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「普天間」に進退かかる鳩山首相 花岡信昭
*混迷の最大の要因は、首相の政治的センスの欠落

沖縄の米軍普天間飛行場移設問題は、なんとも非生産的な政治テーマとなってしまった。5月決着を目指す鳩山首相だが、たとえどんな結論を出してもすんなりとおさまることはあるまい。進退をかけて決着をつける以外にないと思われるのだが、首相にその覚悟はあるか。

結論的にいってしまえば、事態をここまでもつれさせたのは、鳩山首相の政治的センスの欠落が最大の要因だ。政権発足時に、「普天間問題についてはいろいろ意見もあるだろうが、自民党政権時代に日米間で合意してしまったのだから、これでいく以外にない」と逃げてしまえばよかった。それが政治的巧緻というものだ。

政治の世界の話だから、たくみさ、したたかさ、あるいは表現は悪いが、ごまかし、だましあい、知らんぷり・・・といったものが使われるのは当然といっていい。

建て前と本音が交錯しあう世界である。それもすぐれて大人の社会だ。さまざまな利害得失、主張、主義、立場......が関係者すべてにあるわけだから、一刀両断というわけにはいかない。

政治は妥協と調整の世界であり、談合・なれあいと紙一重といわれようとも、政治的リアリズムとはそういうものだ。

*外交・安保問題では「政争は水際まで」がスジ

小学校の学級会ではないのだから「よーく話し合って決めましょう」というわけにはいかない。表の話し合いの段階では、すでに水面下でほとんど話がついているというのが政治である。要人の会談などでは世間話で時間を費やし、あたかも激論を交わした末に決着をつけたというかたちをとることもある。

普天間移設問題は、なにやら学級会モードに入り込んでしまったかのような印象を受ける。だいたいが、なににつけ鳩山政権そのもののやっていることは、そうしたイメージが濃い。これを民主主義と勘違いしているところに、この政権の悲喜劇がある。

十数年かけて、日米間でようやく名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部に1600メートルの滑走路をV字型に2本つくるという合意にこぎつけた。騒音被害をより少なくするためにV字型滑走路にするというのだから、これまでにない規模の大サービスといえた。

これを50メートルか100メートルほど、海側に動かすかどうかといった微調整は残されていたらしい。動かすとなれば埋め立て面積が広がる。それを見込んで「埋め立て用の土砂のため、近隣の山を二つ買った人がいる」といった話も飛び交った。ウワサの域を出ないのだが、普天間移設で残されていたのは、せいぜいその程度のことだった。

外交、安全保障政策にからんだ問題では「政争は水際まで」がスジである。政権が交代するたびに外交、安保にかかわる基本方針がくるくると変わっていては、国際的信用も保てない。

*参院で過半数を制し、社民党の重みは下がった

二大政党によって容易に政権交代が行われる政治システムは、米英など先進民主主義国家では当たり前になっている。議会制民主主義と政党政治を最も機能させるには、このシステムがやはり一番すぐれているというべきだろう。

そうした意味では、少数党が存在し、連立政権を余儀なくされる現行の政治構造は、来るべき理想的な政治システムへ向かっての過渡期の現象にすぎないと思いたい。普天間問題は、そういう位置づけで見つめなおす必要がある。

鳩山政権は民主党に国民新党、社民党を加えた3党連立でスタートせざるを得なかった。国民新党は参院の民主党会派に属しているが、政権発足当時、社民党を加えないと参院で過半数に達しなかったためである。

それが、自民党からの離党者の入党などによって、民主党会派は参院での過半数を制するようになった。社民党の重みはぐんと下がったことになる。

今後、普天間問題決着に向けて、社民党の連立離脱という事態が起きたとしても、衆参両院で過半数を得ているという構図に変わりはないのだ。

これまでは社民党の意向を尊重しなければならなかったのだが、この状況変化によって鳩山首相の態度が変わるのかどうか。「常時駐留なき安保」を主張したこともある鳩山首相だけに、そこがもうひとつ不透明だ。

