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佐々木元東大総長が今ごろこんなことを… 阿比留瑠比
今朝の産経2面に、《「退陣時期22日までに」 21世紀臨調 首相に明言迫る》という3段見出しの記事が載っていました。菅直人首相は、もともとあまり仲のよくない日本経団連だけでなく、支持母体の連合からも退陣を求められていますが、これまで民主党に優しかった21世紀臨調にまで、愛想を尽かされたようです。当然ですが。

記事には、以下のように書いてありました。

《有識者でつくる「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)の幹事会は16日、菅直人首相に22日の国会会期末までに、退陣時期を明言するよう求める緊急提言を発表した。大連立構想では「民主党が自民党に首相の座を譲るなど大胆な検討がなされてもいい」とした。

提言は(1)首相の責任(2)民主党代表選のあり方(3)政策協議と国会の仕組みづくり(4)連立協議−の4点を指摘した。

民主党はマニフェスト(政権公約)や政治主導という言葉の信頼性を失わせたと断罪。菅首相には「事態収拾の道筋をつける責任がある」とした。(後略)》

で、私が興味を引かれたのは、この21世紀臨調の共同代表で、ありていに言えば悪夢の政権交代をあおった民主党シンパ学者の一人である東大元総長の佐々木毅氏が、民主党政権のことをクソミソに言っていることでした。佐々木氏は例えば、政権交代前の2009年2月には当時の自公政権(麻生政権)についてこう酷評していました。

「政権と政権党内部はメルトダウンの様相」
「政権を持続させることは国民の利益と両立しえない」


…まあ、当時の自民党がかなりひどい状態に陥っていたのは事実ですが、それでは民主党政権になったら本気で日本がよくなるとでも考えていたのか。私は10年近く前だったか、この人が民主党の勉強会で講演し、質疑に応じる様子を取材したことがありますが、ひたすら偉そうなこの人に対し、議員たちはただ「ご説ごもっとも」と平伏して聴き入っていました。なので、民主党政権になったら、自分の思う通りになるとでも思っていたのでしょうか。

前置きが長くなりましたが、というわけで、昨日の佐々木氏の記者会見での言葉を紹介します。どれだけ立派な学者か知りませんが、少なくとも、先見の明は全く持ち合わせていなかったようです。以下がそれで、もちろん現在の自民党など野党側にもいろいろと注文をつけていますが、それよりも民主党政権に対する失望、焦燥などがけっこう伝わってきます。

佐々木氏 私から総論を簡単に説明する。日本の政治はもはや先進国の政治には値しない。極めて深刻な状況にある。政党政治は競争を必要な要素として含んでいるが、状況に応じて一定の協力も当然しながら、競争していくという仕組みだと思っているが、日本の場合は二院制の制度的な不具合もあり、とかく競争、対決に傾きがちな傾向にあることは現在までのところ明瞭で、いわゆるねじれの問題にかかわっていることは言うまでもない。

それを乗り越えるためには政党自身が求心力を持って、交渉力を高めていくことが必要だが、政党自身の求心力も解体、弱体化しているので、結果として政権は動きがとれなくなっているという状態にある。こうした事態において衆参両院議長が建設的なイニシアティブをとってもらうべきと考えているが、それが見えないというのも我々にとっては極めて異様な感じだ。

民主党について言うと、政権統治、政党自己統治、この2つにおいて深刻な失敗を犯したと考えている。結果としてマニフェストの信用、総理、政治主導の権威、あり方を極めて深刻な事態に陥れたと考える。これら一連の事態は本来であれば下野に値するものと言わざるを得ない。

仮に光明を見出そうとすれば、次回の代表選で、これを民主党としては最後の代表選であるかのような、断固とした覚悟を持ってマニフェストの見直しその他、新たな形での党の求心力を高める最後の努力をする、そういう段階に今あるのではと考えている。連立とかはその先の話だろうと思っている。

大連立という言葉がたいへんもてはやされているので。いろんな形で国会を含めて機能する政権を作ることが目的だから、いろんな形があっていいだろうと。さまざまな知恵が工夫されるべきだろう。そこで衆参議長に活躍いただく余地があってがいいんじゃないかと考えているが、(現状の大連立を巡る動きは)目的も定義も手続きもあいまいなものが、話が広がっているように見える。

