を働かせた記者と、その記事の掲載を認めた編集幹部の意図的姿勢はまさに確信犯的である。

こうして報道史上最大の誤報事件が確定したが、問題は読者へのおわびで済む領域を越えている。朝日の報道を真に受けた国益毀損の事態をどうするかだ。

朝日は首相・宮沢喜一訪韓の直前に「挺身隊の名前で連行された女性は8万とも20万人ともいわれる」と報じたが、対韓外交に大きな影響を及ぼした。宮沢内閣は浅慮にもまともに朝日の報道に乗ってしまったのだ。

そして1993年の官房長官・河野洋平談話へとつながるのだ。河野談話は「強制連行は確認できない」が基調であったが、河野は愚かにも記者会見で強制連行の事実があったかと問われ、「そういう事実があった」と述べてしまったのだ。

河野談話は先に政府が実施した検証により首相や大統領まで加担した「日韓合作」の“すりあわせ”があったことと、その隠ぺい工作が明らかになった。これにより河野談話は事実上空文化の傾向を強めたが、朝日の誤報は同談話が紛れもなく空文化することを物語っている。

さらに朝日の誤報は96年の国連人権委員会のクマラスワミ報告にも引用された。無能な3流国際官僚で形成されている国連人権委員会のクマラスワミ特別報告者(スリランカ)は、報告書で、慰安婦制度が国際人道法に違反する「性的奴隷制」だと断定し、日本政府に「法的責任と道義的責任」があると主張したのだ。

この見解は韓国の米国内でのプロパガンダに使われ、日本軍が慰安婦を強制連行しレイプし続けたかのような誤解が世界中に広がる原因となった。政府は国連に対して報告書撤回と陳謝を要求すべきである。高額な分担金を負担していながら、国連のロビー工作は昔からなっていない。

石破が朝日の“誤報声明”について「非常な驚きを持って受け止める。いままでの報道は一体何であったのか」と指摘すると同時に「その検証は国益のためにも必要であり、検証を議会の場で行うことも必要」と述べている。

野党は共産党などが慰安婦追及の先頭に立っていたが、論拠が崩れて追及どころではなくなった。民主党や次世代の党などにも朝日批判は強く、国会での検証で与野党がまとまる可能性もある。

朝日新聞関係者を招致して問題の解明を国会中心に行う必要があろう。朝日は秘密保護法や集団的自衛権の行使をめぐっても無責任な“風評”報道を繰り返しており、慰安婦誤報はその編集方針の一角が現れたに過ぎない。

国際社会に生じさせた誤解は甚大なものがあり、本当に反省するなら、国会の検証に協力し、国連や関係国に向かっても「おわびと訂正」を行うべきであろう。(頂門の一針)

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| 杉浦正章 | 09:30 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







岸田はケリーに「釈明」する必要は無い    杉浦正章
韓国による対米宣伝が効いたと見えて、米国務長官ケリーが日朝接近におかんむりである。来週急きょ外相・岸田文男が訪米して釈明することになったが、よい機会である。岸田は日米韓の結束を乱しているのは、習近平の手のひらで踊っている大統領・朴槿恵であることを指摘すべきである。

とりわけ習・朴会談で日本が行おうとしている集団的自衛権の行使容認に一致して反対した点を取り上げ、朝鮮半島有事が日本の後方支援なしでは絶対になり立たない構図にあることを強調すべきだ。そして、朴の中国への軍事的接近に歯止めをかけるべきである。

米国は拉致問題について国務省のサキ報道官が5月の段階で、日本政府から事前に連絡があったことを明らかにしたうえで、「透明性のある方法で拉致問題を解決するため、日本の取り組みを支援していく」と好意的な発言をしていた。外務省が連絡を密にしていた証拠である。

ところが15日になって、7日の岸田とケリーの電話会談でケリーが「日本だけが前に出るのは望ましくない。北朝鮮の核やミサイルの問題を巡る日本とアメリカ、韓国、3か国の足並みが乱れかねない」などと懸念を表明したことが明らかになった。

ケリーはさらに「日米は同盟国だ。北朝鮮との交渉については透明性をもって、事前にきちんと相談してほしい」「首相が訪朝することを検討する場合についても、事前通告ではなく、相談してほしい」とクギを刺したという。

この米側の急変はどう見てもつじつまが合わない。どうも背景には韓国の対米工作、朴得意の「言いつけ外交」があったと見られている。岸田は、拉致問題の解決が日本の悲願であり、国務省とも連絡を取った上で拉致問題を進展させてきたことや、「拉致、核、ミサイル一括解決」の方向に変わりがないことを説明することになろう。

制裁解除も日本独自のものに限られていることを強調する。首相・安倍晋三の訪朝についても未定であることを説明することになろう。さらに加えて説明すべき点は、2008年以来中国主導で行われてきた6か国協議が、中朝関係の冷却化で実現が不可能である点を指摘し、拉致問題解決が朝鮮半島の緊張緩和の突破口となり得ることを強調すべきである。

