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やはり、書いておく、金賢姫元工作員来日のこと 西村眞悟
昨日早朝、金賢姫元北朝鮮工作員(以下、金という)が来日した。それはいい。問題は、金はどういう立場で来日したのか、ということである。つまり、金は、鳩山由紀夫君の「客」か?
 
金は、昨日午前4時に我が国に入国してから、軽井沢の鳩山氏の別荘に直行して、そこに滞在している。そこで食事をして数泊する。従って、金は鳩山君の客だ。では、金が来日したときのチャーター機、そして帰国するときのチャーター機は、鳩山君の費用か金自身の費用で調達したのか否か。

事実は、あのチャーター機は、日本政府の費用つまり税金により運行されている。従って、日本政府が渡航費をだして金を招致したのなら、金が鳩山君の客となるのは筋が違うではないか。

今の状態なら、鳩山君の私邸にいる金に会う人は、鳩山君に「ごめんください、上がらしていただきます」とまず鳩山君の承諾を得なければならないことになる。これはおかしい。来日した金に会う人は、鳩山君の承諾を得る必要はない。

ここに、鳩山・菅そして民主党政権の、「公私の別」が分からない欠陥が露呈している。公私の別がつかないということは、国家と自分の区別がつかないということだ。国家と自分の区別がつかないということは、金正日と同じではないか。

そもそも、金という人物は、如何なる立場の人物か。

もちろん、現在、鳩山邸で行われているように、北朝鮮内でかつて出会った拉致被害者の田口八重子さんや横田めぐみさんの消息を家族に伝えることのできる人物である。

しかし、それだけではない。金は、横田めぐみさんらの拉致被害者が生み出されるに至る北朝鮮のテロ戦略を語れる人物であり、何故そして如何にして大韓航空機を爆破する際に蜂谷真由美という日本人のパスポートを所持していたのかを語ることができる人物である。

これらの情報は、日本にとって拉致被害者にとって非常に重要な情報である。またその課題は、一個人の私邸で話すことでもない。

仮に、金がもう一人の男の共犯者と同じように自決に成功しておれば、我が国は、大韓航空機を爆破したテロリストを送り出した国という汚名を受ける事態になった。それは、即、日韓の対立を生み出し、テロに成功した北朝鮮に南への武力侵攻を有利にするという漁夫の利をもたらしかねなかった。つまり、韓国のみならず我が国に対する重大極まる危機をもたらしかねなかったのが大韓航空爆破テロであった。

従って我が国政府は、金の来日に際し、「国家として訊いておかねばならないことがある」という毅然とした対外姿勢を示さねばならないのではないか。

しかるに、現政府には、この毅然とした姿勢はなく、最初から全くの私事の次元で金を受け入れたのである。鳩山君は、言ったであろう。「僕の軽井沢の別荘に来ていただいたらどうだろうか」と。「それは名案ですね」と菅君。多分こんな会話だっただろう。

よって、現政府の感覚は、政権への人気上昇策としての「有名人」の受け入れと鳩山邸への招待という次元である。

従って、現政府にとっての拉致被害者の家族は、菅さんと鳩山さんのお世話になって金に会うことができた被害者家族という位置づけなのだ。

そこで、何故金が今日本に来たのか、と考えたい。

それは、菅政権が、日韓条約にかかわらず個人補償を考え、8月に総理大臣談話で日韓併合百年目の反省と謝罪をすると表明していることへの韓国からの歓迎の意を示す答礼であろう。

とは言え、菅政権が、拉致被害者の田口八重子さんや横田めぐみさんの消息を家族が直接に金から聞くことができる機会を設ける為に金に来日してもらった、これも意義があることだというなら、それはそれで、なるほどと聞いておくことかもしれない。

しかし、菅政権には、我が国の政権としての責務があるだろうと言いたい。それは、国民を守るという責務だ。具体的には、朝鮮半島の状況に応じて、如何にして拉致被害者をはじめとする邦人を救出するのか、その覚悟があり、救出体制の構築に向かっているのか否か。この課題に対して、菅総理は、覚悟のほどを表明すべきである。残念ながら、同胞を守るために命を捧げた英霊をまつる靖国神社に参拝しないと表明している菅総理に、この覚悟が生まれるとは思えないが。
 
しかしながら、この覚悟がないなら、拉致被害者と家族の悲劇を際だたせる場面をセットして政権の人気上昇を狙う道具としての金招待と判断せざるをえないではないか。拉致被害者の奪還・救出の観点からは、生産的、前進的なものを生み出さない民主党的演出である。

仮に訊く。金が、「横田めぐみさんは、あの町のあの地点の家のあの部屋にいる、助けにいけますか」と極秘情報を告げた場合、

「分かった、直ちにその準備に入る」と答える立場の者が政府にいて、現在金と接触しているのか。友愛の家である鳩山邸にはいない。鳩山君は、こういう立場の者を家にいれないのではないか。

そもそも、こういう情報が金からもたらされれば、腰を抜かすのが民主党政権である。

以上を総合して、この度の北朝鮮元工作員、大韓航空機爆破犯人、蜂谷真由美こと金賢姫の来日には、違和感を禁じ得ない。
 
それにしても、軽井沢まで、横田さんご夫妻は、遠路どうして行くのだろうか、体に負担にならないだろうか、と考えてしまう。そして、娘のめぐみさんの北朝鮮での姿を聞くときのやるせなさは、如何ばかりだろうか。救出の覚悟なき政権の元にある被害者と家族の、寄る辺なき切なさを申し訳ないと思う。

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