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4年前の「竹島事件」記事に関する補足と政治の責任 阿比留瑠比
今朝の産経2面に「竹島周辺で銃撃戦寸前 4年前の韓国海洋調査船事件 安倍元首相『盧大統領が射撃命令』」という記事が載っていました。拓殖大でのシンポジウムで安倍氏が語ったことをもとに、野党担当の田中靖人記者が書いたもので、内容は以下の通りです。

《平成18年7月に竹島周辺海域で韓国が海洋調査を強行した事件で、韓国側が調査船に同行させていた海洋警察庁の警備艇に、日本の海上保安庁巡視船に対して射撃を許可していたことが9日、分かった。射撃許可は日本政府にも伝わっており、日韓で銃撃戦となる可能性があったようだ。

当時官房長官だった安倍晋三元首相が同日、東京都文京区の拓殖大学で開かれた同大創立110周年シンポジウムで明らかにした。

調査は18年7月5日、韓国海洋調査院所属の海流調査船「海洋2000号」が、竹島近海の日本側の排他的経済水域(EEZ)と竹島周辺の日本領海内で実施した。海上保安庁は巡視船を派遣し無線などで調査中止を求めたが韓国側が強行。警備艇が調査船と巡視船の間に割り込むなど、一時緊迫したが、物理的な衝突はなかった。

安倍氏は韓国側が海軍の艦艇も周辺海域に派遣していたことを紹介。「危害射撃命令が(韓国の)盧武鉉大統領からひそかに下った」と明らかにした。日本政府は、韓国側の海洋調査を阻止すれば銃撃戦になると想定。安倍氏は竹島周辺での阻止活動をやめたという。

安倍氏はこのほか、中国漁船衝突事件の中国人船長釈放について「こういう事案は官房長官が判断する(のが通例だ)。官房長官が海上保安庁と外務省を呼び細かい判断をする。(今回も)実際には(仙谷由人官房長官が)判断したと思う」と述べ、検察当局が釈放を判断したとする政府の見解を虚偽だと指摘した。》

これについて、私も最近、耳にして思うところがあったので、記事を補足してみようと思います。それは、政治の「判断」と「責任」というものがどういうものであるかを理解する一助になるかと思うからです。

ただ、正直迷ったのは、こういう風に安倍氏を取り上げると、いつも「お前が言うな」とか、私が安倍氏をかばっているとかどうだとか、そういう枝葉の議論ばかりが提起され、一つの実例、ケーススタディとして参考になるはずだと考える私の意図とは違う話に流れていくことが多いことについてです。そういう話はもううんざりという気分もあって、意味があると思うエピソードでも取り上げるのが面倒になっている部分もあるのです。

今回の件も、別に安倍氏が正しい判断をしたとか、偉かったとか言いたいのではなく、こういう時には政府や政府の要職にある政治家はどんなことを考え、どう判断するかということの貴重な証言だと思うのです。でもまあ、最初から「党派」でしか物事を見ない人には伝わらないのだろうなあ。しかしまあ、私のそういう個人的諦観はともかくとして、拓大で実際に安倍氏が語った言葉は次のようなものでした。

「私も官房長官等々をやっておりましたが、こういう(尖閣諸島沖での漁船衝突事件のような)事案が今までもありました。竹島でもありましたが、その時には官房長官が自分の部屋に海保の長官を呼んで、そしてまた、外務省も呼んで、そこで判断をしました。かなり細かい判断をします。

竹島の時には12海里の中に入ったらどうしよう、12海里の外だったらどうしようという判断をしました。その時には12海里に沢山の海保の船が、向こう側の海保の船が沢山いて、軍艦まで出してきた。最後には、危害射撃、つまり相手にも危害を加えてもいい射撃命令が盧武鉉から密かに下ったんです。

そこで、放射線の調査をする船が韓国からやってきてこの中に入るかどうか。入るまで阻止するけど、中で阻止をするかどうか。阻止をすると向こうが銃撃をする。そういうときにはどうするかは、全部、我々が判断しました。当然、海上保安庁の判断を越える判断です。

