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「保守分裂」「新党乱立」滅びの危機を回避せよ 桜井よしこ
いま民主党で活躍する中堅議員の妻たちが今年夏の参議院議員選挙では、絶対に民主党には投票しないと断言する。夫たちに、党を割って出て新党に合流し、政界再編の先鞭をつけろと鼓舞する。こんな話が複数の議員たちから聞こえてくるようになった。

いまや身内の妻たちさえ見放しつつあるのが鳩山民主党だ。外部の鳩山評は、もっと厳しい。米国気鋭の日本研究者、マイケル・オースリン氏が「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙に、日本叩き(ジャパン・バッシング)も日本無視(パッシング)も過ぎ去って、いまや、日本蔑視(ディッシング)の時代に入ったと書いた。その責任は鳩山由紀夫首相が日米間の信頼を損ねたことにあるとして、「鳩山首相は2度、オバマ大統領に普天間問題は自分が解決すると明言し」、実行しなかったと批判した。

政治史に深く刻まれるであろう鳩山政権の内政外政双方における失政にもかかわらず、自民党への支持は戻っていない。昨年8月、自民党を見放した有権者が民主党に投票し、いま、その有権者が民主党を見放しつつあるその政治空白の中で、新党誕生のラッシュが続いている。小選挙区制によって二大政党に向かうと思われた政治で、二大政党が共に民意を把握出来ないでもがいているのだ。

昨年結成された「みんなの党」に続いて、今年4月には、予想された人々による新党が出揃った。「たちあがれ日本」「日本創新党」「新党改革」の共通項は、非自民・非民主で第三極を目指す点だ。当面の目標は、参院選挙での民主党の過半数獲得を阻止し、その暴走を止めることだ。さらにその先に政界再編への期待を新党は抱く。

では新党に、夏の選挙で、民主党の暴走を阻止し、政界再編を牽引する力はあるだろうか。大規模な化学反応が起きれば別だが、現状では難しいと思われる。

理由は渡辺喜美氏の「みんなの党」を含め、新党がいわば一点突破の政党にとどまっていることだ。掲げる政策はそれぞれ分かり易く、一定の支持は得られるだろう。だが、いま必要なのは、民主、自民に取って代り、国民を納得させ、強力な求心力を実現する国家観や安全保障観の明確な旗を打ち出すことだ。それが、現時点ではどの新党にも出来ていない。

「みんなの党」は公務員制度改革と天下り禁止を謳うが、教育政策も安全保障政策も、示し得ていない。昨年の衆院選挙では予想外の300万票を集め、「大化けする」可能性も取り沙汰されてはいるが、衆議院で308の圧倒的議席をもつ民主党を突き崩し、政界再編につなげていくには、広範な支持を集める大戦略としての国家観が欠かせない。

平沼赳夫氏の「たちあがれ日本」は経済回復とその先の財政再建を掲げた。平沼氏の持論である自主憲法制定も党の基本政策に入ってはいるが、共同代表の与謝野馨氏の金融・財政再建策の色彩がより強く打ち出されているのは否めず、これまた広がりに欠ける。

杉並区長の山田宏氏ら地方自治体の首長連合である「日本創新党」は、経済、地方自治体、国家の3つの自立を掲げた。「自立」は当然、安全保障上の自立を含めているはずだが、首長としての実績を訴える限り、彼らが各々の自治体で実践してきた財政基盤の改善に議論が集中するのは避けられず、結果、彼らの目指す国家像が見えにくい。

「新党改革」は、首相候補として高い支持を得てきた舛添要一氏が看板を立てたとはいえ、その政策目標である「清潔な政治」はあまりにも漠としており、国家観も見えてはこない。

「保守票の食い合い」

こうして見ると、新党はいま、星雲状態である。日本の新しい可能性として光り輝こうとしながらも、バラバラの混乱状態にある。これを、評論家で拓殖大学大学院教授の遠藤浩一氏は、「暴走する民主党を止めるためのやむを得ざる過渡的状況」と見る。

「自民党を離れた人たちが新党を立ち上げた目的は、民主党から逃げ出す票の受け皿になることに他なりません。彼らは受け皿になる可能性を持っています」

遠藤氏は、平沼氏らの「たちあがれ日本」を次のように分析する。

「『たちあがれ』の結党時の世論調査では、76%が『期待しない』と回答した一方で、18%が『期待する』と答えました。18%は約2,000万人です。ある程度の票は『たちあがれ』をはじめ、新党が吸収していくでしょう」

