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十三億人口の中国で労働者不足 宮崎正弘
あの人口過剰の中国で、なぜ労働者が不足しているのか。珠江デルタ、長江デルタなどの輸出基地で工場が稼働しないほどに・・・。

労働者不足の理由はと聞かれて、公の見解は「高齢者」の急増にあるという。復旦大学客員教授の王豊によれば、「09年に中国の高齢者人口は1億6900万人で、全人口比の12・79%、今後も年に1000万人が高齢者入りする」と予測する。

そして高齢化社会に突入した中国の労働問題は、今後「教育、年金、成長モデルの転換、労働生産性向上」などの諸問題となるだろう、とする。(? あまりにキレイゴト過ぎませんか)。

中国政府は労働者不足を地理的要因と判断して、沿海部の工場を内陸部へ移転させ、地方で工場が出来れば、ちかくの農村からの出稼ぎ労働者を存分に吸収できるとした。実際に安徽省、江西省、湖南省などへの移転が顕著に見られた。

しかし内陸部は労賃が安くても、ふたつの深刻な問題を抱える。

第一は労働の質の悪さ、第二は完成した製品をトラック、鉄道で沿海部の輸出港へ運搬する費用。倉庫代の追加などで、結局、内陸部が沿海部より二割ほど賃金が安くとも、総合的コストは変わらないことになる。

中国国務院発展研究センターは「農村から沿海部の工業部門への労働移動は2億3000万人」とはじき出した。

さて現下の中国でおきている労働者不足は上記のような事情で起きていることではない。事態はもっと深刻であり、労働者不足は激甚である。

▲労働人口の構造的問題:リーマンショック「以前」と「以後」の顕著な差異

リーマンショック以前までの労働者不足は主として建築現場で見られた。

職を斡旋するブローカーが、労働者を刑務所のごとき施設へぶち込み、重労働をさせたあげく、約束の賃金を払わない(半年、一年ごとにまとめて支払う)。豚小屋のような宿舎に残飯のような食事まで給与からごっそり天引きされる。

これでは約束が違うとして、春節(旧正月休暇)が明けても地方から労働者は帰らなかった。

そこで中国企業はさかんに海外進出を加速する。これまではベトナムやバングラデシュに繊維産業の工場移転だったが、政府の資源戦略とセットになって、極東シベリア、パキスタン、アフガニスタンからアルジェリア、スーダン、アンゴラへとすすみ、当該地域でも労働者を奴隷のように酷使するため、あちこちに反中国暴動が頻発する。

リーマンショック以後、労働不足状況は輸出基地を襲った。

とくに広東省は中国全体の輸出の三分の一を占め、深センから東莞、広州へといたる一大ベルト地帯は日本、台湾、香港企業が工場進出。マカオから真珠海、中山、仏山から広州へと至るルートは主として香港企業が進出した。広州周辺は自動車の部品工場がひしめく。

自動車部品、IT関連、コンピュータ部品を除き、玩具、スポーツシューズ、雑貨など「労賃が安い」輸出製品の一大生産拠点に異変が起きたのだ。

対米輸出が激減し、工場の労働者への不払いが生じた。一部に暴動、ストライキ、工場閉鎖、廃業など深刻な不況に直面した。広州では外国人労働者へも不満が向けられ、治安が悪化した。

09年春、政府のテコ入れにより、4兆元の財政出動があって景気が回復し、輸出はEU諸国、産油国、ならびにアフリカ向けが回復したが、現場では深刻な労働者不足に直面していた。そうやすやすと労働者が集まらなくなったのである。

労働者はブローカーの甘言に乗らず、高い賃金をもとめて建設ブームに沸く地方都市や建設現場に散った。

このため沿海部、とくに珠江デルタの輸出基地には戻らず、多くの工場は生産設備の七割稼働が関の山、つねに労働者を募集するも集まらず、ついには最低賃金値上げに踏み切る(江蘇省が890元に値上げした)。

なんとか努力して労働者をあつめ、輸出を拡大してきたが、またまた「恐怖の春節」がやってきた。経営側から見れば、正月休みがあけても労働者が戻らない懼れが高い。

労働側から見れば、奴隷のように働かされ、不衛生でぎゅうぎゅう詰めの宿泊施設、電気がない。冷蔵庫もない宿舎で、満足な食事は供されず、土日もなく働かされ、残業手当がつくかどうかも分からない職場には二度と帰らない、と決意するだろう。

かくて「躍進中国」の印象が強い輸出現場では、かつて体験したことのない労働不足という危機に陥った。

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| 宮崎正弘 | 08:27 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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