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拒否された通産からの首相秘書官 渡部亮次郎
1976年、今から丁度35年前、当事者しか知らない話である。この年12月24日に福田赳夫内閣(自民党)が成立し、官房長官に園田直(そのだ すなお)氏が就任した。

内閣総理大臣 - 福田赳夫
法務大臣 - 福田一(- 1977年10月4日)/瀬戸山三男(1977年10月5日 -)
外務大臣 - 鳩山威一郎
大蔵大臣 - 坊秀男
文部大臣 - 海部俊樹

厚生大臣 - 渡辺美智雄
農林大臣 - 鈴木善幸
通商産業大臣 - 田中龍夫
運輸大臣 - 田村元
郵政大臣 - 小宮山重四郎

労働大臣 - 石田博英
建設大臣 - 長谷川四郎
自治大臣、国家公安委員会委員長、北海道開発庁長官 - 小川平二
内閣官房長官 - 園田直
総理府総務長官、沖縄開発庁長官 - 藤田正明

行政管理庁長官 - 西村英一
防衛庁長官 - 三原朝雄
経済企画庁長官 - 倉成正
科学技術庁長官 - 宇野宗佑
環境庁長官 - 石原慎太郎

国土庁長官 - 田沢吉郎
内閣法制局長官 - 真田秀夫
内閣官房副長官(政務) - 塩川正十郎
内閣官房副長官(事務)- 道正邦彦
総理府総務副長官(政務) - 村田敬次郎
総理府総務副長官(事務)- 秋山進(「ウィキペディア」

官房副長官は塩川正十郎氏だった。そこへ密かに大問題が発生した。各省から出向してくる総理大臣秘書官のうち、通産省からの人物を他の秘書官たちが拒否して秘書官室への入室を断ったのである。

もともと佐藤栄作内閣までは、通産からの秘書官は無かったのだが、次の首相田中角栄氏は、通産大臣時代の秘書官をそのまま首相秘書官に起用した。かねて首相秘書官を派遣したがっていた通産省は喜び、続く三木内閣にも当然の如く送った。

だから福田内閣にも当然、送ってきたのだが、今度はなぜかすんなりとは行かない。秘書官たちが意地悪したのは、首相自身が、通産からの秘書官を不要と考えていたからではないか、と今では推測する。

しかし、既にその人物を総理秘書官として出向を発令してしまった通産省としては、いまさら取り消すわけにはいかない。そこで園田官房長官に事務次官がとりなしを依頼してきた。

ここから先が特攻隊生き残りの直さんらしい解決策である。首相には黙って、首相官邸内の官房長官室に机を入れさせ、そこに問題の人物を坐らせたのである。内閣記者会にたちまち知れ渡り、危く記事にされそうになった。

かくて他の首相秘書官たちが音をあげ、当該人物を秘書官室に引き入れざるを得なくなった。問題は音も無く起き、音も無く解決したのである。

その1年後、内閣改造で園田氏はただ一人留任し、外務大臣に横滑りした。つまり総理官邸を去った。私はここから彼の秘書官となり、1年前のことの次第を知る。通産省のOBから「園田さんに財界から後援会を作って差し上げたい、と言っている。ついては秘書官、打ち合わせに来てください」。

一旦は着任を拒否されたあの首相秘書官が、奔走して財界を説得。「恩返し」を工作していたのである。間もなく日本商工会議所会頭の永野重雄氏を会長とする大規模な園田後援会が発足。住まいが借家、貧乏政治家に初めて財界の後援会ができたのであった。

余談だが、当時、永野さんの政界関係の日程を管理していたのはY社の広告局長。現在某民放の実力会長である。これはどうなっているのだ、と未熟な頭は仰天した。NHKではこんなスケールの記者は育たない。

それから1年後、福田首相は「天の声にも、たまには変な声がある」と言う有名な科白を残して官邸を去った。後継首相は幹事長だった大平正芳氏。園田氏はこの内閣にも外務大臣に指名された。

通産省からのあの人物は内閣が変わったので本省に戻った。やがて省内の頂点である事務次官になった。官邸を「追放」された福田氏は派閥を上げて大平内閣を妨害し、大平氏は遂に急死する。

「社長はポストを譲って会長になり、社長を助けていれば、再び社長にと言うこともある」と福田氏に聞えるように批判していたが、社長を助けるどころか死地に追いやってしまっては返り咲きの余地はなかった。

大平氏を見送った足で目白の田中邸を訪れた園田氏は「後継は鈴木善幸」で合意した。ゼンコウWhoと揶揄された鈴木内閣登場の舞台裏である。

杜父魚文庫
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