加えて最重要の問題は、朴槿恵の対中接近で中国が日米、日米韓分断に成功しつつある点を指摘すべきであろう。とりわけ集団的自衛権行使容認の閣議決定に関して、中韓首脳会談で「一致して憂慮を表明した」と大統領府が発表したことを看過すべきではない。

これは経済関係で切っても切れない関係にある中韓が、安保問題での協調に踏み込んだことを意味するからである。中韓は共同軍事演習まで行う予定であると言われ、明らかに北東アジアの安保構造が変化の兆しを見せていることに他ならない。

北との関係が悪化しているとはいえ、中国が北を見捨てることはあり得ない。中国は国境まで米国の影響が来ることは避ける戦略を基本としている。

金正恩もできるできないは別として、核ミサイルの開発で米国をどう喝しつつ、朝鮮半島を北のペースで統一する機会をうかがうのが基本戦略だ。従ってミサイル発射も、核開発もやめないだろう。

こうした中で朴が、集団的自衛権の行使という「日米同盟の強化」を批判する限り、韓国は対中軍事接近しか道がなくなることに思いが到らないのだ。

集団的自衛権の行使容認を習と一緒になって批判することの危険性が分かっていないのだ。日本は、朝鮮半島有事の際には、決定的に重要な戦略上のポジションを占める。

国連軍の後方司令部は座間にあり、米海軍、空軍は日本の基地から発進するしかないのだ。その日本の集団的自衛権の行使を批判するのは、たこが自分の足を食らうのに等しい愚挙なのだ。このような安保構造は朴槿恵の理解能力の範疇を越えるのだろう。

おそらくケリーもこの構図への深い理解に到っていない可能性がある。言われているように韓国の“工作”に乗って、拉致問題での懸念を表明したとすれば、余りに発言が軽い。岸田は釈明に追われるのではなく、北東アジアにおける米戦略が、朴の対中軍事接近で危機的状況にあることを強調して、米国が対韓圧力を強めるときであることに思い至らしめる必要がある。(頂門の一針)

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| 杉浦正章 | 20:47 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







明暗を分けた維新の「分党」   杉浦正章
■石原新党は「痛快」、橋下新党は“負の合流”

橋下新党が37人にとどまり、石原新党が23人に達したことの意味は、国政未経験の維新共同代表・橋下徹の遠隔操作政治の限界を如実に物語っている。

7月の新党結成を目指す結いの党の江田憲司の人気もぱっとせず、橋下とともに“負の合流”の色彩が濃厚だ。

焦点は「海江田降ろし」が始まっている民主党の動向に絞られる。既に元代表・前原誠司ら保守系が集団的自衛権容認論で執行部を揺さぶっており、波乱含みだ。海江田が党再建路線でまとめられるかどうかの正念場にかかろうとしている。
 
4日新党に向けて集まった人数が22人と発表した石原は、当初10人程度とみられていただけに得意満面で、「非常に痛快な思いだ。身命を賭して、本当の保守、新しい保守というものを実行していきたい」と高らかに“勝利宣言”をした。

安倍政権との距離については「徹底した是是非非」と表明したが、基本的には一段と政権寄りの姿勢を強めるものとみられる。

石原は5月28日に分党を決めた名古屋会談で橋下と別れ際に「ボクは君が好きだよ」と聞いている方が恥ずかしくなるような発言をした。「別れても好きな人」とやゆされたが、その実態は「別れても嫌な人」であるらしい。

言葉とは裏腹に多数派工作は激化の一途をたどり、石原側が数を伸ばして、橋下側が食われた形となった。当初橋下は維新と結いを核としてみんなや民主を巻き込み100人規模の政党を目指していた。

しかしそれが困難と分かると結いとの合併で55人の民主を抜いて62人の野党第1党達成に方針を転換した。ところが結いの江田が主張する「自主憲法制定路線の排除」に、石原が強く反発して分党となった。

石原は結いとの合流について「支持率1%の政党が1%未満の政党と一緒になっても大きな存在にはなり得ない」と止めにかかったが、橋下は聞く耳を持たなかった。

石原はテレビで「好きな人」であるはずの橋下について「橋下君は『ふわっとした民意を重視する』と言うがこれは危険なポピュリズムだ」とあからさまに批判するに到った。石原は「永田町の政治常識を大阪の人が持ち得ないもどかしさ」と形容して、橋下と共同の党運営の難しさを漏らした。

石原にしてみれば、政界で人気のない江田と合流しても、無意味である事が分からない橋下が「もどかしい」のである。

一方で橋下は「夢よもう一度」の思いが消えない。しかし金科玉条とする大阪都構想は政界ではまともに相手にされず、急きょ市民の民意をバックにしようと狙った市長選も投票率の激減というアッパーカットを食らって失敗。

