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菅総理の「おどおどした顔つき」とは 古森義久
中国があの手、この手で攻めてくる尖閣諸島をわが日本はどう守るべきか。石原慎太郎氏が毅然とした主張を述べています。

その結びに「尖閣問題について語る時の菅総理のあのおどおどした顔つきはどうしたことか」とありました。いま尖閣諸島の主権、そしてその背後にある日本の国としてのあり方、日本国民としてのあり方を考えるために、この石原氏の意見を紹介したいと思いました。

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私はかねてから尖閣諸島の問題は日米中三国の関わりを占う重大な指標となるだろうといってきた。かつて尖閣の魚釣島に香港の活動家と称する、実は政府の意向で動く手合いが上陸して彼等の国旗をかかげる騒動を起こし一人が強制退去の折溺(おぼ)れて死亡するという事件が起こった時、アメリカの有力紙の記者が、このままいって尖閣の紛争がさらに拡大して熱を発したら日米安保を発動し米軍は日本に協力して直接行動をとるのかとモンデール駐日大使に質(ただ)したら、彼は言下にNOと答えた。

不思議なことにこれを問題とする者が誰もおらず、私一人が担当していたコラムで非難し、そんなことなら高い金を払って維持している日米安保の意味などありはしないと書いて、当時は野党だった共和党の議員や政策スタッフたちがこれに共鳴しモンデールは一週間後に更迭された。

そして今また尖閣を巡ってのアメリカの意向が厳しく質される時が来ている。尖閣周辺の領海領土に関しての中国の姿勢は我々を見くびった強引なもので、これがまかり通れば世界の秩序は簡単に崩れさる。日米安保を至上のものとしてきた日本にとっても、すべてアメリカ依存で過ごしてきた戦後の全てが総括されるべき時の到来ともいえる。

アメリカは決して自らのいかなる犠牲においても日本の領土を守ることはありはしまい、いや守れまい。明らかな衰弱の傾向にあるアメリカにとって現時点での日米中の関係での中国の比重は著しく増しており、ヒラリーは日本を守ると見栄は切っても他の高官は両国とも慎重に話し合えと圧力をかけてき、日本政府は渡りに船とその言葉を押し頂き、なんと地方の一検事にゆだねて中国に屈してしまった。

今世界中で頻発しているイスラム勢力によるテロは、長らくイスラム世界を収奪してきた白人社会へのいわば歴史の報復であって、先頭きって、その対処に動いているアメリカも、他の欧米諸国もこれを鎮圧勝利することは決して出来はしまい。混乱の流れは誰にも阻止出来ず、この歴史の大きな流れの中で中国はイスラムの肩を持ち、日本はその中国とアメリカの狭間で、誰を何を頼りに身を処していこうとするのだろうか。

もともと尖閣諸島が中国固有の領土であるという北京政府の主張は、歴史を無視した荒唐無稽(むけい)なものでしかない。彼等がそう主張するなら、戦後沖縄返還後も在日アメリカ軍が尖閣諸島を爆撃演習のために使用している間、同じ戦勝国としての彼等が何故アメリカに自国の領土を爆撃演習のターゲットに使うなと抗議しなかったのか。

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アメリカもアメリカで、返還後に中国や台湾が尖閣での漁業権を巡って主張し始めた時、日本がハーグの国際裁判所で裁判にも持ち込もうとアメリカに協力を申し入れたがアメリカは何を思ん計ったか、尖閣は沖縄として日本に返還はしたが、それがいかなる国に属するかについてはアメリカは関与しないといいはなった。

それにつけこんでかその後の中国のやり口はえげつなく強引で、手法はやくざの縄張り争いに酷似している。フィリピンが結局泣き寝入りさせられたスプラトリー諸島を見ても、まず無人の離れ島に潜入して中国の古銭や土器の破片を海中にばらまき、後に調査団がくりこんで海中からそれを拾い上げ、ここにかつて中国人が住んだ証拠があるといいはって強引に基地を造ってしまう。尖閣ではそうもいくまいが、日本の、というよりもアメリカの足元を見て日米間にくさびを打つべく揺さぶりをかけてきているのだ。

日本の歴代政府の、というよりも外務省の弱腰が結局今日の事態を招いたのだ。度重なる中国軍の領土領海侵犯になぜ、アメリカと計って毅然(きぜん)とした姿勢を示さずにきたのか。中国の潜水艦が領海内の海峡を無断で潜行して通過した時、これを牽制(けんせい)する爆雷投下をしてでも侵犯阻止の姿勢を示さなかったのか。

かりに日本の潜水艦が同じことを彼等の領海で行ったら、中国や北朝鮮、いや韓国とてこれを威嚇どころか爆撃沈没させただろう。『国防』というのはそういうことだ。

政府はこの事態の起こる前に日米合同で日本領土の孤島を守る演習をすると発表したが、聞くところ場所はどこかの演習地でとのことで、何故今危機に晒(さら)されている尖閣諸島のいずれかの島で行わないのか。それは相手にとって刺激的すぎるというなら、今の中国の領土侵犯の姿勢は我々にとって刺激的ではないというのか。

私はかつて青嵐会の仲間と計って拠金し有志の学生たちに頼んで尖閣の魚釣島に手製の灯台を造ったが、日本青年社がそれを引き継ぎ本格的な灯台を造ってくれた。しかし運輸省の水路部がこれを海図に正式に記載しようとしたら、外務省から『時期尚早』と横槍が入って放置されたまま長い時が過ぎ近年ようやく海図に載った。暗礁の多いあの島に無記載の発光物があるのは航海する者にとって極めて危険なことだが外務省はそれを誰のためにか無視し続けた。

この先尖閣の問題が一方的に過熱され、日米の連帯がこれに対して無為に過ごすなら、息をつめてこれを見守っている東アジアの国々における日本やアメリカの存在感は消し飛ぶに違いない。我々は今こそ、『天は自ら助くる者をのみ助く』という人間社会の公理について悟りなおす必要がある。

政府は戦後初めて国家としての大きな決断を迫られる時にいたったのだ。それにしても尖閣問題について語る時の菅総理のあのおどおどした顔つきはどうしたことか。

杜父魚文庫
| 古森義久 | 20:18 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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