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「民主圧勝」が揺らぎかねない 花岡信昭
衆院が「予告」通り、21日に解散された。8月18日公示、30日総選挙という段取りだ。憲法では解散から投票までを40日と規定しているから、ぎりぎりいっぱいの許容範囲である。これまでの平均が30日弱だから、異様に長い選挙戦となる。

それも真夏の選挙戦だ。8月の総選挙は戦後1回もない。未体験ゾーンの選挙戦といってもいい。候補は夏の真っ盛りに1日中、走り回らなくてはならない。

ただでさえ早朝から真夜中まで選挙戦は大変なのだから、運動員の中には倒れる者が続出という事態も予想される。すさまじい選挙戦となるのは間違いない。

すさまじいのは気候ばかりではない。民主党にとっては、政権獲得の可能性のある初の舞台となる。鳩山由紀夫代表は「革命的な、歴史的使命を帯びた選挙」と声を張り上げたが、その意気込みは分からないでもない。

*210-210の基数からどの程度乖離するか
あらゆるデータを見ても、現状のまま推移すれば、民主圧勝は間違いないとされる。直近の東京都議選の得票率は自民26%に対し、民主41%である。

ダブルスコアとまではいかなくても2対3ぐらいの比率になるのではないかといった観測もある。すべて、現在の情勢がそのまま続いたことを前提としての予測である。

総定数は小選挙区300、比例代表180の計480だ。講演などで、議席予測を聞かれると、こう答えるようにしてきた。

<自民、民主以外の獲得議席が50から60。したがって自民、民主は420議席程度を争う構図とみれば分かりやすい。210対210が基数になるのではないか。自民300、民主110程度が現有議席だから、自民は小泉チルドレ
ン83人分がそっくり減ることになる。民主はほぼ倍増でこのラインに達する。

自民、民主は210を基準にしてどれぐらいの増減が出るか。自民が200なら民主は220となる。190−230、180−240、170−250といった程度の攻防戦か。選挙のことだから、この数字の組み合わせが自民、民主でまったく逆になることもあり得ないわけではない・・・>

早い話がこの程度で逃げておかないと、とんでもないことになりかねない。選挙予測は昔に比べて格段に難しくなった。うかつに、これまでの経験則や感触を踏まえて予測すると大恥をかきかねない。

*メディアの予測を確実なものにしようという投票行動
かつてはアナウンスメント効果ということがいわれた。メディアが一方を優勢と報じると、それと逆の結果が出る状況を指す。親しい議員らから、情勢分析記事について「あと一歩」「横一線」ぐらいに書いてくれないか、などと露骨な陳情を受けた記憶もある。

早々と当確めいた表現の予測記事を書くと、それなら大丈夫かと投票所に行かない人が出て、思わぬ敗北を喫することを危惧したわけだ。

これがこのごろは違ってきた。現時点でのメディアの予測はおしなべて「民主圧勝」である。かつてはこれがひっくり返ることがあったのだが、最近は、そういう予測が出ると、それに乗っかって予測を確実なものにしようという投票行動が増えたように思える。

「民主政権奪取」の流れに加わって、劇的体験を共有しようというような意識である。だから、「民主圧勝」が実現するのだとすれば、今後のメディアの報じ方が重要な要素となる。

いまは民主党ブームが最高レベルにあるといっていい。ブランド力において、民主党は自民党をはるかに上回っている。だが、民主圧勝の雰囲気は、たぶんに「バブル」めいた要因が相当にあるといわなくてはなるまい。

「敵失頼み、風任せ」という体質が指摘されてきた民主党だが、その構図に基本的変化はない。支持率をここまで押し上げた要因として、民主党側に積極的なプラス要素があったのかというと、はなはだこころもとないことになる。

政策や人事の「ブレ」、党内抗争(麻生降ろし)など、麻生自民党の側のマイナス要因の積み重ねが、民主党の支持を押し上げたといっていい。

その一方で、小沢前代表の「西松献金」、鳩山代表の「故人献金」はなにやらすでにクリア―されたかのようなイメージが出て、情勢にはほとんど響いていない。これもまた不思議な現象ではある。