それでも野党再編という「数合わせ」だけで、結集を図ろうとしているのは、ポピュリストの“さが”であろうか。結いの江田は石原が「昔の社会党と同じ」と形容するように、その主張はリベラル傾向が強い。

従って維新とは憲法観、集団的自衛権、原発再稼働などをめぐってずれを見せており、今後石原との対立以上の波乱要因を抱えるかも知れない。総じて言えば極東環境の急変による社会全体の右傾化の流れが、石原新党を増やした。

一方民主党は、当面前原の動きが焦点だ。前原は橋下との接触を繰り返し、再編志向が強いが、その目指すところはあくまで民主党中心の再編であり、数人を引き連れて維新と合流することは厭だろう。

ポスト海江田の候補とされる元代表・岡田克也も党再建論であり、分裂を選択する方針をとらない。当面前原らは集団的自衛権の限定容認で海江田を突き上げる方針だ。

海江田は左派中心の執行部を意識して、「集団的自衛権は憲法改正によるべき」だとして反対の姿勢を強くしている。対立は先鋭化しており、海江田の力量でまとめきることは難しいとの見方が強い。

激突のコースをたどれば、それがきっかけで何が起きてもおかしくない状況に到りつつある。橋下新党ペースでの再編は難しいにしても、統一地方選挙や国政選挙に向けて一強自民党に対する多弱の再編の試行錯誤が続くだろう。

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| 杉浦正章 | 07:47 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







アーミテージ“変節”はテレ朝の曲解と誤報   杉浦正章
■左傾化メディアの「自己都合解釈」の破綻
 
徒然草第百九段に「木登りの名人と呼ばれている男が、弟子を高い木に登らせて小枝を切り落としていた。弟子が危ない場所にいる時には何も言わず、軒先まで降りてきた時に、『怪我をしないように気をつけて降りて来い』と声をかけた」との教訓話がある。

知日派の元米国務副長官リチャード・アーミテージの幹事長・石破茂に対する発言はまさにこれだ。集団的自衛権の容認は着地に気をつけて実現させて欲しいということだ。

テレビ朝日の報道ステーションが鬼の首でも取ったかのようにアーミテージの「変節」を報道しているが、誤報に等しい曲解である。

その証拠にオバマは読売との単独インタビューで集団的自衛権の行使容認に向けた安倍内閣の取り組みを全面支持どころか絶賛する考えを表明している。

馬鹿な民放テレビは無視したいところだが、視聴率断トツの番組であり、影響力が大きいからあえて反論する。

一瞬同テレビを見ていて、オバマ来日を直前にして、何事が起きたかと感じた人も多かったのではないか。キャスター古舘伊知郎が「集団的自衛権容認のアーミテージが変わった」を連発して、その「変わった」を軸に報道番組が構成されていたからである。

内容はまずアーミテージが「集団的自衛権の憲法解釈変更は急がなくてよい。まず経済を優先すべきだ」と発言したと報道。

これに追い打ちをかけるように幹事長・石破茂の側近なる者が「アメリカは何が何でも日米防衛協力の指針(ガイドライン)を年内に改訂しようとは思っていない。

それを理由に議論を急いで周辺諸国との緊張を生むことの方が望ましくないと考えている」と発言したことを紹介している。

加えて名前も聞いたことのない米研究機関の研究員らの「尖閣で紛争が起きても大統領はウクライナでプーチンに対応したのと同じぐらいの行動しかしない」と言った発言を次々に紹介。まるで米国が集団的自衛権容認不支持に回ったかのような報道を展開した。

古舘はワシントン特派員の新堀仁子を呼び出して同調を求めたが、さすがに新堀は違った。「変わったように見えるが基本的には変わっていないのではないか。アーミテージは安全保障の専門家だから解釈変更大歓迎、大賛成だ」と正反対の見方を示した。

この結果、番組の構成がにわかにぐらついたが、報道の基調は他の報道機関の取り扱いをみれば明らかに大誤報だ。代表例としてNHKの報道を見れば、アーミテージは「日米同盟の強化のために集団的自衛権の行使容認は必要だ」と述べ、支持する考えを伝えた。

そのうえで、アーミテージは「安倍政権は、いわゆるアベノミクスなど経済政策の成功による高い支持率に支えられている。強い政権基盤を維持するためにも、まずは経済政策に力を入れ、着実に安全保障の強化を進めてほしい」と述べたというのだ。これが正しい認識だろう。
 
まさに左傾化メディアの「自己都合解釈」が破綻したことになる。日米首脳会談では報道ステーションとは逆の流れになると見ておいた方がいい。

アーミテージは日頃から「アメリカが関与しない限り太平洋は中国の湖になってしまう」と危機感を募らせており、「いかなる領土も日米安保条約の対象になることを中国は認識すべきだ」と中国に警告。

