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中国の不動産バブルが破裂すると、邦銀被害はどの程度か? 宮崎正弘
IMFが堪忍袋の緒を斬って「人民元を3-23%切り上げよ」。不良債権をごまかす近道は増資である。企業が増資するのは金利の安い運転資金を市中から集める必要があるときだ。

中国の地方政府が第三セクターを通じて、不動産投資のために借りたカネは、日本円でおよそ200兆円。不動産バブルがはじけると、このカネの過半が焦げ付くのは火を見るよりも明らか。

ならば銀行にとって、デッドレシオを低下させるには手元資金を膨らませ、貸し出しを控えることである。中国の大手銀行、軒並み、香港市場での増資に乗り出した。先頭を切って、招商銀行が350億元の株主割当増資計画を発表した(2011年7月21日)。

これで、香港に上場する中国系銀行が公表した増資・起債計画の総額は、4635億元(およそ7兆円弱)にのぼることが分かった。(そもそも景気が良いのに増資という話は端から可笑しいのです)

香港上場の中国系銀行は16行。そのうちすでに14行が2011年7月段階で、起債、劣後債発行を発表しており、新株や劣後債の発行を通じて、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)が自己資本比率の基準を引き上げた動きに対応するのである。とくに中国建設銀行、中国農業銀行、中国工商銀行、交通銀行、中国銀行の5行だけでも全体の半分に近い2200億元の調達を計画している。

中国銀行は11年5月にも320億元の劣後債発行を完了したばかりである。

▲金融センターの本家争いも

上海が中国の金融センターであることに言を俟たないだろう。

新開発の浦東地区には金融関係の摩天楼が林立し、101階建て森ビルのまわりには金茂ビル(88階建て)、そのとなりにもうひとつ、国際金融センタービルが建設されている。こちらのほうは102階建てになると豪語している。

この上海を追って、金融センター化を目標とする都市の筆頭は、新興の深センごときに負けておられるか、とばかり戦前の金融センターだった天津である。

現に天津の旧市街、とくに銀行街を歩くと戦前のままの銀行街が残っていて圧巻である。ただし天津の工業区が糖古地区へ移転してしまったため、旧市内の銀行街は閑散としている。

上海と深センに株式市場があり、天津もそれを目ざす構図だが、どっこい、ほかに中国の30もの都市が金融センター建設の計画を提出していることが分かった。

華中では武漢(湖北省)、鄭州(河南省)、長沙(湖南省)がしのぎを削り、西北地域では西安(陝西省)、蘭州(甘粛省)、フフホト(内蒙古自治区)が名乗りを上げ、また杭州(浙江省)、福州(福建省)、南京(江蘇省)も金融センター建設の目標を掲げている。

「国際金融報」によると、各都市の国内総生産(GDP)に対する金融業の貢献度ランキングは上海市、北京市、深セン市、杭州市、広州市、天津市が並び、上海市は対GDP比20%、他方、天津市は貢献度が約6%にとどまった。英国・ロンドンの対GDP比は05年に84%に達し、日本・東京は57%。
 
しかし名乗りを上げるのは簡単だが、総合的な経済基盤、産業の裾野の広がりが伴わなければ画餅に期す。これらの都市が本当の金融センターになるかどうかは、市場が決めることである。

したがってハルビン(黒竜江省)は北東アジアを対象とした地域の金融センターを目指し、太原(山西省)は東西交流のく地域型金融センターの建設を目標とする。福州市の目標は対岸台湾との地域金融センター建設を当面の目的としており、昆明(雲南省)はタイに隣接する地理的特質を活かして、汎アジア金融センターが目標ということらしい。

▲そんな前向きの夢ばかりを追求する事態ではないのでは?

さて中国経済がハード・ランディングとなると、いったい邦銀はどれほどの被害を受けるだろうか?

現時点で有力三行(三菱、三井・住友、みずほ)が中国に出している拠点のなかでも、三行がそろってビジネス拠点を設けているのは上海、広州、北京、深セン、香港の五大都市である。二行が拠点を設けているのは、上記にくわえて蘇州、無錫、大連。一行が進出しているのが成都、青島、武漢、杭州、瀋陽。この列に台湾では台北に全行。一行の進出は高雄と台中となって、合計で十六。さらにシンガポールという華僑圏が加わる。
 
日本の銀行がアジア全域の拠点で貸し出している額面は8兆6000億円。この内の、およそ五兆円が中国の国有企業や有力企業向けである。

すると中国経済が破綻した場合の、およその被害金額が想定できるだろう。

こうしたタイミングを選ぶかのようにIMF(国際通貨基金=中国語は「国際貨幣基金組織」という)は中国調査団を組織し、7月21日、中国に対して「人民元は過小評価されており、3%から23%、為替レートを上げるべきである」と年次審査報告書に明文化した。

杜父魚文庫
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