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中国はなぜ脅威なのか 古森義久
このところアメリカが中国をどうみるかに関するエントリーを重ねてきました。中国は明らかにアメリカにとって――アメリカと一言でいっても、幅広いですが、国政レベルをも含めてのアメリカの多くの部分という表現がより正確でしょう――脅威と認識されています。

ではなぜ中国が脅威とされるのか。その基本点への考察の一助として私がまとめた本を改めて紹介します。そこにアメリカ側の中国観がふんだんに記されているからです。

この書の全体の内容の紹介として「はじめに」という部分を以下にコピーしました。アメリカでさえ恐れる中国の脅威! ―「米議会調査機関」の核心レポート

はじめに・・・中国とは一体、なんなのか。

中国とはなにを築き、なにを目指す国家なのか。アメリカにとって、さらに日本にとって、いまの中国はどんな意味を持つのか。いや世界にとっての中国とはなんなのか。

世界の経済を揺るがし、政治や軍事の面でも、ますますパワーを発揮する中国は、全世界の注視の的である。私の駐在するアメリカの首都ワシントンでも、ときには中国を語らずして、世界を語るなかれ、とさえ思わされるほどの中国論議のにぎわいとなる.

そのような存在感を劇的に強める中国の実態に奥深く光をあてたのがこの書である。

日本での中国情報には制限や偏向がある。中国は日本のすぐ近くに位置し、経済をはじめとする交流がきわめて広くなってもなお、日本で公開される情報では、枢要部分がベールに包まれたままである。

たとえば新鋭のミサイルや潜水艦の登場が物語る中国の軍事力拡大の実態、東シナ海で国威を発揚する国家主権の拡大の思考、宇宙やサイバーという領域での攻撃準備、そしてハゲタカとも称される巨大な中国の国家ファンドの内幕・・・などについては、日本での情報はきわめて少ないようである.

この書は日本ではわかりにくい中国のそうした領域の実情を報告している。アメリカ官民が総力をあげて実施した中国の研究と調査の結果である。アメリカ議会の常設政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」が長い時間と膨大なエネルギーを投入して続けてきた中国についての調査の二〇〇八年度報告書の翻訳と解釈がこの書の内容である。

中国の実態はどうかということと同時に、その中国をいまのアメリカがどうみるかも、これまた重要である。オバマ政権下のアメリカにとって中国とはなんなのか。この命題は国際社会にも、日本にも、きわめて大きな意味を持つ。中国の実像をどのようにつかみ、その中国にどう対処していこうとするのか。この作業はアメリカにとって切迫した重大課題である。そしてアメリカが中国にどう対応するのかは、日本をはじめとする諸国にとって、これまた重大な関心事となるのだ。

アメリカの対中政策やその結果としての米中関係のうねりが日本にとっても重い意味を持つことは言を俟たない。アメリカのそうした最新の中国への認識や態度を知るのにきわめて価値の高い資料がこの「米中経済安保調査委員会」の二〇〇八年度年次報告なのだ。同年十一月末に公表された。

アメリカの中国研究は官民ともに日本よりはずっと幅広く、奥行き深く、しかも鋭い切り込みで活発に進められている。そうした中国研究に取り組む多数の組織のなかでも、この米中経済安保調査委員会は中国に対して最も広範に、最も深層へと踏み込む機関だといえよう。

二〇〇一年に発足した同委員会は「米中両国間の経済関係がアメリカの国家安全保障に及ぼす影響を調査する」ことを活動の主目的とする。そのためには中国側の経済だけでなく政治、外交、軍事、そして金融やエネルギー政策まで実に広い領域に光をあて、それぞれの動きがアメリカの安全保障にどんな意味を持つかを探究する。その結果を議会や政府に政策勧告として通告する。

同委員会は連邦議会の民主、共和両党の有力議員から推薦された中国に関する専門家計十二人の委員によって構成される。その委員たちが中国に出かけてみずから調査にあたるほか、政府の国防総省、財務省、中央情報局(CIA)、国務省などの諸関連機関からの情報を得る。さらに個別の具体的テーマにしぼって公聴会を開き、そのテーマの専門家たちを証人として呼び、報告を聞く。資料の提出を求める。

二〇〇八年度報告の基礎となる調査活動としては委員会は中国本土だけでなく香港、台湾、そして韓国や日本までも訪れて相手側の官民の関係者たちと面談した。公聴会はこの一年近くに合計九回を開き、そのうち一回は中国からの海産物輸入の現場となるルイジアナ州での開催だった。残り八回はワシントンの連邦議会が舞台である。これら公聴会に出席した証人は合計九十二人にのぼった。もともと中国や米中関係の専門家である委員たちがさらに個別の分野の専門家を証人として招いて報告を聞くという仕組みなのだ。