政局の流れには「潮目」と呼ばれる重要ポイントが往々にして存在する。だが、その時点ではこれが分からないことが多い。後になって、ああ、あのときのあの事態が「潮目」だったのか、と気づくことになる。

だから、政局ウオッチャーは、政治展開で予想していた流れとちょっと違うものが出るのか出ないのか、ことさら意識して見つめることになる。

*結束を強めた自民党に巻き返しの可能性
そうした意味でおやっと思ったのは、衆院解散の21日に見た2つのシーンである。

ひとつは両院議員懇談会。一時は両院議員総会を開催し、その場で総裁選前倒しを決めてしまおうという動きが出たため、議決権限のない懇談会に格下げした。この場で、麻生首相は自身の失言やブレ、党内をまとめきれなかった力不足を率直に釈明、陳謝したのである。

激しい「麻生降ろし」発言が飛び交う場となるかとも思われた懇談会だったが、麻生首相への批判はほとんど出なかった。ばかりか、麻生首相は最後に「この場の候補は全員戻ってきてほしい」と声を詰まらせて述べた。涙ぐんでいるかのようにも見えた。

これは、いつもの麻生首相とは違う。だれが知恵を出したのか定かではないが、麻生首相サイドの戦術は見事に成功したといっていい。

もうひとつのシーンは自民党代議士会だ。反麻生の急先鋒であったはずの中川秀直氏が最前列に陣取って発言を求め、「議員懇談会での総理の発言はよかった。この場で総理と握手したい」と、両氏ががっちりと握手したのだ。

党内にはなお「独自マニフェストをつくる」などとしている向きもあるものの、この2つのシーンは、麻生降ろしの終焉を印象付ける効用としてはきわめて大きなものがあったといっていい。

政治は人間が最も人間くさく動く場である。思惑、計略、策略といったものが交錯するのだが、一方で「情」が思わぬ作用を与える。

自民党内には「一致結束」という言葉が飛び交った。激しい党内抗争を展開してきたように見えていたのが、一夜にして転換するということも、まま起きるのだ。

*長丁場だけに民主の結束の緩みもあり得る
自民党内の状況を宮沢政権崩壊時に似てきたと解説する向きもあったが、実はまったく違う。あの当時は小沢氏らが野党提出の内閣不信任案に賛成したことを忘れては困る。

今回、自民党から不信任案への賛成票は出なかった。その時点で勝負がついた。自民党は麻生首相を全面的に「信任」したのである。

反麻生勢力の多くは、自分の選挙が厳しいといわれている人たちであったことも見逃せない。麻生首相と一定の距離を置くことで、自民離れ、麻生離れの層を可能な限り吸収しようという計算が働いていたであろうことは十分に想像がつく。

麻生首相が「反省とおわび」を述べたことによって、反麻生派といわれていた人たちは、肩透かしをくらった思いだったのではないか。もともと、集団離党して新党結成といったダイナミックな行動に走ることはあるまいと見られていた動きであった。

民主党側にもこの日、不思議な現象が見えた。鳩山代表、岡田幹事長ら幹部の「堅苦しい表情」である。初の政権選択選挙へのスタート台に立って、高揚感に満ち溢れていたためかもしれない。

あの温厚、誠実な人柄で知られる岡田氏はテレビのインタビューで、記者の質問を「愚問」と切り捨て、もろもろの公約の財政的裏付けの乏しさを追及されるとムキになって反論した。

鳩山代表の言動にも「ゆとりのなさ」が目立った。民主圧勝といわれているのに、幹部たちが見せた厳しい表情は何を意味するか。40日間の長期戦をこのままのムードで戦えるのかどうか、危機感が出てきたと見るのはうがちすぎか。

「バラバラ感」というのは、もともと民主党に対して与えられた形容だが、自民党内に麻生降ろしの動きが高まると、今度は自民党がそういわれた。

それが自民党に「一致結束感」が強まるのであれば、再び民主党の代名詞になりかねない。民主党幹部の危惧はどうやらそのあたりにありそうだ。夏場の40日間は何があるか、分からないのである。

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