端的に党内をまとめられないのに大連立が成し遂げられるかということについて我々は極めて懐疑的であると申し上げたい。野党についても問題がある。先の不信任案にしても「そういうことをしている場合か」という国民の意向がしばしば表明された。ひたすら首相の退陣さえ求めていればいいということについては、国民の納得が得られない事態が近づいているように我々には見受けられる。

結果として与野党合作で政党政治の自滅につながるようなことをおやりになっているのではないかとたいへん憂慮している。最終的には国民に戻ってくるわけで、日本政府の評価に対する国際的なダメージは極めて深刻だと思うが、これ以上それを続けるわけにはいかないと思う。その意味で、民主政治の在り方そのものについて、ないものねだりをするとか、そういった従来の態度を改め、あるいは反省しながらもう一度しっかり見つめ直すべき段階に来ているのではないかと。とかく政権批判していれば前に進むような簡単な状態ではないことはもはや明らかだと思う。

【質疑】

記者 緊急提言をなぜこの時期に発表したのか。また、「首相は会期末までに退陣時期を明言しろ」と。当初の6月22日を前提に提言しているのか。

佐々木氏 当初の会期末を念頭においた文章だ。いよいよ政治の話題の水準がますますひどくなってきている感じが。ここでモノを言わないわけにはいかないということで準備をしていたが、その間にこういう事態になったということだ。特定、具体的なことはちょっと申し上げにくい。そういうことだ。

記者 野党の姿勢、自民について。菅首相では協力できないと言っているが、協力姿勢をどう取ればいいのか。

佐々木氏 実際、まだ衆院議員の任期は2年ぐらいある。解散総選挙がいずれ行われるにしても、本当に今のような二院制で持つのかということは、与党だろうと野党だろうとまじめに考えてもらわないと国民はたまったものではないということについて、野党第一党がどのような考えを持つのかをもう少し、内部的に詰めたお話を聞きたいという感じは持っている。

記者 「国民の自覚」という項目は「メディアの自覚」と言い換えるべきだと思うが、政治報道への注文を。
佐々木氏 私たちの世代だと、メディアは長期政権があったから政権に距離を置くスタンスを強く取ってきた経緯がある。それが(引っ繰り返った時に)どうするかという問題は課題としてある。

盤石の政権があって批判的に見る場合と、現在のように盤石とは違う状況になった時にどうするのかと。その辺は議論する余地はある。もちろんメディアは権力を批判的に考察する任務があることは、我々も思うが、敢えて言えば、すごい人が出てくると世の中が何変わるみたいな話はそろそろ卒業していただかないと。青い鳥を求めてさまよっているみたいな感じは長期的に見て果たしてプラスかなあということは端々ににじみ出ている。

記者 提言で「自民党に首相の座を譲れ」と。2009年の総選挙で現政権を選んだ。総選挙を経ないで変えることをどう理解したらいいのか。

佐々木氏 ある意味で覚悟を求めた文書だ。非常にすごいスピードで連立の話を色々出してくるような場合、どこまで覚悟があって、そういう話をしているのかなあという時に、このぐらいのことを頭の中に入れておいてもらわないと話が上滑りになりはしないかということで。

…一つ、私が佐々木氏に共感を覚えたのは、民主党政権が「政治主導」という言葉を貶めたという指摘です。この点は私も、鳩山前政権時代からかねがねそう感じ、また書いてきたことでもあります。

鳩山、菅と2代続いたあまりにも愚かでどうしようもない「政治主導」によって、本来、政治主導という言葉が持っていたはずの理想や目的は穢され、今となっては迂闊に「政治主導」などと口に出すのは恥ずかしいほどになってしまいました。この罪は重いと考えます。

あと、記者会見では曽根泰教慶大教授も以下のように語っていたので付け加えておきます。でも、最近は完全な開き直りの境地へと解脱し、もはや誰の声も耳目に届かない善悪・美醜・真偽の彼岸へと旅だった菅首相には聞こえないでしょうが…。

曽根氏 一言で言えば今の民主党は政権の体をなしていない。本来であればこの状況で解散総選挙を行って、出直すのが筋だろうと思う。しかし現状、総選挙が難しい状況では、事態収拾の道筋をつけるために、その責任を首相が取るべきである。首相は会期末までに退陣時期を明らかにし、明らかにすることによって代表選から与野党協議、首班指名に至る手順、道筋を早急に決定し、国民に示す必要がある。

杜父魚文庫
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