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尖閣が危ない!!! 古森義久
尖閣諸島には日米安保条約が適用される。だから中国が武力を使って、尖閣の奪取や侵略を試みても、すぐ米軍が出動してくる。だから平和主義の日本は安心していられる。

どうもこんな感じ方が日本国内では広がっているようです。ところが実際はどうして、どうして。日本が尖閣諸島を失ってしまう危険は大きいのです。

その理由は日本の防衛問題の権威、佐瀬昌盛氏(防衛大学校名誉教授)の以下の論文を読むと、わかってくるでしょう。

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尖閣諸島沖での中国漁船による海保船衝突事件が紛糾する中、過般の日米外相会談でクリントン米国務長官は、日米安保条約第5条が尖閣諸島に適用されるとの米国の立場を語った。事件発生前の8月段階で米国務省は同趣旨の言明を行っていたし、長官発言と前後して、日米関係担当のキャンベル国務次官補も読売新聞に対し、尖閣諸島への条約適用について明確に「イエスだ」と述べた。1990年代に一時、米国の方針がぐらついた印象を与えたのと違い、今日、米国の見解は明確だ。

≪あくまで武力攻撃が要件≫

それを受けて、仙谷由人官房長官は国務長官発言を「当然の前提だと考えている」と述べ、北沢俊美防衛相は「日米同盟の観点から極めて適切な発言をしていただいた」と語った由である。つまりは安堵(あんど)というわけだ。が、それだけでは困る。米国側発言には日中両国に問題の平和的処理を期待する旨が必ず添えられており、第5条適用の機会を待ち望んでいるのでも何でもないからである。

現行条約下の50年間、第5条が発動されたことは無論、一度もなかった。発動の瀬戸際まで行ったことさえなかった。だから現行条約は成功作だったのだが、かえってそのため、日本は第5条発動事態の構成要件を緻密(ちみつ)に考えてこなかった。第5条にはこうある。「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」。よく読むべし。

尖閣が「日本国の施政の下にある領域」であることは、米国も同意している。ゆえに尖閣諸島と周辺領海は第5条適用の対象領域たり得る。が、第5条発動要件は、この領域での日米いずれかに対する外部からの「武力攻撃」(アームド・アタック)の存在である。それがない限り、この領域でのわが国の統治がいかに危殆(きたい)に瀕(ひん)しようと、第5条は発動されない。

外部勢力としては、直接に「武力攻撃」に訴えず、この領域を事実上、非日本領域化してしまうシナリオが描けないわけではないのだ。わけても尖閣領域が現状の無防備状態を続けている以上は。過般の尖閣での事件はこのシナリオの試行である可能性が高い。

≪サラミ戦術には発動できず≫

それは中国版サラミ戦術と呼べる。サラミ戦術とは、第二次大戦後にスターリンが東欧諸国を共産化するために採った方法で、直接にむき出しの力を行使せず、非共産諸勢力を、サラミ・ソーセージよろしく薄切りしていって結局は食い尽くした戦術である。海洋権益確保を「核心的利益」と見る北京は、強大化する軍事力を背景にして、その故事に倣(なら)い、直接には戦わずして獲物を得るサラミ戦術に出ている。

米政府の明確な「尖閣は第5条の適用対象」発言は、対尖閣武力行使を抑止する効果があり、私とてそれを評価する。が、仙谷長官や北沢防衛相のように安堵はしない。中国版サラミ戦術に対して第5条は発動できないからだ。

問題は、「武力攻撃」以前の執拗(しつよう)なサラミ戦術の展開にどう対応するかなのだ。少なくとも現時点では、類似の事態が今後に発生する場合、政府は今回同様、「粛々と」国内法適用で対処するという以外には無策であるらしい。

≪局地対応へ自助努力を≫

再度、第5条に戻ろう。日本領域で日米「いずれか一方に対する武力攻撃」がある場合、日米は「共通の危険に対処するように行動する」とある。つまり、言うも愚かだが、米国が第5条を発動する事態では、日本が自国領防衛の対処行動を取っていなければならない。尖閣の場合には、生じ得る「武力攻撃」は局地的だから、侵略排除の反撃も、均衡性の原則から局地的である。必要なのは局地的対処能力なのだ。

だが、尖閣にはそれがない。一般にわが国の離島防衛態勢は貧弱、劣悪である。その点に頬被(ほおかぶ)りして尖閣有事の際、米国に第5条発動を期待するのは虫が良すぎる。忌憚(きたん)なく言うと、米国の「尖閣は第5条の適用対象」という保証と実際の「第5条発動」とは必ずしも同じではない。間にかなりの隙間(すきま)がある可能性がある。

隙間をなくすには、日米の共同防衛行動を成り立たせるため、局地的な尖閣防衛に向けて、わが国が自助努力に励むほかない。現行安保条約下の50年間、わが国の自衛隊は見違えるほど成長した。だが、離島、特に中国が狙いを付けた尖閣を保全、防衛する自助努力は明らかに不足していた。海洋、海底資源が国家の将来を左右しかねない今日、安保、防衛政策の従来のこの欠落を補正する自助努力が不可欠である。

安保条約第3条は「武力攻撃に抵抗するため」に「継続的かつ効果的な自助及び相互援助」の必要を謳(うた)っている。時代適合的なその「自助」を欠いては、第5条の趣旨である共同防衛は成り立たない。菅政権はそのことを理解しているのか。

杜父魚文庫
| 古森義久 | 02:02 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |







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コメント
政治決着は政治決着として、しっかりとした次の事態への対策が必要です。既に相手側の意図が明確になっているのですから防衛出動待機命令と防衛施設構築の措置をとるべきと考えます。事が起こってからの防衛出動では、20日間以内、或いは、次の国会での承認が必要で紆余曲折が予想されます。同時に防衛費を少なくとも10%増やしてこそ、国土防衛の意思を示せると考えます。どちらも首相の凛とした決断が必要です。かねて現行法でサラミ戦略に対応するには、どうしたらよいか専門家の意見を伺いたいと考えてました。
| rokubeisan | 2010/10/08 6:28 AM |
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