2012年のアーミテージ報告では強い絆で結ばれた「対等」な日米同盟の必要性を説き、「集団的自衛権の行使や PKOにおける武器使用条件の緩和、自衛隊海外派遣の促進」などを日本に要望している。そのアーミテージが変節はあり得ない。冒頭述べたように着地に気をつけてと言いたかったのだ。

オバマ政権の対応は読売とのインタビューが鮮明に報じている。オバマは、中国が挑発行為を続ける沖縄県の尖閣諸島について「日米安全保障条約第5条の適用範囲内にある」と述べ、歴代大統領として初めて安保条約の適用を明言した。

集団的自衛権の行使容認について「国際的な安全保障に対するより大きな役割を果たしたいという日本の意欲を、我々は熱烈に歓迎している」と述べ、「安倍首相を称賛する」とまで語っている。

日米首脳会談では首相・安倍晋三の集団的自衛権解釈変更への取り組みをオバマは歓迎し、年末の日米防衛協力の指針(ガイドライン)見直しを着実に行うことを確認するのが大きな流れだ。

それにつけても石破の側近のブリーフにはバイアスがかかっている。官邸主導型政治への不満が露呈したともとれなくもない。しかし、ここで安倍に反旗を翻したかのように受けたられることのマイナスへの配慮がまったく欠けている。こんな側近が居るようでは石破の将来への展望もおぼつかない。(頂門の一針)

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| 杉浦正章 | 08:21 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







習の“禁じ手”でチャイナリスクが現実に    杉浦正章
■船舶差し押さえで日本企業の“萎縮”は確実
 
中国の裁判所による商船三井の大型船舶差し押さえは、共産党政権が経済に介入する「チャイナリスク」がまざまざと姿を現したことを意味する。

明らかに中国国家主席・習近平は“禁じ手”を使って日米首脳会談への揺さぶりという実力行使に出た。民間をけしかけた「訴訟ー勝訴ー差し押さえ」の構図は、今後日本との経済関係において「負のスパイラル」として浮上、作動し続ける危険性を帯びている。

既に日本企業の対中投資は減少の傾向をたどっているが、実力行使に対抗するには日本企業が自由主義経済とは何かを中国政府に“教育”するしかない。もう中国への資本移転は当分やめることだ。

日本政府のとらえ方は至極当然である。中国は72年の日中共同声明で戦争賠償請求権の放棄を表明した。その代わり日本側は対中経済支援を約束し、その約束通りに政府開発援助(ODA)や技術協力を展開した。

これまでに有償資金協力(円借款)を約3兆1,331億円、無償資金協力を1,457億円、技術協力を1,446億円など総額約3兆5000億円以上のODAを実施した。

有償資金協力(円借款)により総延長5,200キロメートルもの鉄道が電化され、港湾分野においては1万トン級以上の大型バースが約60か所整備された。

中国の経済成長はまさに日本の援助によって成し遂げられたものであり、賠償放棄の元は国家全体として十分すぎるほど受け取っているのである。

官房長官・菅義偉が船舶差し押さえについて「日中国交正常化の精神を根底から揺るがしかねない」と批判したのは当然である。さすがに中国外務省は報道局長・秦剛が「普通の商業的な契約トラブル」との見解を示してトーンダウンに懸命だ。日本国内にはこれをみて「司法の勇み足」などという見方が生じているが、甘い。

中国における司法とは共産党独裁政権の指揮下にあるのであり、党中央の方針に沿うことを使命とする特殊機関である。したがって明らかに習近平指導部の方針を受けたものと解釈すべき局面だ。

つまり政権の政治的意図が十分うかがえるものである。一党独裁体制とは、反日教育をして反日デモを操り、今度はこれまで抑えていた国民による戦争賠償請求権裁判をけしかけることができる体制であり、民主主義国の普遍的な価値観を当てはめることは出来ないのだ。

さらに重要なのはこの賠償裁判は韓国との連動している気配が濃厚だ。政府筋によると「習と朴槿恵の暗黙の了解があり得る」という。

現に韓国でも、「戦時中に強制労働させられた」とする韓国人女性らが三菱重工業や新日鉄住金、不二越を相手取った訴訟で、一部勝訴に持ち込んでいる。

今後、中国政府の“解禁”方針のもとに各地で訴訟が起こされる形勢であり、既に2月には「日中戦争時に強制連行された」と訴える元労働者や遺族が、三菱マテリアルと日本コークス工業(旧三井鉱山)を賠償支払いなどを求め提訴。

北京市の第1中級人民法院がこれを受理した。つまり中国政府は対日圧力の新たな手段として訴訟をけしかけようとしているのである。司法に勝訴判決を出させて差し押さえ、対日圧力に活用する。

