<< 麻生前首相と渡部元衆院副議長が会談 古沢襄 | main | 不束かなれども宗任様の婦とされたし 古沢襄 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | pookmark |







「知らなかった」の深刻 岩見隆夫
知る人ぞ知る、なのだろうが、最近、鈴木正三(しょうさん)(1579〜1655)の事績を初めて聞く機会があった。先賢の知識が乏しかったのを恥じ入るばかりだ。

鈴木は江戸前期の禅僧だが、もともとは三河松平藩の旗本、42歳で出家し武士道を加味した仏教を説いた。しかし、それにとどまらない。加藤周一は、<庶民大衆に語りかけた知識人の原型>と評価し、山本七平が<世界に通用する思想家>とたたえた人物だ。

多くの著作の一つで、鈴木は、<指導者が備えるべき能力>として、次の七つをあげている。

(1)先見の明がある人
(2)時代の流れが的確に読める人
(3)人の心をつかむことができる人
(4)気づかいができて人徳のある人

(5)自己の属している共同体、組織全体について構想を持っている人
(6)大所高所から全体が見渡せる力量を持っている人
(7)上に立つにふさわしい言葉遣いや態度が保てる人

鎖国の世にあって、刮目(かつもく)に値する慧眼(けいがん)である。指導者の条件について、これまで数限りなく指摘されてきたが、鈴木原則ほど行き届いたのを知らない。

鈴木が77歳で他界してから約350年が過ぎた。いまの最高指導者、鳩山由紀夫首相のリーダーシップは鈴木原則に照らして、どうだろうか。

ほとんどの項目は判定するデータがまだ足りない。もっとも気がかりなのは最後の(7)、ついで(3)だ。この2項は深くつながっている。とりわけ、鳩山首相の言葉遣いは、黄信号が点滅している。2日の衆院予算委員会で、自民党の加藤紘一元幹事長が北海道教職員組合の違法献金事件を取り上げ、

「かなりショッキング……」と追及すると、鳩山は、「法令違反があってはならないのは当然だ」と答えた。加藤はいらだつ。

「総理の言葉はなんとなくシュールなんです。超現実的で心耳に届かないんです」と言ったが、鳩山はきょとんとしていた。

シュールとは、またなつかしい言葉が飛び出したものだ。シュールレアリスムの略。1920年代のフランス、既成の美術・道徳とは無関係に内的生活の衝動を表現する芸術運動のこと。

戦後の一時期、斬新さの代名詞のように使われた。加藤は褒め言葉で使ったのでなく、浮世離れしていてピンとこない、といった意味だろう。

鈴木原則に照らすと、<上に立つにふさわしい言葉遣い>でなく、従って、<人の心をつかむことができる人>からも遠い、となる。言葉が鳩山政権のアキレスけんになってきた。

浮世離れで言えば、母親からの提供資金12億6000万円について、鳩山がこの数カ月、「知らなかった」と同じセリフを繰り返してきたのが、その最たるものだ。多くの人が、最初は当然疑い、次第にひょっとするとそうかもしれない、と転じたものもいる。

献金問題はクリアか、と思われた時期もあった。だが、脱税問題がからんで、鳩山が、「知らなかったのだから、脱税の意図があるはずがない」と言うに及び、また空気が変わる。これも理屈はそうかもしれないが、<上に立つにふさわしい言葉遣い>とほど遠い。言葉の恐ろしさだ。

極端に浮世離れした首相が、浮世の面倒をみるのか、とだれもが思う。「知らなかった」問題はいまや深刻だ。鳩山は言葉と本気で格闘しなければならない。(敬称略)

杜父魚ブログの全記事・索引リスト
| - | 09:34 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







スポンサーサイト
| - | 09:34 | - | - | pookmark |







コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://kajikablog.jugem.jp/trackback/996129
トラックバック

CALENDAR

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< August 2019 >>

SEARCH

SELECTED ENTRIES

RECENT COMMENT

CATEGORIES

ARCHIVES

LINKS

PROFILE