この調査委員会の最大の特徴の一つは、その取り組みに民主、共和両党の思考や見解が含まれる超党派性だといえる。十二人の委員は六人が民主党、残り六人が共和党の各議員による任命なのだ。現在、委員長を務めるキャロライン・バーソロミュー氏は中国の人権や通商の専門家で、民主党の現下院議長のナンシー・ペロシ議員によって任命された。副委員長の中国軍事問題専門家ラリー・ウォーツェル氏は共和党デニス・ハスタード前下院議長の推薦だった。

この二委員だけをみても、推薦側の議員はそれぞれリベラルと保守の本流というコントラストを描く。委員会全体としてのバランスのよさ、幅の広さを明示しているわけだ。だからホワイトハウスの主がブッシュ大統領からオバマ大統領へと変わっても、議会の民主党側が逆転して議席を増しても、この委員会自体の強力な役割は変わらないといえる。

さて、では最初に年次報告の内容の概要を紹介しよう。

この報告は二〇〇八年の同委員会の調査や研究、分析、そして提言の総括である。同委員会はこの公表分の報告書とは別に政府諸機関や上下両院議員向けに秘密の報告書を提出した。

同年次報告は内容全体のなかでの主要な調査結果として以下の諸点をあげていた。

▽中国の人民元の対ドル交換レートは中国当局の操作により不当に低く抑えられている。
▽中国当局は政治や経済の利益を追求する手段として主権国家資産ファンド(SWF)を使うようになった。▽中国は高度技術製品の取引や開発を従来の規範に違反する形で進めている。

▽中国はなお問題のある大量破壊兵器の拡散に関与している。
▽中国は国家の主権という概念に特異な見解を示し、国際合意を無視する形で主権の拡大を図る。
▽中国のアメリカのコンピューター・システム侵入や宇宙での動きは脅威となってきた。

本書は以上の大別六つの領域についての報告である。しかし元の報告にはさらに以下の諸点についての記述もあった。

▽中国の海産食品の対米輸出にはアメリカ国民の健康への脅威が存在する。
▽中国の活発な動きが世界のエネルギー供給を激変させ始めた。中国の炭酸ガス排出も急増してきた。
▽中国は種々の新たな手段で外交的影響力を強化している。

▽中国の韓国、日本、台湾との関係のうねりはアメリカにも大きな意味を持つ。
▽中国の国内でのニュース・メディアやインターネットの規制は国際的な懸念を生んでいる。
▽中国の刑務所労働による製品のアメリカへの輸出がなお問題となっている。

以上の項目については本書では紹介はしていない。日本にとってそれほど重要な部分ではないということではなく、あくまで一冊の書として紹介するには量的に多すぎたことからの省略となった。

報告はその全体の「序」では二〇〇八年が小平氏による改革開放の開始から三十年にあたることを指摘していた。氏が求めたシステムは「中国的特徴の資本主義」とか「市場社会主義」と評されてきたことを強調する。

その上で基本認識として次のように述べていた。

「中国の経済自由化への道がやがては自由市場経済の資本主義、さらには民主主義にまで通じるだろうという西側の期待はまったく打ち砕かれてしまった。この報告が詳述するように、中国当局はまったく異なる道を選んだのだ。その長期の経済成長の疾走は政治改革への足がかりではなく、むしろ逆に中国共産党の永続統治の正当化に利用されてしまった」

「二〇〇八年夏の北京五輪は中国の金メダルの大量獲得こそ実現させたが、その一方、世界の視線を中国の急速な経済成長の環境問題への悪影響や自由な言論、自由な思考、自由な報道への政府当局による無慈悲な抑圧へと向けさせることとなった」

この報告全体が特徴づける中国のいまのあり方は、このへんの記述によって浮き彫りにされるといえるだろう。きわめて批判的、警戒的な対中認識なのである。このへんはオバマ政権自体の中国への姿勢よりはずっと強固だといえる。オバマ政権はこのところ中国への批判や非難はできるだけ抑えるという方向へ傾いているのだ。


しかしこの報告も「序」の部分で中国の前向きな動きにも光をあてていた。

「二〇〇八年中に中国はより多くの国際的な責任を負担することにもなった。六カ国協議への中国の関与は北朝鮮の核兵器を破棄させるための交渉に寄与する結果となった。中国は核兵器の拡散防止自体に対し協力を増してきたのだ。中国はインドとロシアとのそれぞれの国境紛争を平和的に解決した。世界貿易機関(WTO)でもさらに積極的な役割を果たすようになった。二〇〇七年は衛星攻撃兵器の実験を突然、断行して、宇宙に危険な破片をばらまく結果となったが、二〇〇八年九月には初の有人宇宙飛行を平和裏に実現させた」

つまりは中国の動向はアメリカからみれば、光と影、明と暗と、安全と危険と、多様なコントラストを描くこととなる。だがそのなかでもアメリカにとってはまだまだ脅威や懸念の元となる中国の動きが多いというのがこの年次調査報告が描き出す全体像だといえそうである。

さて、では報告の主な内容を分野ごとに区分して伝えることにしよう。原文のそのままの引用と要約と解説を組み合わせながら各部各章ごとに紹介していくことにする。

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