反日教育を受けた一般大衆は日本のODA援助など全く知らないまま大喜びをして、習の人気が上がる。一度始めたら麻薬のように続けたくなる“禁じ手”の中毒症状である。

しかしこれは経済成長がなければ破たんする中国経済からみて全くの逆コース的な両刃の剣であることを中国指導部は分かっていない。先に発表された国内総生産(GDP)の7.4%の数字を信用している日本の経済専門家はゼロと言ってよい。

あまりに好都合な数字であり、その背後に“意図”が感ぜられるというのだ。恐らく5%に乗るかどうかが実態ではないかと見られている。

電力消費量や貨物の輸送量など動かしがたい数字から計算するとそうなるというのだ。そのGDPですら日本からの投資が冷え込めばさらに下がる可能性が強い。

一方で安くて豊富な労働力といううまみもなくなりつつある。賃金上昇と一人っ子政策のつけで15歳から64歳までの労働人口が減少し、活力が失われてきているのだ。加えて中国経済は爆弾を抱えている。既にはじけ始めている不動産バブルに加えて、ヤミ金融の約60兆円の理財商品が年内に返済期限を迎えるとの予想があり、これが時限爆弾となっていつ爆発するか分からない。

一方で、市場としての中国はなお魅力に満ちている。 自動車販売ひとつとっても年間2200万台であり、米国の倍が売れる世界最大の市場である。日本車が退けばフォルクスワーゲンの独壇場となる構図でもある。

したがって自動車や電機など製造業の進出はリスクを抱えてのものであってもしかたがないだろう。しかし一般企業では東南アジアの友好国に拠点を移すケースも増大している。

中国商務省の発表した 1〜3月期の日本から中国への直接投資実行額が、前年同期比でなんと 47.2%減の12億900万ドル(約1233億円)にとどまっている。習近平の 「実力行使」はこの流れに拍車をかけることは間違いない。

さらに中国には23日からのオバマ来日に向けた日米けん制の意図も感ぜられる。日米首脳会談は、基本的には中国を意識した同盟再構築にあり、中国にとって東南アジアにおける孤立化を意味する。ここで存在感を誇示しておこうと考えたのであろう。しかし、中国指導部は自由主義経済に棹さす行為の見返りは大きいと覚悟しておいた方がよい。(頂門の一針)

杜父魚文庫
| 杉浦正章 | 17:09 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







安倍「戦勝国会議」にくさび打ち込め   杉浦正章
■中韓プロパガンダにテレビスポットで対抗せよ

世界的な規模で展開している中国と韓国の反日プロパガンダにどう対処すべきかが安倍政権の喫緊の課題となっている。両国の宣伝戦を分析する限り、日本が出遅れてもっぱら防戦に回っている事は否めない。ここをどう巻き返すかだが、ネット戦略は一見近代的なように見えるが、実は効果が薄い。

即効性のあるものは何と言ってもテレビのスポット広告だ。それも毎回電通に儲けさせる必要は無い。米国大手の広告会社を活用して「戦後一発の銃声も発したことのない平和国家日本」と「首相・安倍晋三が軍国主義に傾斜などしていない」ことをキャンペーンするのだ。

「中国こそ戦後の秩序を軍事力で破壊しようとしている現実」に世界の世論を目覚めさせるのだ。米国で放映すると同時に世界各国のテレビにばらまくのだ。その最大のターゲットは中国国家主席・習近平が狙っている、2015年の「反ファシスト戦勝70周年記念会議」開催だ。

習は米国も巻き込んで同会議を開催して日本を孤立化させようとしており、ここは総力を挙げてキャンペーンに取り組むべき時だ。

領土担当相・山本一太の対外宣伝策をテレビで聞いたが、宣伝戦の現実を知らない。尖閣と竹島の宣伝動画をネットで発信して、昨年10月から100万を超えるアクセスがあったと自慢していたが、たったの100万かと言いたい。

ネット動画の最多再生回数は24時間で3840万回の世界だ。5か月かかって100万回などは自己満足に過ぎない。

山本は安倍に「主要国に駐在する日本大使を東京に招いて会議を開催、中国に負けない発信をすべきだ」と提言したというが、問題は会議ではない。首相官邸の発信力でありリーダーシップなのだ。泥縄で大使会議などすれば中国から嘲笑されるだけだ。

そこで対外政策広報をどのように展開するかだが、まず当面のターゲットは「戦勝国会議」だ。昨年10月7日、インドネシアのバリで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議で、習近平とロシア大統領のプーチンが合意した、2015年の「反ファシスト戦勝70周年記念会議」開催だ。

これはかねてから習が狙っているもので、米、英、中国、ロシアなど第2次大戦の戦勝国首脳が一堂に会して戦後の秩序を再確認して、ファシズムの台頭を防ぐ声明を打ち出そうというものだ。50周年の時は江沢民が招かれて、その後の反日戦略のきっかけとなったものである。

