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自由主義的成長戦略VS社会主義的ユートピア 福島香織
■世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長の日本記者クラブでの会見録をアップしようかな、と思ったら、佐々木正明さんのブログにアップされていました。しかもツィッターで中継されていたんですね。というわけで、ラビア女史の記者会見の様子を知りたいかたは、佐々木さんのブログおよびツィッターにGO。しかし、ツィッター中継、すごいですね。私もきのうの麻生総理の政権公約発表会見でちょこっとツィッター中継こころみましたが、もともと「聞き打ち(会見を聞きながらパソコンに入力する)」が大の苦手な私には無理があったようで、途中で断念。でもMSN産経で全文がアップされてますから、そちらにGO。

■さて、自民党の政権公約についてきょう経団連でも幹事長が説明されるそうですね。すでに新聞ではこの公約の分析がいっぱい出ていますが、私もすこし、感想(あくまで感想)を書いておこうかなと思いました。

■一言だけキーワードを引き出すとしたら、自民党は成長(戦略)重視である、と感じました。もちろん責任力とか暮らしの安全とかほかにもキーワードはあると思いますが、それらはおもに経済成長で担保されるという考えです。自民党としては経済成長がもっとも国民の望むことだと思っているということでしょう。これに対して民主党は、生活支援・子育てが柱で、その裏づけは成長よりも「ムダを省く」つまり節約に重点がおかれています。

■自民党の価値観は、「経済成長すれば失業もへり、家庭が豊かになるし社会福祉も充実する。子供を産み育てる余裕ができる。そのためにはお母さんもお年寄りもがんばって働きましょう」ということでしょうか。これに対し、民主党の価値観は「とにかくムダを省いて節約しましょう。余裕のある人はもっと税金を出しあって、貧しい人たちの面倒をみてあげましょう」ということでしょうか。がんばって働いて成長して、生活を豊かにするか、節約して慎ましくも平等な暮らしか、どっち?単純化すればそういう対立かな、と思っています。

■自民党の考えかたは60〜70年代の高度経済成長時代の価値観を継続しており、当時、父親が朝ご飯も晩ご飯も子供と一緒に食べずに早朝から夜遅くまで働き、それでも毎年、テレビがカラーになった、クーラーがきた、洗濯機が全自動になった、という暮らしの更新を目の当たりにみてきた時代の記憶をもつものとしては、非常に理解できます。一方、民主党の考え方は、改革開放前の中国の社会主義的ユートピア思想に近いかもしれません。格差は減るかもしれませが、成長は鈍化し人は働かなくなるかもしれません。ちなみに私はどちらかというと右派ですが、新自由主義に反対する中国の新左派の学者の言い分など非常に共感を感じることもありますので、民主党の価値観もある程度理解できます。

■さて今の時代に、どちらの価値観、思想がより多くの有権者の心に訴えるかというのか。それは、私たち国民が今の時代をどう分析してとらえているか、ということにかかっています。

■31日、政権公約発表会見が終わったあと、菅選対副委員長がBSフジに出演するとかで、急に菅番記者にかわってお台場に行きました。で、じつは時間を間違って、かなり早くフジテレビについたんで、BSフジの番組プライムニュースを見ていたら、私が最近関心を寄せているエコノミストの水野和夫氏が出演されていました。水野氏は歴史や文明の視点から経済を分析しているという点で、経済学シロートの私なども非常に面白く読める専門書を数多く書いてらっしゃいますが、テレビでみると、話がより単純化されてわかりやすい。うーん、一度インタビューしてみたい方です。同じくゲストに招かれていた田坂広志氏は「複雑系経済」の専門家らしい。この方の本はまだ読んでいないのだけれど、面白そうです。この人にも会って話しがきいてみたい。

■発言の細かい部分は忘れましたが、お二人の共通認識として今の時代が、世界的、歴史的な経済、そして価値観の転換期にあり、従来の経済学的分析、金融工学的手法や価値観では説明がつかなかったり解決できない時代であるということでした。水野氏はかなり早い時期から『100年デフレ』という著書のなかで、今のデフレが、これまでのデフレと違い、長い世界史の中で数度あった大きな価値観の転換期、歴史の断絶点であるという指摘をされていましたが、その考え方の延長にあるお話です。

■新自由主義派あるいはシカゴ学派と呼ばれる経済学者は、高度な計算を駆使した金融工学で経済がコントロールできるという前提にたって、国家の経済政策、金融政策のアドバイスをおこなってきました。今回の90年代から続くデフレも、金融・貨幣政策でなんとかできると思ってやってきたわけですが、なかなか出来ませんでした。その理由を、やるべきときに思いきってやれなかったから、と規模とタイミングの問題であると考えている人が多かったのですが、そうではなくて、ここで一旦、歴史が断絶して、従来の経済理論が通用しなくなっているのだ、ということになるわけです。

