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猛将・車丹波守と吉田城 古沢襄
水戸の吉田城・・・水戸駅から南に二キロ行ったところに遺構がある。歴史は古い。築城は坂東平氏(桓武平氏)国香流の吉田氏による。平国香の子孫は常陸平氏の嫡流として常陸大掾職に任じられた。職名から「大掾氏」(だいじょうし)と呼ばれている。

吉田氏も吉田資幹が常陸大掾職に任官し、大掾氏の惣領となっている。同じ平国香の子孫である馬場資幹も常陸大掾職に任官し、建久年間に馬場城(水戸城)を築いている。吉田城、馬場城ともに築城は平安時代末期まで遡る。

室町時代に入ると大掾氏の勢力が衰え、江戸氏が台頭している。那珂郡江戸郷から出た江戸氏は、鎮守府将軍藤原秀郷の流れを汲む常陸の豪族。

江戸通景は本拠地を河和田(現水戸市内)に移している。その子通房の代には上杉禅秀の乱が勃発したのをとらえて、幕府側についた江戸氏が馬場城を落とした。その支配は170年間続いている。

その江戸氏も秀吉の小田原攻めに参陣しなかった咎めを受けて、馬場城を追われた。代わって入城した佐竹義宣は馬場城を水戸城と改め、吉田城には猛将・車丹波守を配した。

前置きが長くなったが、吉田城の話はこれから・・・。

水戸市元吉田町にある吉田城の遺構を見学した人も多いのではないか。目当ては常照寺。水戸城の出城の役割だったから、城郭をめぐらす掘割りもそれほど大仕掛けではない。中近世の城郭の研究対象としては役不足な城址であろう。

だが佐竹義宣から命じられて吉田城に入った車丹波守にまつわる話は波乱に富んでいる。

「車」の姓は珍しい。丹羽基二さんによると古代に車持部(くるまもちべ)という職掌があったという。皇室や神祇の車を作ったり、貴人の乗せたりする特殊技能者の集団で、集落をなして住んでいた。中でも上野国(群馬県)の群馬町(高崎市に編入)が有名である。ここは自民党の福田赳夫氏の発祥地。

「姓氏家系大辞典」には、車の地名は常陸、上野、下野、岩代、陸前などにあると記されている。車丹波守の先祖は常陸国多賀郡車邑から起こった。新編国志に「車、多賀郡車邑より起こる。平姓、初め好間氏と称す。初め車氏、また砥上という」とある。

車丹波守に関する記述は軍記ものによく出てくる。永慶軍記には「車猛虎は丹波守、精悍を以て世に聞ゆ。佐竹義重に仕えて愛重さる」。管窺武鑑には佐竹義宣の代になるが「(車丹波守は)慶長五年、伊達政宗と瀬上に戦いて、大いに之を破る」とある。

その後の車丹波守は、家康に疎んじられた佐竹義宣が常陸国から出羽国に国替えとなった時に、常陸国に残って土着し農民となった。石田三成と親しかった佐竹義宣は関ヶ原の戦いで徳川方が勝つと、家康によって報復人事をされたことになる。多くの家臣を常陸国に遺した。

「慶長七年、義宣・封を出羽に徒さる。猛虎は仕を辞し、留まりて常陸にあり。密かに与党を集め、水戸城を復せんことを図り、刑死す」(車一揆記)。

車丹波守は家康に対する徹底抗戦を唱え、妹婿の大窪久光、馬場政直らと水戸城の奪還を企てた。事が露見すると、慶長7年7月10日、三百騎で那珂川を渡り、徳川の城兵と交戦したが敗れて捕らえられてしまった。10月には猛虎と長子・主膳、馬場政直らは吉田台で磔刑(たっけい)になって、刑場の露と消えた。

吉田城の城址近くに「車丹波守 憤恨の地」の立て札が建っているという。幕末に水戸を訪れた吉田松陰は、徳川に屈しなかった佐竹の猛将の墓を詣でて、深く感動した逸話もある。

この話はこれで終わりではない。「姓氏家系大辞典」に”江戸の車氏”の項がある。

<車善七という者の先祖は、上杉景勝の家来・車丹波というものなるが、家来をば皆江戸に連れきたり、事顕わるるに、広大不思議の神慮にてご免ありて、乞食の頭となりたると申し伝わるなり。>・・・物茂卿の政談だが、伝聞の類かもしれない。

車丹波守には善七郎という子がいた。父の仇を討とうと江戸城の庭男に身を窶して秀忠の命を狙ったが、露顕して捕縛された。善七郎は「武運尽きたる以上は、片時も早く死を給わるべし」と潔かった。それを聞いた秀忠は、その孝義・勇壮を褒めて、死罪とせずに乞食の徒の首領にしたという。(府内備考)

諸説あるが「その子逃れ、終わる所を知らず。あるいは曰く、逃れて江戸に入り、許されて乞食の長となると」(車一揆記)あたりが妥当かもしれない。映画の「寅さん」の主人公は、車寅次郎。テレビの「水戸黄門」に出てくる「風車弥七」は、この「車善七」からヒントを得たという説もある。

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