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核搭載艦寄港のライシャワー発言の真意 古沢襄
「共犯の同盟史 日米密約と自民党政権(岩波書店)」の著者・豊田祐基子さんは、著書の中で次の様に書いている。エドウイン・ライシャワー東アジア研究所客員研究員で、二〇〇六年九月から一年間、米ジョンズ・ホプキンス大高等国際問題研究大学院に留学、日米外交関係の米側資料に精通したジャーナリスト。

<<元駐日米大使エドウイン・ライシャワーが毎日新聞記者古森義久に対し、核搭載艦船寄港をめぐる密約の存在を明らかにしたのは、それから(古沢注記=大平首相の死亡)約一年後の一九八一年五月だった。

「”モチコミ”とアメリカ側のいうイントロダクションとは、二つの異なったことを意味したからです。アメリカの船は(核兵器を積んで)入港していたのです」(古森義久「核は持ち込まれたか」文藝春秋)

ライシャワーは古森とのインタビューのなかで、一九六三年四月に大平と交わした会話にも触れ、米国の核の傘に守られている実態と非核三原則の矛盾について、日本政府が望むなら明らかにしてもよい時期だと語った。

しかし、日本政府はライシャワー発言を否定し「事前協議がなければ核持ち込みもない」と従来の見解を繰り返した。使い古された答弁を繰り返すほど、それが建前に過ぎず、ライシャワーが真実を語っているという確信を誰もが強めるばかりだったが、今回の騒動はほどなく鎮静化していった。>>

これには続きがある。一九九〇年九月に逝去したライシャワーは、その三ヶ月前に大平正芳記念財団が刊行した「大平正芳 人と思想」に序文を寄せている。

米艦船の核搭載疑惑が生じた時に、大平が問題解決を約束すると、国会での議論はただちにやんだとライシャワーは振り返り、それこそ大平が政治の世界で使った”魔術”のおかげだといった。

さらに核搭載艦船をめぐる同様の議論が「私が大使を辞めてから、ずっとあと」に起きたが、状況はそれまでに大きく変わっていた、とライシャワーは序文に書いた。「大部分の日本人は、アメリカの軍艦が核兵器を積んで日本の領海を通過することが当然だと考えていた」・・・。

言い換えれば、ある種の諦観を込めて、日本人は米国の防衛に依存しているという現実を受け入れた、ということだった。

「共犯の同盟史 日米密約と自民党政権」の中でライシャワーに関する記述がもう一つある。「宣教師ライシャワー」という一項である。(66ページ)

一九六一年四月二十八日にライシャワーは池田首相と面会した。前日に皇居で駐日大使の信任状奉呈を行っていた。アジア戦略の再構築を狙ったケネデイ米大統領は、”東アジア研究の星”と目されたハーバード大学教授のライシャワーを起用した。

池田は初対面のライシャワーに「問題は保守勢力がどう数を取るかではない。大衆の支持をいかに得るかです。それには最大限野党の見解も考慮に入れ、慎重に穏健な対応をもって当たらなければ・・・」と語っている。池田の話に耳を傾けていたライシャワーは「同感です」と賛意を示している。

ライシャワーは「低姿勢でのろのろ歩むカメの方が、高姿勢のウサギに勝つ確率が高い」と踏んだ。高姿勢のウサギとは岸信介らタカ派の保守政治家。タカ派路線では、ライシャワーが怖れた日本の左派政党を勢いづけると分析していた、

この時期に米政府内では、沖縄や韓国に貯蔵してある核兵器を日本本土に貯蔵することが検討されている。一九六二年三月二十三日の統合参謀本部と国務省の合同会議の極秘文書(米国立公文書館)に「日本への核兵器分散」がある。

空軍参謀長のカーチス・ルメイは「日本の軍関係者は米軍が日本国内で核を持っていると思っている。核持ち込みの秘密合意を持ちかけたらどうか」と提案した。この検討は、ほどなくしてライシャワーにも伝えられた。四月四日の秘密公電で「参院選や内閣改造を控えた段階で核貯蔵を打診しても、怒りを買い、不発に終わるだろう」と国務省に打電していた。

日本本土の核貯蔵に反対したライシャワーだったが、大平に深い信頼感をもっていたので、イントロデュースとは日本の国内に核を配備することであり、日本も同じ意味で「モチコミ」という言葉を使っている筈だと持ちかけていた。

大平は、すぐ反応して「つまり、イントロデュースは艦上の核には当てはまらいんだね」と尋ねた。ライシャワーが肯定すると「これまで厳密な意味で使っていなかったが、今後はそうする」と約束した。公電で「大平の反応は素晴らしかった」と国務省にライシャワー報告が届いている。大平・ライシャワー蜜月の始まりであった。

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