■で、なぜ、従来の理論が通用しないような歴史の断絶点が生まれたかというと、田坂氏が言うように、経済が複雑化して、複雑化したものには命が宿り、命が宿るものは自律的に変容し進化するので、計算など科学的工学的手法で予測しきれなくなったため、ということになるわけです。インターネットの登場が加速化させたグローバリゼーション、多種多様な人種宗教文明が一つの経済を共有することによる複雑化が経済を変則的に自律的に進化する生命体にしてしまった、ということでしょうか。もちろん、昔から「神のみえざる手」といった表現で、経済の生命体的な側面は指摘されていましたが、近代から現代にかけてというのは、科学が生命の神秘や神に挑戦する時代でありました。そして経済に関しては金融工学で一つの科学の頂点を極めたのだけれど、経済生命体の神秘はそれをも凌駕した、ということでしょうか。

■水野氏らの考え方は、少なくとも数年前は、あまりに突飛だということでかなり他の学者から批判も受けていたように記憶しています。だから、果たして、今の時代が、氏の指摘するように歴史の断絶点にある、と言い切ることができるかどうかは、あと100年たってから振り返ってわかることなのかもしれません。ただ、かりに、今がそういう時代にあったとしたら、そう言う価値観の変化を人々が感じているとしたら、自民、民主、どちらのマニフェストがより受け入れられるのでしょうか。

■私個人の考え、というか直感を述べますと、人間は本来的には進化し成長をもとめる存在だと思います。今が100年デフレの最中であるとしても、成長戦略を捨てるわけにはいかない。そこで考えるべきは、では成長とは何なのか、という視点ではないか。成長とは来年のGDP伸び率を2%にすることなのか。ミニバルブを起こして株価を上昇させることなのか。

■ついでにいえば、成長の目的である豊かさとは何なのか。労働時間がのびても、欲しいものが欲しい時に買えることなのか。とく仕事がなくても、ぜいたくはできなくとも、とりあえず暮らしていけそうな社会を持続することなのか。

■自民党が成長戦略にこだわり続ける姿勢を支持したいとは思うものの、果たして経済成長率2%とか所得100万円増とか数値目標で成長の目的や豊かさを訴えるやり方は、やはり本当に国民が求める答えではなかったのではないか、と思います。

■一方、民主党のマニフェストでうっすら感じられる社会主義的理想論をいまさら言われても、それが実現できなかった歴史が世界にはあります。ただ、歴史が断絶したとすると、その過去の歴史の経験はもういちどゼロにして考え直すのもありかもしれません。価値観とは、螺旋階段のようにぐるぐるまわりながら一段ずつ高みにのぼっていくものだとすれば、過去の失敗した価値観の改良型を試すのもありだ、と思う人がいるかもしれません。

■関係ないですけど、日曜日に、私、起きあがれなかったんですよね。一日中、寝ている。別に体力的に特に消耗しているわけではないけれど、やる気がおきない。頭の中で、あ、洗濯しなきゃ、掃除しなきゃ、調べ物しなきゃ、頼まれた原稿書かなきゃ、メールしなきゃ、読んでいない本…とか頭に浮かぶのだけれど。

■日本で再び生活してみるといろんな局面で「なんか疲れちゃった」というような社会全体のムードを感じました。地域差はありますけどね。日本は戦後から、あるいは明治維新からでもいいですが、なんかずっと成長し続けて、がんばってきました。戦争で一時挫折しても、なにくそと世界有数の経済大国になった。その成長を支えていた価値観や経験則が今転換しようとしていて、なんか支え棒が急にとられて、がっくっと来た気分?ニートとか引きこもりとかいうような社会現象が増えたのは、教育現場が原因のように言われるけれど、実はそれだけでなく、こういった社会全体の停滞感も影響してるのかもしれません。

■そういう気分のとき、寝っ転がりながらテレビをみて、麻生首相の映像などが出てくると、「この人、なんぼほど元気で前向きやねん」と思います。麻生首相が今ひとつ、何をしようとも、国民の支持を得られないのは、この時代の沈殿したい空気とはまったく異質に思えるような元気はつらつさのせいかもしれません。(最近は前ほど元気ないけれど)

■疲れてベッドの中でごろごろしたいようなとき、気分をふるいたたせるような目標とか未来像とかを提示して、これに向かって行ってみようというような成長戦略を示してもらえれば良かったんですけど、それが何なのか私にはわかりません。ただ、残念ながら自民党のマニフェストにはそういうものを感じなかった。

■それより、寝ていても手に入る民主党の子供手当2万6000円とかの方がいいとか思う人が多いかもしれないなあ、とぼんやり思いました。本当は成長戦略なきバラマキは、社会の富をみんなで食いつぶすという発想だから、国家として堕落なような気もするけれど。

■まあいずれの党が政権をとろうと世の中がとにかく、起きあがって、さあやろう、という気分になるまで、新たな価値観と成長戦略をさぐりあてるまでまだ時間はかかりそうです。それまで、どっちの党がいいかではなく、どっちの方が新たな成長戦略をさぐる上でマシな環境を提供してくれるか、ということを選ぶのが、今度の総選挙の要かもしれません。

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