「たちあがれ日本」を、「立ち枯れ日本」と揶揄した渡辺喜美氏のところには、抗議のメールや電話が殺到したそうだ。「たちあがれ」の支持者に高齢層が多いとすれば、投票率が80%を超えるほど高い彼らの票が集まる可能性もある。世界一の高齢国家だからこそ、高齢者の知恵と体験をもっと国政に反映させて日本再建につなげたいと考える人も少なくないだろう。

このように、たしかに新党はある程度の票の受け皿にはなり得る。但し、吸収した票が議席に結びつくかと言えば、必ずしもそうはならないと遠藤氏は警告する。

「票を取ることと議席を獲得することの間には、大きな開きがあります。『みんなの党』はともかく、『たちあがれ日本』や『日本創新党』、『新党改革』など、選挙直前に作られた政党は、1〜2議席を取るのですら、苦戦を強いられると思います。加えて、小沢幹事長とて、危機感を抱いているはずです。選挙前に鳩山内閣を退陣させ人心一新をはかれば、ある程度、支持の回復は出来るでしょう。その点を考えれば、尚、新党の得票=議席の飛躍的拡大とはならないはずです」

元首相の安倍晋三氏が得票数と議席数の乖離について語った。

「票と議席が大きく食い違うのが小選挙区制の特徴のひとつです。たとえば自民党は小泉さんのときの2005年の選挙で小選挙区で3,252万票を取り、219議席を獲得しました。昨年は2,730万票で64議席でした。得票数が522万票減っただけで、議席数は約3分の1に激減しました。

理由は2つです。ひとつは、最高点を取った人だけが議席を手にするという小選挙区制であること、もうひとつは、当時は野党が割れていなかったことです。

今度の選挙では、民主党への国民の不満には著しいものがあるにも拘らず、自民党をはじめとする保守にとっては不利な状況です。野党陣営が割れており、与党陣営を利する構図になっているからです」

野党、つまり保守勢力が分裂状態にあることが、民主党有利に働き、結局、小沢民主党が喜ぶ結果になりかねないと、安倍氏は憂慮するのだ。

「保守票の食い合いが起こる危険性は明らかです。一例は、平沼さんの党から、たとえば中山成彬さんが比例で立てば、支持母体が似通っている自民党の山谷えり子さんの票が奪われかねないといった具合です。ここは知恵を働かせる必要があります」

と安倍氏は指摘する。


真の保守政治の確立

一方、遠藤氏は、新党の当面の目標である「暴走する民主党を止める」ためには、自民党と新党間の選挙協力が是非とも必要だと強調する。

「それには、新党が自民党の別働隊という否定的なイメージをもたれず、しかし、保守の理念は貫くという難しい匙加減が必要です。その難しさを克服するには、各新党の長所と短所を、うまく活用し、勢力を結集することが欠かせません」

新党の長短はざっと以下のようにまとめられる。

「みんなの党」の渡辺氏の売りは政策よりも反射神経だ。与党だった自民党から飛び出した政治的嗅覚は、政局の戦いで勝ち抜いていくのに必要不可欠の要素だ。

「たちあがれ日本」の与謝野氏が発表した政策は、経済重視で日米安保条約にも、安全保障全般についても殆ど触れていない。その点を国防意識が強く保守層に人気の高い平沼氏の主張で補っていくことが必要だ。

首長連合の「日本創新党」は、山田氏の持論である3つの自立の中の、国家の自立についてもっと前面に打ち出すのがよい。

「小規模の新党は候補者の層がどうしても薄くなり、人材の限界があります。それを補うために新党の長所を汲み上げつつ、政界再編に不可欠の大きな国家観を提示しなければなりません。そこで新党と自民党の連携が最重要課題となります」

遠藤氏は再度こう強調した。自民党幹部も匿名で語った。

「相手は民主、社民、国民新党に、公明党を加えた陣営だと考えなければなりません。反民主救国戦線の大きな政治の潮流を生じさせるには、本来自民党が立ち上がらなければならない。谷垣総裁にはその覇気も気概もない。であれば、80名近い議員が参加する『創生「日本」』が中心になるべきです」

「創生『日本』」は真の保守政治の確立を目指して故中川昭一氏らが立ち上げた超党派の議員連盟だ。最高顧問は平沼氏である。「創生『日本』」から各新党との連携が生まれれば、政界の大化学変化が起きる。そのとき初めて、民主党の暴走を止め、日本に必要な政界再編を進めることが可能になる。(週刊新潮)

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