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中国の一国中心主義では客観的評価ができる筈がない 宮崎正弘
中国の格付け機関が投資戦略のシフトをうながし、多元化を示唆。それでも米国債に9000億ドル、日本の国債は、その百分の一に過ぎず。

世界三大格付け機関といえば、S&P(スタンダート・プア)、ムーディズ、フィッチである。
世界中の国と地域が発効する国債、地方政府債、社債の信用力をランキングつけし、機関投資家に、その情報を提供する。日本の銀行の格付けを劇的に意図的に下げて、欧米の格付け機関は日本の金融不況を側面から促進した形跡もあり、一部投資家には「格付けが意図的、政治的」と批判する向きもある。

この信用を第一とする核付け機関の列に中国が参入してきた。

中国に同類の格付け機関が誕生したのは1994年。その名を「大公国際資信評価有限公司」(英文名DAGONG)という。

これまでは目立つ活躍もなく、世界の投資家にはその存在さえ知れ渡っていなかったうえ、中国がありあまる外貨を資本に国家の投資企業(CIC)を立ち上げたときも、アドバイザー役と果たした訳でもなければ、同機関がブラックストーンなど米国の荒っぽいヘッジファンドに30億ドルを投資し、失敗しても同行からの発言は聞こえてこなかった。

俄然、注目をあびたのはリーマン・ショック、ドバイ・ショック、ギリシア・ショックとたてつづいた金融不安に直面し、中国が真剣にポートフォリオ変更に歩み出したからである。

つまり米ドル中心の、米国債への集中投資パターンの組み替えだ。

多元的に世界をみわたし、信用の高い金融商品に投資し、ドル基軸、米国中心主義という路線を戦略的にシフトさせ、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円から、さらには豪ドル、スイス・フランへも保有する通貨を多極化させた。

日本で注目されたのは2010年に入ってから中国が猛烈に日本の国債を買い始めたからである。しかし米国債に投資した9000億ドルと比べれば、日本の国債保有は、その百分の一に過ぎず、脅威視するには時期尚早だろう。

投資対象の多元化、通貨保有の多極化というポートフォリオの組み替えは、西側のファンドなら皆が行っている日常業務だが、これまでの中国の投資行為は基本的に政治であり、外交の手段であり、対米投資が重点だった。

▲いかなる政治判断でランク付けをおこなったか?

さて大公国際資本信用評価有限公司だが、設立の主意を改めて読んで驚いた。「国際社会における中国の信用力を高め、中家民族の復興が重大目標である」としているから、一国中心主義、自己本位。これでは客観的評価ができる筈がない。
 
ちなみに同行が最近発表した国別評価は次の通り(アルジャジーラ、7月15日)。

 AAA  スイス、デンマーク、ルクセンブルグ、シンガポール、豪州、ノルウェイ等
 AA+  中国、ドイツ
 AA   米国
 AA−  日本、フランス、英国、韓国
 A−   チリ、ベルギー、スペイン、南ア、露西亜、エストニア、マレーシア、イタリア、ポーランド、      ブラジル、ポルトガル、イスラエル等

この評価は専門家からみても「政治的配慮」がまだまだ強く全面出でている。

そればかりか、中国の国債、社債の信用力が日本のそれより2ランクも上になっており、ユーロ危機で破綻した「ギリシアの次」と危険視されるイタリア、スペイン、ポルトガルがそろってA−のランク入りしているのも、どうみても尋常なる評価とは考えにくいだろう。

現在、中国が保有する「米国債」は9002億ドル(ヘラルドトリビューン、7月15日付け)、ただし長期債を七年以内の中短期債権にシフトさせている。これは次の中国の投資行動の一種のシグナルであろう、と観測されている。

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| 宮崎正弘 | 08:22 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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