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藁(わら)が消えて行く 渡部亮次郎
古来から稲の生産が盛んであった日本では、藁は大量に出る副産物であり、これをいかに利用していくかが生活そのものであった。

例えば、『万葉集』の中でも見られる住宅に藁を敷いて寝るというスタイルは古代から地域によっては江戸時代まで続き、住宅が板敷きになっても藁布団を用いたり、茣蓙や筵のような敷物や畳・円座などの藁製品の上に座る風習は長く続いた。

ところが、いまや何処の農村でも藁は無くなり、注連縄(しめなわ)も藁で無い材料を使わざるを得ない状態になっているらしい。

当メルマガ「頂門の一針」の読者からの指摘に依ればコメ(秋田小町)5Kg=2000円なのに、東京・小岩の藁専門店では藁5Kgの方が高くて2100円だそうである。

http://www.waranawa.com/wara.html?gclid=CKOrjO-BzKECFRVAbwodYHVVdw

1960年代以後の農業の省力化と藁製品そのものの需要の減少によって藁仕事は殆ど見られなくなったからである。今や稲刈りを手でするところはまず無い。コンバインだ。

すると藁は細かく粉砕されて田圃に撒かれる。だから藁を藁として取り出す為には稲刈りを手でやらねばならず、人件費の分、コメより割高になってしまうのである。

黄色のビニールで作った注連縄は丈夫で長持ちするが、そうではなくて藁が手に入らなかったための苦肉の策ではなかったか。

かつて、農業地域の収穫期には大量の藁が発生するため、業者が大型トラックでその買い付けにやって来るという光景がごく当り前に見られた。

だが、コンバインが収穫作業の中心となってからは、刈り取られたイネがその場で直ぐに裁断され圃場一面に排出されるため、かつてのような買い付けの光景を見ることはまず無い。

かえって、今日では藁が貴重なものとして取扱われる傾向にある。最近の研究で本田技術研究所からバイオエタノールの製造実験が発表されている。

戦後、住宅が板敷きになっても藁布団を用いたり、茣蓙(ゴザ)や筵(むしろ)のような敷物や畳・円座などの藁製品の上に座る風習は長く続いた。

また衣服としては笠や蓑、草鞋、藁手袋、雪国における深沓など、食生活では鍋敷や鍋掴、束子や容器類など、その他箒や俵、畚、縄跳用の縄なども藁製品の代表例である。

子供の頃は、日露戦争帰りの祖父に藁靴や草履の編み方を教わり、それを履いて通学したものだ。あれから60年以上経った今ではすっかり忘れてしまったが。

また、注連縄や藁馬、藁人形など宗教的な側面や、燃料・肥料・飼料などのエネルギーとしての側面もあった。不要な藁製品は堆肥化することで有用なまま処理することが可能であった。

藁細工を行うにはハカマと呼ばれる下葉を取り去るワラスグリをはじめワラ切り、ワラ打ちなどの加工、更に腐熟を防止するために囲炉裏で乾燥させるとともに煙の微粒子を付ける作業も重要であった。

とはいえ、これらの作業以外は基本的には撚り・束ね・組み・編み・巻上げ・織りといった比較的習熟しやすい作業が多く、農作業が出来ない冬などに老若男女を問わずに現金収入を得るための藁仕事が行われた。

たとえば筵(むしろ)を2つに畳んで左右を縄で縫えば叺(かます)という袋状の入れ物になり、化学肥料の入れ物として、大量に消費されたが、ビニールの普及とともに使われなくなった。

俵(たわら)も似たような変遷を辿った。戦後も長い間、玄米を詰めて都会に送られたが、現在では俵は都会では目にする事はなくなった。玄米の入れ物は紙の袋になっている。

昔の農村では、原料代が不要でかつ多くの村々で藁仕事が行われたことは結果的には藁製品が大量かつ安価で流通することになり、藁を無駄なく利用しようとする農村部とは違う意識を単なる消費者に過ぎない都市部に植え付ける結果となった。

「米は藁作り」「藁を焼いたら笑われる」と言われた農村部に対して「溺れる者は藁をも掴む」「藁包に黄金」など藁を安価なもの、粗末なものとして捉える都市部の言葉の違いとなって現れた。

18世紀に蝦夷地のアイヌの元を訪れた日本人が「アイヌは鮭を主食としているのにその皮を足に履いて踏みつけにしている」ことを非難したらアイヌから逆に「和人(日本人)は米を主食としていながらその藁を足に履いて踏みつけにしているではないか」と反論されたという話が伝えられている。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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