習の狙いはドイツではなく、日本孤立化にあることは言うまでもない。恐らく3月の米中首脳会談でもオバマに提案する可能性がある。

しかし、この中国の戦略はまず最初から問題がある。なぜなら日本は中国とは戦争をしていない。戦勝国を言うなら台湾・中華民国であり、中国、則ち中華人民共和国が誕生したのは終戦から4年後の1949年である。したがって中国に戦勝国会議を呼びかける資格はないのだ。

この点は日本の有力な反論材料だろう。問題はオバマが極東問題に理解が薄いまま、習に乗せられかねない点だ。ここは日本外交が事前にくさびを打ち込まねばならない最大のポイントだ。

既に中国は安倍の靖国参拝をとらえて、戦後秩序の破壊者と印象づけるキャンペーンを展開、尖閣問題を歴史認識とすり替えようとしているが、これに黙っていてはいけない。なぜなら米国のワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズはそのまま受け売りする傾向があるからだ。

中曽根康弘が首相の時ワシントン・ポストの社主だったキャサリン・グラハムの朝食会に招かれ、「日本不沈空母」説を表明したのは有名だが、両社の首脳などを日本に招待して、安倍がインタビュウーに応じて真意を説明するなど交流努力をすべきであろう。

ここで日本が強調すべき点は、戦後70年間、日本が自由主義を守り平和国家に徹して、他国に向けて銃弾など撃ったことがない事実だ。

これに比べて中国は数々の戦争と少数民族圧迫、そして現在は南シナ海と東シナ海への膨張主義、領海侵犯と防空識別圏の設置など“悪行”の限りを尽くしており、反中キャンペーン材料には事欠かない。戦後秩序の破壊者たる中国を国際世論に際立たせる事は十分可能だ。これがテレビのスポット広告の中心になるだろう。

一方で、韓国に対する国際的キャンペーンは下卑た慰安婦の肖像などいくら米国に設置しても動揺しないことだ。また米国民としての忠誠心を忘れ、祖国韓国の思惑で動く韓系人の動きなど気にする必要は無い。「東海」呼称キャンペーンも捨てておけばよい。

しかし、スポットTV広告では、冷静かつ実証的に反論していく必要がある。また日韓関係を悪化させる最大の要素と言ってもよいのが韓国のマスコミの感情的かつ歪曲報道である。自衛隊による善意の銃弾供与を「安倍の政治的な思惑」とねじ曲げて報道する例など数知れない。

これの防止策は、歪曲、偏向記事が掲載される度に、本社への抗議を繰り返すことだ。執拗なる意図的な誤報を消すにはこれしかない。やがて特派員は人事での身の危険を感じて、トーンを和らげるだろう。

政府は政策広報予算を来年度予算で増大させ、中国と韓国に対抗した広報に出る。官房長官・菅義偉はこのほど評論家・森本敏に「予算はいくらでもある」と述べて、協力を求めた。

対外広報は地道に進める方法と、即効性のある有力テレビ活用の2方法がある。地道な方法は、米国の有力シンクタンクに資金を提供して、良好な関係を築いたり、知識人の交流を政府予算で頻繁に実現させることであろう。ネット活用はやらないよりましくらいに考えた方がよい。

やはり大手テレビ局へのスポット広告か、良好な教養番組を買って、そこに広告を出す事などが米政府と国民に一番の影響を与えられる方策だ。

まだ、中国や韓国は気が付いていない。早急に手を打つべきだろう。キャラクターは何と言っても安倍自身が前面に出ることだ。安倍の出演が政策広報の最大の目玉だろう。

「お・も・て・な・し」の女性キャスター滝川クリステルなどを使ってソフトな演出することも効果的だろう。(頂門の一針)

杜父魚文庫
| 杉浦正章 | 10:10 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







石破「足引っ張らぬ」と安倍支持表明   杉浦正章
■「側近舌禍」でも政局化はなし
 
小生がやっているような評論は「先読み」なくしてなり立たない。マスコミと同じ読みでは読者はついてこない。マスコミより最低2日は先行することと、大局を詠むことをモットーに昼夜を分かたず情報を集め、分析してきた。

20日の側近らのずっこけ発言を論評した「身から出たさびが、ひいきの引き倒し」は3日遅れで新聞テレビが追随した。一部には「愚鈍発言」の連鎖のスパイラルで政局化までささやかれ始めたが、今度も再び先行して予想する。政局化はあり得ず、安倍政権は継続する。幹事長・石破茂も「足を引っ張らない」と明言した。

もっとも長期政権を目指すなら「路線修正」が不可欠だ。それは米国の政府やマスコミによる「安倍の極右化」の誤解を解き、同盟関係を確たるものに再構築できるかどうかだ。

政局を見る方法はいくつかのキーポイントがある。一つは政権に対する野党の反発がどの程度か、また自民党内で不穏な動きがナンバー2などから聞こえてくるかこないかだ。

そこで野党の安倍批判をみると、目立つのは生活の党代表・小沢一郎と、元首相・菅直人くらいだ。二人ともまだ政治の舞台にいたかと思いたくなるが、小沢は安倍政権について「民主党政権以上に危険な政権」と語り、対決姿勢を鮮明にした。

