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東アジア共同体論を超えて 千野境子
≪堂々巡りの回り灯籠か≫
鳩山由紀夫首相の登場で「東アジア共同体」構想がまたまた賑(にぎ)やかに取りざたされている。

もう何度目だろうか。登場しては消え去り、登場しては…の繰り返し。議論は毎回一からやり直し。「米国を入れる入れない」も毎度お馴染(なじ)みで、最後は「同床異夢」で収まる。堂々巡りで、まるで回り灯籠(どうろう)のようである。

今回の議論の端緒となった鳩山首相の国連総会一般討論演説を読んで驚いたのは、そもそも東アジア共同体論は演説の最後に短く書かれているにすぎないことだ。唐突な印象さえ受ける。

内容に違和感も覚えた。とくに《これまで日本は、過去の誤った行動に起因する歴史的な事情もあり、この地域で積極的な役割を果たすことに躊躇(ちゅうちょ)がありました》というのだが、そうだろうか。仮にそうだったとしても、それはもうだいぶ前の日本である。

過去の歴史的事情から躊躇や内省をしつつ、しかしこの地域で応分の貢献をしたいと願い、行動してきたのが日本ではなかったか。そのような有名無名の素晴らしい日本人を私は知っている。

かつて世界を席巻した「AA(アジア・アフリカ)連帯」の言葉が象徴するように、戦後しばらくは横一線だったAとAが今日、大差がついた背景に日本の存在は無視できない。日本人が自分でそれを言っても仕方ないから、ここは当事者、東南アジア諸国連合(ASEAN)事務局長のスリン元タイ外相の言葉を借りよう。

《アジアには日本の協力なしでは解決しなかった出来事があった。カンボジア紛争では国連の明石代表が尽力し、東ティモール危機では日本の資金協力で、ASEANとして初めて紛争地域へ軍隊派遣を実現させた。アジア通貨危機でも宮沢基金のような資金協力がなければ、われわれは経済的に生き残るのは難しかったろう》(平成17年11月25日付読売新聞)

≪ASEANの視点欠落≫
そう、今回の論議に欠けているのはASEANの視点である。日中韓の協力が深まるのは悪いことではないが、東アジアはそれだけでは仕切れない。来日したシンガポールのリー・シェンロン首相は米国抜きに疑義を呈したが、内心はASEANの軽視にも同様な気持ちだったはずである。

ASEANは欧州連合(EU)と比べれば、国際的な存在感は小さい。しかし多国間協議における「推進力」として機能してきた。そしてそこに着目し、いち早く対話や日・ASEAN首脳会議を始めたのも実は日本である。

中韓はこれを追い、遅れた米国も11月にシンガポールで開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で初の米・ASEAN首脳会議を行う予定という。米国はミャンマー軍事政権と対話路線に転換するなど再び東アジアに復帰しつつある。一時的か永続するものか分からないが、中国の台頭が触媒となっているのは確かだろう。

また台湾参加が言われないのも瑕疵(かし)だ。もはや台湾の承認国は東アジアにないが、それは対中関係からのいわば都合で、台湾を排除して何の東アジア共同体だろう。その経済発展と民主化の成果は世界の大切な資産のはずである。

≪どこにかける「架け橋」≫
このように国連演説の東アジア共同体論は、率直に言って準備不足が否めない。演説の前段の世界的経済危機や平和構築・開発・貧困の問題などのくだりと比べると見劣りがする。また同じ時に行った国連気候変動首脳会合の際の演説と比べると、さらに違いは鮮明になる。何と言っても首相の気合の入れようが違う。

にもかかわらず、国連総会で突然に聞かされたという米国が気にするのは、米国が鳩山外交に「米国離れ」を本能的に感じているからであろう。そしてそれはある意味で当たっている。

鳩山首相の国連演説のキーワードは「架け橋」である。それは重光葵外相(当時)による日本の国連加盟演説のキーワードでもあった。「日本は東西の架け橋となりうる」という同外相の言葉を鳩山首相は引用し、再びその役割を果たしたいと宣言している。

祖父の鳩山一郎は当時の首相。国連加盟が適(かな)ったのは同首相が日ソ国交回復を成し遂げ、国連安保理でのソ連の度重なる拒否権行使をようやくクリアできたからだった。周知のように、それは「自主外交」という名の「向米外交」からの決別と解釈されている。

歴史は必ずしも繰り返すわけではない。しかし普天間基地移転やインド洋での補給問題などを見ていれば、米国が本能を信じたくなるのも分かる。鳩山首相は東西の「架け橋」たらんとする前に、東アジア共同体と日米同盟に「架け橋」をかけることの方が急務であるように思う。(産経)

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