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中国空母は弱いのか、強いのか 古森義久
中国の航空母艦がまもなく登場しそうです。そんな動きへのアメリカの反応です。

■【あめりかノート】ワシントン駐在編集特別委員・古森義久

■中国空母の弱みと脅威
「中国はぜひとも航空母艦を多数、建造してほしい」

中国海軍研究の権威バーナード・コール米国防大学教授が最近、発表した論文でこんなアピールをして、注視をあびた。ワシントンでいま熱を高める中国軍事 研究の論議の一端である。この論議では中国がウクライナから買った空母ワリヤーグを大幅に改修して、いよいよ航行させるという動きが切迫したテーマとなっ てきた。大連港で修復を終えた同空母が来月にも艦載機とともに中国海軍の主要艦艇として登場しそうな状況は本紙でも北京の矢板明夫記者が詳しく報道した。

米国側でも中国初の空母配備の展望は米海軍の西太平洋での制海権への正面からの挑戦として懸念や警戒の声を生むようになった。中国がワリヤーグを清朝時 代に台湾を制覇した水軍の将の名を取り「施琅」と命名したことも、米国の台湾支援政策への対決を思わせる。米側ではすでに中国が今後、本格的に空母群を配 備していくという認識である。米国議会調査局の「中国の海軍近代化」という報告書は中国がすでに国産の空母の建造にも着手して、これから10年間に最大6 隻の配備を意図すると明記している。

そんななかで米海軍士官を30年も務め、太平洋で駆逐艦の艦長だった経歴を持つコール教授が中国には空母をどんどん建造し、配備してほしいと述べたのだ。同教授に直接にその理由を問うと、なるほどと思わされる答えが返ってきた。

「中国の空母は有事には米軍の攻撃に弱いからです。カモといえる容易な標的となります。中国海軍はまず空母を支える輸送船や給油艦が不足している。空母 自体、米軍の空母が持つような防御や攻撃の能力を有していない。中国側がそんな空母を多数、造れば、他の艦艇や兵器に回る資源が減るため、私はなかばユー モアを交え、『どうぞ、多数の空母の建設を』と提唱したのです」

コール教授のこうした主張と時期を同じくして米側の他の専門家たちからも、ワリヤーグには米軍のE2のようなレーダー機やEAのような敵レーダー妨害機 がないことが指摘されるようになった。艦載機の「殲(J)15」は米軍機に比べ、飛行距離、武器、センサーなどが決定的に遅れていることや、ワリヤーグを 護衛する駆逐艦や潜水艦がきわめて弱体であることも指摘された。だから中国空母は米軍にとって戦時には恐れるに足りず、というのである。

だが同じ米国の専門家でも中国空母の平時の威力を強調する人たちも存在する。ブッシュ前政権下の国防総省中国部長で、現在は大手研究機関のAEIの中国専門研究員や議会諮問機関の米中経済安保調査委員会の委員を務めるダン・ブルーメンソール氏が語った。

「有事には米国や日本が中国の空母に対処する能力が高いことは事実だが、空母を攻撃して無力化するには、特定の戦力を特定の位置に配備しておかねばならず、そう簡単ではない。その一方、空母は平時には一般国民へのパワーと威信の誇示に絶大な効果がある。だから空母が中国の海洋戦略全体に寄与する力は重視せざるをえません」

中国の空母の出現で米中軍事バランスが変わったと思い、中国に傾く国も出かねないということだろう。さて中国空母のこんな弱さと強さと、わが日本はどちらをまず認識するのだろうか。

杜父魚文庫
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