また「一強多弱の政治状況を受けて、野党の中に権力にすり寄る雰囲気が見られるのは非常に危険」とみんなと維新を批判した。これに対して維新幹部は「引かれ者の小唄と言っては失礼かなぁ」と失礼を承知の侮辱発言。全く意に介されなくなった。小沢は権力を振るった全盛期の夢を追ってももう無理だ。

もっとしゃしゃり出ているのが菅直人。「安倍政権は保守政権と言うよりナショナリスト政権」とかっこうよく切った。菅はワシントンポストが誤解に基づき「安倍が強硬なナショナリズムに演じている」と書いたのを、受け売りしてはいけない。ネタ源などすぐに看破できる。

加えて菅は自らが元首相としては異例の、質問主意書を原発再稼働問題で提出したまでは良かったが、事実誤認でずっこけた。「規制委員会が再稼働を認可することができる」と質問、政府から答弁書で「規制委が再稼働を認可する規定はない」とやられて、ぎゃふんとなっているはずである。
 
急所である自民党内はどうか。総務会の度にスピッツのように吠えている元行革担当相・村上誠一郎が「首相の発言は選挙で勝てば憲法を拡大解釈できると理解できる。その時々の政権が解釈を変更できることになる」と非難した。

しかし自民党は集団的自衛権の行使容認は野党時代から決めており、関連する「国家安全保障基本法」まで決定していることをお忘れか。中堅議員たる者既に決着済みの議論を声高に叫んではいけない。

そこで注目されるのは総裁選で地方票でトップを獲得して、安倍がナンバー2の座に任命せざるを得なかった石破茂の動向である。この世界的に「安倍イシュー」が問題になっているときに、ナンバー2が動いたら、政権は間違いなく揺れる。
 
そこで23日早朝のTBSの時事放談を録画して、もれなくメモしてチェックした。ところが石破からはみじんも批判めいた発言や政局めいた発言は聞かれなかった。石破は愚鈍な側近らと安倍を完全に分けて語っていた。

石破は 首相補佐官・衛藤晟一、内閣官房参与・本田悦朗、自民党総裁特別補佐・萩生田光一ら安倍の取り巻きグループを批判、安倍自身を分離して支持したのだ。「撤回するような発言は最初からしない方がよい」と衛藤を切り、「感情的な言葉の応酬で同盟が強くなったり理解が深まった経験はない」と本田、萩生田を切った。

そして「安部さんがこういう考えを持っていないことは、安部さんと話をしてよく理解している」と安倍を擁護した。さらに加えて石破は「国民が望んでいるのはしょっちゅう総理大臣が代わるのはやめて欲しいと言うことだ。自民党の中で総理の足を引っ張るようなことはやめてくれということ。それを心してやりたい」と「安倍降ろし」を完全否定したのだ。

石破はこのほど「日本人のための集団的自衛権入門」 (新潮新書) を出版したが、集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈変更では安倍と完全に波長が合っている。安倍とは集団的自衛権をめぐって運命共同体の色彩が濃厚なのだ。ここで揺さぶりに出るのは、「安保専門家」としての自分が許さないに違いない。

加えて今事を起こしても何のメリットもない。安倍の支持率は依然高水準にあり、幹事長といえども揚げ足取りによる、政局化はまず不可能だ。ここは安倍支持を真っ先に表明して、安倍に“貸し”を作った方がよいに決まっている。したがって自民党内はさざ波が立っても、大波濤が寄せてくる形勢にはない。

しかし日本の対外政策広報が、安倍周辺の思慮のない発言によって、急がねばならない対中・対韓広報でなく、「安倍イシュウ」広報に当面変質せざるを得ないのは大きなマイナスだ。ここは安倍が、極右の側近とはきっぱりと一線を画して、平衡感覚を維持していることを世界的に発信しなければならない時であろう。(頂門の一針)

杜父魚文庫
| 杉浦正章 | 10:23 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







身から出たさびが、ひいきの引き倒し   杉浦正章
■安倍側近らの右傾化発言が止まらない

別の首相側近が米国の失望声明の直後に「こっちが失望した」と漏らしていたことから、これはまずいことになると直感したが、その通りだった。首相補佐官・衛藤晟一が発言を“コピー”して公言してしまったのだ。

慌てて官房長官・菅義偉が取り消しを命ずる始末となった。それにつけても首相・安倍晋三の側近や盟友なる人々は、どうしてこう知性が感じられないのだろうか。物事を理性的に対処せず感情論で押し通そうとするのが共通項だ。

