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「子ども手当」は内需拡大にもならない  古森義久
自民党政権で経済財政政策担当の大臣を何回か務めた大田弘子さんが子ども手当の経済効用、とくに内需の拡大につながるのかどうか、ついて論文を書いています。その答えはノーのようです。

≪「分配」ばかりが目立つ≫
国政における与党と野党の最大の違いは、さまざまな政策を「予算」という最終形に落とし込む責任があるかないかである。予算は、政策のすべてを反映する。

予算にする段階で、財源を工面せねばならないし、あれかこれかの選択を迫られる。予算を策定しなくていいのなら、あれをやれこれもやれ、と批判するだけでいい。

これまで批判する立場だった民主党が、いよいよ本格的な来年度の予算づくりに入った。

麻生内閣が短期間で積み上げた補正予算を斬ることと違って、新政権の真価を問う第一ステップになる。長年続いた自民党政権では、至るところに“鉄の三角形”、すなわち政治家と業界と官僚の三者がもたれ合う強固な既得権集団がつくられ、小さな改革でも岩盤にぶちあたった。

本格的な政権交代で、この岩盤が崩されるのは、喜ばしいことである(もっとも、郵政という最強の岩盤は、逆に復元されそうだから、簡単に喜ぶわけにはいかない)。

既得権から自由という利点の一方で、民主党の政策で決定的に欠けているのは、成長への危機感である。

経済政策には、成長のための政策と分配のための政策がある。どちらも重要だが、民主党が重視するのはもっぱら分配政策である。

最低賃金の1000円への引き上げ、製造業への労働者派遣の禁止、温暖化ガス25%削減…これだけでは、あたかも製造業は生産拠点を海外に移せばいい、と言っているようである。

分配の源となる付加価値は、一体誰が生み出すのか、民主党の政策からは見えないのである。

≪子ども手当は内需拡大策か≫
月額2万6000円の子ども手当が、内需拡大策として掲げられ、国際会議でも表明された。個人消費の増加は、人口が減少する日本にとってきわめて重要な課題である。このことに異論はない。

しかし、子ども手当は、ほんとうに内需拡大策なのだろうか。少子化対策ではあっても、内需拡大策とは言えないのではないか。

消費を増やすために、2つの手法がある。

第1は、政策によって、直接家計を潤し、消費を増加させる政策だ。定額給付金や所得減税や手当の増額がこれに当たる。

第2は、転業・廃業の支援やグローバル化の加速などで企業の側の体質強化を促し、賃金を上げられるようにすること、また、規制改革などで消費者ニーズを満たす新サービスが生まれるようにすることである。

第1の手法で政策的に家計に行くお金を増やせば、当然、家計の消費は増える。しかし、将来世代に依存する赤字国債で賄うのでない限り、その費用は同世代の誰かが負担するだけであって、消費の拡大効果がそう期待できるわけではない。

もちろん、行政のムダを省くとか、子育て世帯を支援するとか、その趣旨自体はいいにせよ、これを持続的な内需拡大策として位置づけるには無理がある。

むしろ、子ども手当は、明確に少子化対策として位置づけ、豊かな層も含めるのか、託児所などの育児サービス充実とどちらがいいか、を議論すべきではないか。

日本経済の根本問題は、製造業以外の産業の生産性の低さと、グローバル化の遅れである。GDP(国内総生産)の7割を占める非製造業が体質強化しない限り、雇用機会は増えず、賃金も上がらない。

したがって、第2の手法での改革を行わない限り、内需は強化されないと、私は考える。

≪アジアの中間層に着目を≫
また、これからの日本の活路は、アジアである。アジアで増えつつある巨大な中間層(一定以上の所得を持つ層)にアピールする製品や農産物をどれだけ生み出せるか、観光等のサービスを提供できるか。

この点に、日本経済の将来がかかっていると言ってもいい。

中国だけで人口13億人、仮にこの1割が富裕層になるとしても、日本の人口を上回る。鳩山首相は「経済を内需中心に転換させる」と主張するが、人口が減る日本にとって、外需はきわめて重要である。

国内での消費を増やすことと、外需を増やすこと、この両方はどちらも同じくらい重要であり、両方ともに、企業の体質強化とグローバル化がカギである。

政策の人気度で言えば、財政で家計を直接潤す第1の手法は、歓迎される。他方、供給側に改革を促す第2の手法は、一部の人の痛みを伴うから人気がない。規制改革にも農業改革にも、抵抗が強い。

しかし、第2の手法なしに、日本経済の将来展望は開けない。非製造業の生産性向上とグローバル化を柱に据えた成長戦略は、福田内閣でも策定し、実行段階に入りつつあった。

政権交代だからといってすべてを反故(ほご)にするのではなく、逆に補強して加速させてほしい。既得権から自由な民主党だからこそ取り組める構造改革があるはずだ。

国土交通省、経済産業省はそれぞれ成長戦略会議を設立するという。成長できる経済への政策が来年度予算にどう組み込まれるか、その点を私は最も注目している。
          
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| 古森義久 | 14:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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