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ギングリッチ現象が示す潮流 古森義久
米国大統領選の共和党予備選の攻防でいま最も奇妙にみえる現象の一つはニュート・ギングリッチ元下院議長の人気の激しい浮き沈みだろう。

アイオワ州やニューハンプシャー州での争いでミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事らに敗れ、もう撤退かと思わせたのに、サウスカロライナ州の予備選で大勝した。昨年も名乗りをあげてから支持率を落とし、選対幹部が離散して、絶望ともみなされた。

候補者としてのギングリッチ氏は強引な異色の個性や倫理に欠けるような波乱の私生活のために共和党内でも「オバマ大統領には勝ちがたい」と評される。だが人気を何度も落としながら、そのたびに不死鳥のように復活してきた。その理由は今回の大統領選が不況や失業ではなく実は壮大なイデオロギーの衝突を最大争点としていることだといえよう。

オバマ大統領の施策は共和党側の言を借りなくても「大きな政府」のリベラル政策であることは明白である。景気の回復にも破綻企業の蘇生にも政府の巨額の支出をあてる。国民の医療にも政府の大幅介入による公的保険を進める。社会福祉も政府の支援を増す。高所得層への税金を増し、所得の再配分を図る。いずれも古典的とさえいえる「大きな政府」策だろう。

共和党側は「小さな政府」を唱え、政府の役割をそぐことを主張する。経済では民間活力、福祉では自助努力を強調する。高所得も自由な競争での成果とみて、重課税は市場原理への懲罰として排する。こうした保守主義の教理を現代の米国政治で最も明快かつ強固に説いてきたリーダーがまずロナルド・レーガン元大統領、そしてギングリッチ氏と目されるのだ。

私自身が記者としてギングリッチ氏の政治活動に初めて触れたのは1994年だった。同年の中間選挙で野党の共和党は下院議員の同氏が主導する保守主義政策の拡大の波に乗り、大勝した。上下両院で共和党は40年ぶりに多数を制した。

その最高リーダーのギングリッチ氏は時の民主党クリントン政権への挑戦として「アメリカとの契約」という一連の公約を打ち出した。政府の支出や権限の削減、規制の緩和、福祉の抑制など保守主義の誓約だった。米国が1930年代以来、主流のパラダイム(規範)としてきたリベラリズムを大きく後退させた。

いまオバマ大統領に反対する米国民たちがギングリッチ氏への支持を絶やさないのは、同氏の保守主義推進のそんな実績が大きな要因なのだ。同氏はいまも保守主義の雄弁な論客であり、とくに論争では豊富な表現と発想で共和党側最高の強みを発揮するとされる。

現在の米国では保守主義のアピールが共和党の枠を超えてリベラリズムを圧していることは一連の世論調査で常に証される。無党派の有権者でもオバマ大統領への支持を留保し、保守の政策に視線を転じる層が増えてきた。まして共和党内では保守主義への傾きはいまとくに激しいのである。

いまギングリッチ現象を招くのはこうした潮流だといえよう。保守の思想や政策を最もわかりやすく語り、最も強く進める指導者への志向である。だがそんな流れが共和党の最終候補選びをどう動かすのか、まして最終の本番選挙をどう決めるのか。もちろん予断は許されない。(産経)

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| 古森義久 | 09:16 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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