昔は赤尾敏にせよ極右はそれなりの理論武装をして、品格のようなものがあった。ところが逆の人物ばかりを回りに置いて、安倍は防御陣を厚くしようとする。結局安倍に一番の責任がある。身から出たサビが、ひいきの引き倒しをしている図式だ。

米国の場合、大統領補佐官はまさに知性と知見と洞察力の固まりだ。キッシンジャーを見れば分かる。これを真似て細川護煕が首相補佐官制度を作ったが、はっきり言ってこれまでろくな補佐官がいない。その象徴が衛藤であろう。

こともあろうに他人の発言をそのままコピーして、動画サイトで「むしろわれわれのほうが失望だ」とコメントした。仮にも首相補佐官である。発言すればどのような反響が出るかということくらいは予知して当然だが、全くその気配は見られない。

折から国会は予算審議の最中であり、政権にとって正念場である。閣僚や側近の一言が審議に影響しかねないピリピリした緊張状態にある。それを知ってか知らずか、側近はのほほんとYouTubeでピントが狂った「演説」である。官房長官・菅義偉が激怒したのも無理はない。

どうも安倍の靖国参拝には、衛藤のミスリードがあったような気がしてならない。衛藤の一連の発言がいみじくもそれを物語る。衛藤は靖国参拝に先立って対米根回しを担当していたのだ。11月20日にはワシントンで国務次官補ラッセルと会談、安倍の参拝の方針を伝えた。12月はじめには米大使館で首席公使に「参拝を賛成して欲しい」と要望した。いずれも回答は「慎重にして欲しい」であった。

しかし衛藤は安倍には強い反応は出なかったと報告した感じが濃厚である。少なくとも自分の意見としては「ゴー」のサインを出したのであろう。その結果安倍は 九仞(きゅうじん)の功を一簣(いっき)に虧(か)く行動に出てしまったのだ。

知性欠乏型側近はまだまだいる。内閣官房参与・本田悦朗はウオールストリート・ジャーナル紙に神風特攻隊の自己犠牲を語りながら涙を流したという。官房参与たるものがインタビューに応じるなら、冷徹に理論的に首相の代弁をしなければならない。ところが感情をあらわにして落涙などしてしまったのだ。首相の取り巻きの平衡感覚欠如と異常性をいみじくも国際的に知らしめてしまった。

一方で自民党総裁特別補佐・萩生田光一は、何と来日が予定されているオバマを名指しで批判した。荻生田は「失望した」声明について「共和党政権の時代にはこんな揚げ足取りをしたことはない。民主党政権だから、オバマ政権だから言っている」と噛みついた。政権中枢の者は思っていても言ってはいけない言葉だ。

一方でこの「安倍人事」の弊害はNHK人事に如実に表れた。まるで“舌禍”がまん延したかのような状況だ。まず会長・籾井勝人が「慰安婦はどこにもあった」と本当のことを言ってしまってひんしゅくを買った。経営委員の百田尚樹は都知事選で極右・田母神俊雄を応援、対立候補を「人間のクズ」と言い放った。

この百田という人物も異常なところがあって「民主党は百田を国会に呼び出せ。びっくりするようなことをいっぱいしゃべってやる」と挑発、民主党は参考人招致を決めた。

長谷川三千子は、新右翼の活動家で朝日新聞本社で拳銃自殺した野村秋介を「神にその死を捧げた」と礼賛した。NHK人事で野党は硬化しており、政権揺さぶり材料として“活用”する構えだ。

これら全ての発言は、安倍の過度なる自己防衛人事の結果である。周りを石垣で固めるように、同類の人物ばかりを集める。第1次内閣が「お友達内閣」と呼ばれたように、今度は盟友政権を形作っている。

しかしこの安倍の極単に片寄った人事は世の中に誤解を招く。集団的自衛権容認の憲法解釈にしても、原発再稼働にしても、対中・対韓外交にしても安倍本人のやっている方向は正しいし、普通の国家になろうとしているだけである。

それにもかかわらず極右の側近が目立ちすぎて、政策そのものが右傾化と誤解されるのだ。菅はまるでモグラ叩きのように次から次に打ち消さなければならない。

17日付の米紙ワシントン・ポストが、「日本の挑発的な動き」と題した論説で、安倍が強硬なナショナリズムに転じているため、アジアの安全保障問題を深刻化させていると指摘した。その上でオバマのアジア歴訪を、「危機の予防」と位置づけた。

同紙はNHK人事についても中国や韓国だけでなく、米政権内の「警戒ベル」を鳴らしていると主張した。この論説を誤解と片づけるのは簡単だが、周りの発言が繰り返される限り世界中で誤解が重なり、結局は中国や韓国を利するだけとなることを安倍は肝に銘ずるべきだ。弛緩した政権のたがを締め直すべきだ。(頂門の一針)


杜父魚文庫
  
| 杉浦正章 | 10:40 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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