今回のことはまったくそうです。これを国が判断してない(と現政府は言う)。世界中は驚いてると思いますよ。どう考えてみたって、百歩譲ってああいう判断をする、間違ってると思いますけども、あの発表は官邸で発表すべきです。それを那覇の地検の分室で発表する。世界中がこれはおかしいんじゃないかと思います。実際、私は判断したんだと思います。実際はね。だからそこで嘘をついてはいけない」

…私が聞くところによれば、このとき、小泉純一郎首相は「この件は安倍君に任せるから」という対応だったそうです。ただ、事態はかなり緊迫していて、韓国の盧武鉉大統領は部下に「危害射撃」の許可を出したとのインテリジェンス情報が政府に入っていました。竹島は残念ながら事実上、韓国に「実効支配」されているのて尖閣と事情は異なりますが、まさに今回の事例と共通する領土・領海問題にどう対処するかという決断が迫られる場面だったわけです。

そこで、官邸の官房長官室で外務省、海保の最高幹部と協議した結果、安倍氏が下した判断は「接舷しての阻止活動はしない」というものでした。判断の背景には、「相手が中国だったら、外交は完全にゲームとしてとらえているから出方は分かる。こちらがこういう手を打てば、相手はこうするという予測が成り立つ。しかし、盧武鉉は韓国側の政府高官や軍人が当惑しているほどおかしな人物であり、何をするか分からない」という事情がありました。論理的思考や損得計算ではなく、わけのわからない飛躍した考えでめちゃくちゃしかねないということですね。

ちなみに、盧武鉉氏は意図してそう振る舞ったのではないでしょうが、外交交渉では相手国にこのように「何をするか分からない」と思わせることは重要です。北朝鮮なんか、それだけでここまでしのいできた部分がありますね。そして、官房長官室では、安倍氏と当時の石川裕己海保長官との間で、次のような緊張あふれる会話が交わされたといいます。

安倍氏「韓国側から射撃を受けたら、装甲の弱い海保巡視船は炎上、沈没もありある。ここで盧武鉉の『●×△』に付き合って隊員の生命を危険にさらすわけにはいかない。接舷しての阻止はやめることにする」

石川氏「官房長官、隊員はもとより領海を守る任務に命をかけています。その隊員の生命保護を理由にしての接舷とりやめには承伏しかねます」

安倍氏「分かった。それでは前言は取り消す。今回は、政治的・外交的な理由に基づく政治の判断として接舷はしないということにする。それならいいか」

石川氏「それならけっこうです。了解しました」

…現場の海保隊員の使命感は当時も今回も変わらないはずだと思います。また、近頃は不祥事の連続で評価を下げている検察にしたところで、現場の人たちの多くは、法の遵守と適正執行を望んでいるのは間違いないでしょう。今回の漁船衝突事件のように、それを歪めて中国人船長を釈放するのであれば、菅直人首相自身か、せめて仙谷由人官房長官が「政治の判断でそう決めた」と正直に語るべきでしょう。

なのに、現政府は「地検の判断だ」と繰り返し、卑怯にも自分たちで責任を負おうとしないわけです。そしてさらに、衝突のビデオ映像に関しても、「現場が適切に判断するだろう」などと現場に判断を委ねているかのような誤魔化しを続けています。

繰り返しますが、竹島の件の際の小泉政権、安倍氏の判断が良かったとか間違っていたとかいうために上のエピソードを紹介したわけではありません。もちろん私自身の意見、考えはありますが、それを言いたいというよりも、このような政府の意志決定過程を記すことで、現政権の異様さ、卑小さ、低劣さが浮き彫りになる点をくみ取っていただければと思います。最終的責任を政治がとるという前提があってこそ、現場は全力を尽くすことができるだろうに。

昨日、中国にとらわれていた準大手ゼネコンの社員が解放されたことについて、菅首相は「(日中関係は)いろんなことが元通りになっていくのかなと思う」と相変わらず脳天気で戦略的思考のかけらもないセリフを述べていました。卑怯・姑息が骨の髄までしみこんで、そういう自分たちの姿が端からどう見えるか、利害関係国の目にどう映っているか想像もできなくなっているようです

杜父魚文庫
| 阿比留瑠比 | 12:31 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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