*国民新の「陸上案」では地元の抵抗が強硬になる

ではあっても、米領グアム島や北マリアナ諸島のテニアン、サイパンへの全面移設を第一に掲げる社民党案には、とてもではないがついてはいけまい。

社民党は国外移設が実現するまでの暫定措置として、海兵隊の訓練を沖縄県外の自衛隊施設などに分散させる案も提出した。これも現実問題としては、無理な話である。いくつもの自衛隊施設への分散というのでは、それぞれの地元との折衝には気の遠くなるような時間と手間がかかる。

国民新党はキャンプ・シュワブ陸上部に1500メートル級滑走路を建設して移設するという「陸上案」と嘉手納基地統合案を出した。

沖縄出身の下地幹郎国対委員長がこの問題を担当しているだけに、嘉手納統合案はともあれ、陸上案は現実的な代替案とも受け取られている。

だが、陸上案はすでに日米間で議論の対象となり、その結果、より騒音被害の少ない沿岸部に移設するという合意が生まれた経緯がある。いまさら、陸上案で米側が納得するとは思えない。

第一、地元の抵抗は沿岸案よりもさらに強硬なものとなるだろう。それを克服するひそかな対応策が下地氏にあるのであれば別だが、そのあたりは定かではない。

*日米合意の「沿岸案」以外に着地点はなかった

鳩山首相は相変わらず「国民の理解」が前提だとし、「とくに沖縄県民の理解が得られる案に集約させるプロセスが必要」などと述べている。

実態としては、自民党政権下で地元の合意はほぼ取り付けられていたのである。

それを鳩山首相が「ゼロベースで」などと言い出したものだから、沖縄県内の雰囲気は20年前に戻ってしまった。名護市長選も移設反対派が勝利した。

はっきり言ってしまえば、日米合意のキャンプ・シュワブ沿岸案以外に着地点はなかったと見ていい。それも、鳩山首相の稚拙な対応のために、状況は一変してしまった。

「県外・国外」案で米側が応ずる見込みはまずない。となれば、どんな案を持ち出しても、本当に5月決着を目指すのであれば、ここは鳩山首相がその進退をかけるほかはない。「自分は首相の座を投げ捨てるから、なんとかこの案で認めてほしい」という段取りに持っていけるかどうかだ。

それにしても、鳩山首相は基地移設問題を甘く見ていたとしかいいようがない。普天間問題の核心は、日米安保の有効性をいかに担保していくかという根源的な課題にぶち当たるのである。

いうまでもないが、日本の安全保障の基本は米国の「核の傘」を背景とした在日米軍の存在に依拠している。これと自衛隊の防衛力によって、東アジアの軍事バランスが保たれ、この地域の安定と平和を維持している。

*台湾海峡・朝鮮半島と等距離、沖縄が「安保の要」

対米追随から脱皮するとして対等な日米関係を主張するのであれば、日本独自の軍事力強化が必要になるのだが、そのことをめぐる冷静な議論はまだまだこれからの課題である。

それ以前に、米軍基地の移設問題でこれほどの混乱をさらしてしまうのでは、日米同盟の空洞化を招きかねない。この事態をほくそ笑んで見ているのはどこか、そこをじっくりと見据えるべきだ。

沖縄に在日米軍の7割余りが集結している現状から、沖縄の負担軽減をという論議が強いことも十分に分かる。ではあっても、地政学的に見て、沖縄は台湾海峡、朝鮮半島とほぼ等距離にあり、やはりこの地域の安全保障の要なのだ。ここに米軍がどっしりと構えていることが、地域の安定、平和の土台となっている。

沖縄には、そのことの重みをぜひともまっすぐに受け止めてほしい。「反米・反基地」一辺倒ではなく、沖縄が日本の、そして東アジアの平和を維持しているのだという自負である。

先の大戦で沖縄が多大な犠牲を強いられたことは、「本土側」も痛いほど承知している。だが、これを言い出したら、東京大空襲を例に出すまでもなく空襲を受けた地域は全国に散在しているのである。

さらにいえば、万一、日本有事という事態が起きた場合、在日米軍の兵士たちは、日本人を守るために生命をかけるという義務を負っている存在だ。それが日米安保体制の核心である。

基地移設をめぐる騒動は、その事実への厳粛な認識を決定的に欠いていることに思いをはせるべきである。

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