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日本列島改造論の頃 渡部亮次郎
田中角栄が日本列島改造論を発表した時、主張に肝腎の裏付け「エネルギー(石油)論が欠落していてやがて破綻する」と批判した国会議員はわが園田直(すなお)ただ1人だった。

予言はぴたり的中。田中政権誕生の1年後、第1次オイルショックが発生。日本は官民挙げて、はじめて「石油とは何であるか」に目覚めることになる。

つまり1973年10月6日に第4次中東戦争が勃発。これをうけて10月16日に、石油輸出国機構(OPEC)に加盟のペルシア湾岸産油6カ国は、原油公示価格の21%引き上げと、原油生産の削減とイスラエル支援国への禁輸を決定。

さらに12月には,翌1974年1月より原油価格を2倍に引き上げると決定したのである。

日本国中に開発の波を及ぼし、経済成長を促すと言う日本列島改造論は、そのための石油に思いを致していなかったため、石油ショックにより、ほぼ頓挫する事になった。

「日本列島改造論」はポスト佐藤政権を争った角栄と福田赳夫による「角福戦争」最中の1972年6月、日刊工業新聞社から刊行され、当時発行部数91万部、年間4位(出版科学研究所調べ)のベストセラーとなった。

これに勢いを得た角栄は佐藤栄作の腹心福田を圧倒し7月の自由民主党総裁選挙で当選し、首相となった。

著書は角栄のかねての主張を秘書やブレインが、それらしく纏めた作文。それが証拠に、開発推進に必要な石油(エネルギー)確保策に1行も触れていない。

要は日本列島を高速交通網(高速道路、新幹線)で結び、地方の工業化を促進し、過疎と過密や、公害の問題を同時に解決するというものだった。

イタリアやアメリカ合衆国の例が挙げられ、国土のうち、北部を工業地帯に、南部を農業地帯にすべきである(日本の現状は逆である)という持論が展開されている。

これは、田中の出身地と地盤が長岡にあり、長岡が日本の北部に当たるという考え方に起因すると見られる。豪雪地帯の貧困の解消は、田中の悲願であった。

1972年7月に田中内閣が発足すると、田中は首相の私的諮問機関として「日本列島改造問題懇談会」を設置し、8月7日の第一回を皮切りに会合を重ねた。

しかし、『日本列島改造論』で開発の候補地とされた地域では土地の買い占めが行われ、地価が急激に上昇した。この影響で物価が上昇してインフレが発生し、1973年春頃には物価高が社会問題化した。

その矢先の1973年10月に勃発した第4次中東戦争をきっかけに起きたオイルショックは、物価と経済の混乱に決定的な打撃を与え、「狂乱物価」と呼ばれる様相を呈した。この影響で、本州四国連絡橋の着工は11月20日に延期が決定した。

11月23日に愛知揆一大蔵大臣が急死し、田中は内閣改造に際して後任に政敵で均衡財政論者でもある福田赳夫を起用。福田は総需要抑制策による経済安定化を図ることになり、「列島改造論」の施策は大きく後退することとなった。

1974年12月に、田中は、「金脈問題」で首相の座を追われた。オイルショックによる経済の混乱などもあり、交通網の整備は順調に進まなくなった。結果として、多額の借金を国や地方自治体は抱えることとなり、様々な批判が出るようになった。

日本にとって、首都の過密と地方の過疎は、当時よりも一層深刻な問題になっており、少なくとも田中が「日本列島改造論」を著したのはこうした状況への問題提起としての意味を持っていた。

交通網の整備で様々な課題が解決するという発想は、余りに楽観的で「土建業一辺倒だ」と批判された。

地方から過密地(特に首都の東京)へ向かう交通網の整備は、東京一極集中を促進して、過疎化を逆に促進した(ストロー効果)。

地方での道路の整備は地方都市の郊外化を招き、中心市街地を衰退させる結果となった。

現在建設されている、新幹線や高速道路などは、首都の東京へ向かう路線が多く、地方間を結ぶ路線の建設が遅れているという側面もある。

こういった場合、東京へ人口が流入するという現象が現れるのは仕方がなく、地方間の路線を建設することにより、「均衡ある発展」が実現するという論説もある。

田中は、本書の結びに、『情報通信の全国的ネットワーク』の時代の到来を予言しているがパソコン通信サービスが一般化されるのは、10年後、80年代のことであった。その頃、既に退陣して久しい角栄は脳を病み、93年12月16日に死んだ。(文中敬称略)出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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