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西岡武夫議長に続け、と言いたい 岩見隆夫
どういうわけか、昔から反骨の士は小柄で痩身が多い。戦前はまず尾崎行雄(号・咢堂、一八五八─一九五四年)の名前をあげなければならない。戦時にも反軍国主義を貫き、日中戦争が始まった一九三七年には、辞世を懐に国会で軍部批判の演説をした。〈憲政の神様〉と言われる。

次に斎藤隆夫(一八七〇─一九四九年)だ。三六年の二・二六事件のあと、火の出るような粛軍演説をしたのはあまりにも有名で、軍部の反発を買い衆院議員を除名された。軍部の暴走という国家的危機のなかで、否応なく反骨の論客を生んだ。いずれも命がけだった。

戦後はあまりいない。しいて言えば、やはり小柄な三木武夫元首相、稲葉修元法相にその面影がある。一九七六年、三木政権下でロッキード事件が発覚すると、三木、稲葉は、

「法と良心に従って事件の徹底的究明を」

と検察陣にハッパをかけた。角栄権力に刃向かった、筋を通す気骨の人、という印象が残っている。

さて、昨今の政治の空洞化はひどい。菅直人首相はいったん退陣表明しながら、辞める気配がなく、政界は無気力状態に陥っている。これにもっとも激しく噛みついているのが、小柄、痩身の西岡武夫参院議長だ。尾崎、斎藤、三木、稲葉らの反骨とダブるものがあり、それは同時に危機の深さを物語っている。

西岡さんが最近発表した論文を読み、共感した。〈日本の国難に直面して、いま、民主党議員は何をなすべきか〉というタイトルである。原発問題を中心に論じ、菅首相のエネルギー政策を糾弾し、民主党議員の決起を訴えたものだ。

西岡さんは民主党の参院比例代表に当選二回、その前は衆院長崎一区から当選十一回の実績があり、通算議員歴四十二年、参院の最長老である。七十五歳。

政治家としての原点は、郷里長崎が原爆の犠牲にさらされたことだ。当時、西岡さんは九歳の少年だった。論文のなかでも、

〈原子爆弾投下の瞬間を自分の目で見た私にとって、「放射能」という三文字には、特別の響きがある。

私は、原爆投下による爆風と放射能・放射線が一瞬にして七万余(そのなかに私の親戚もいた)の命を奪った郷土長崎の惨状を見、その後、与党の被爆対策の責任者として取り組んできた唯一人の現職の国会議員です。
その私が、原発事故以来、四カ月余の菅首相の姿勢と言動に、強い憤りを覚えています〉と書いた。

◇非常手段は衆院不信任・参院問責の同日提出だ

福島第一原発の事故から、先日の〈脱原発〉宣言に至る一連の言動について、西岡さんは細かく点検、批判しているが、それをご紹介する紙幅はない。西岡さんの憤りが、菅さんに対してどう表現されているかと言えば、〈疑似市民運動の野望家〉〈場当たり政治家〉〈小泉純一郎首相の猿真似〉〈まったくのまやかし〉〈鬼の政治〉〈政治責任を巧妙に逃れる〉。さらに〈言語道断な指示〉〈目に余る情報隠し〉〈頓珍漢な言を弄して〉〈政治の機能不全〉〈独裁者の如く〉〈大臣の存在を無視〉〈政党政治など頭にない風情〉〈狂気と思われかねない首相〉〈延命に汲々〉……。

人の批判は気分のいいものではない。西岡さんも四十二年の議員生活のなかで、一人の首相をこれほど言葉を尽くしてやりこめるのは初めてだろう。私もあらゆる発言の機会をとらえて、菅政治の危うさを訴え、退陣を求めてきたが、四十五年の記者生活で初めての不愉快な体験だ。

首相にしてはいけない人物をしてしまったという悔いがある。メディアにも責任の一端があるが、首相のイスの難しさは、座ってもらわなければ適・不適がわからない。こんなにひどいとは思わなかったと多くの人たちがほぞをかんでいるはずだ。しかし、一度座ると動かしにくい。

このところ、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫と歴代首相が立て続けに、それぞれの理由から任にあらずと認めればさっさとイスを降りるのを見てきた。だからよけいに菅さんの居座りは気味が悪いほどなのだ。

西岡論文を読んでいる最中にも、テレビでは衆院予算委の中継をしている(七月二十日)。みんなの党の江田憲司幹事長が、

「原発をゼロにするというのはわが党も賛成だが、時間軸はどうなるのか」と、〈脱原発〉宣言のタイム・スケジュールを示せと迫るが、菅さんは、

「どういう段階で何をどうするか、議論を進めていくことが大事だ」などと答えるだけだ。具体案はないのだが、それでもしれっとしている。

西岡さんがいくら絶叫しても、菅さんは馬耳東風のテイだ。言葉に不感症になっている。もともとそうなのかもしれない。あるいは罵倒されればされるほど、闘志がわく? これほど強いものもいない。

西岡さんに対しても、公正な立場にある議長として逸脱しているという批判が少なくない。常識論としてはそうである。しかし、相手が常識を著しく欠いた場合、どうするのか。西岡さんは論文で、

〈私が参院議長という職を賭す覚悟で、菅首相を厳しく糾弾する理由は……〉と悲壮な心中を綴っているが、十分に理解できることで、むしろ、西岡さんに続け、と言いたい。

〈日本の将来と、いまに生きる国民のため、特に子どもたちのため、たとえ党が壊れてもなすべきことがあることに心眼を開いてください。

日本の国難にあたって、民主党の国会議員が、唯々、延命に汲々とする菅首相を辞任させることこそ、国民に対する責任です。そのための手段はあるのです〉

と西岡さんは締めくくりで訴えている。菅さんの首をとるための西岡案とは、すでに一部で報道されているが、今国会に、即刻、民主党から、衆院で菅内閣不信任決議案を、参院で菅内閣総理大臣問責決議案を同日に提出することだ。

〈民主党から〉というのが非常手段である。非常時だから仕方ない。私は西岡さんを全面的に支持する。

<今週のひと言> 魁皇引退の弁、すべてよし。(サンデー毎日)

杜父魚文庫
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