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感染症第二波想定対策の全貌(下) 石岡荘十
秋口とも予想される新型インフルエンザ第二波の襲来を、厚労省はどのように迎え撃つつもりなのか。今回は既述の対策を導き出した感染症の前提をどのように設定しているのか。資料に添付された、A4、3枚のデータを解析する。

1枚目の資料は、「季節性インフルエンザの流行動態に基づく新型インフルエンザ第2波発生の想定」(作成日付 2009年6月9日)

まず、2004/5年の季節性インフルエンザの流行についてである。4期に分けている。
<第1期> 2004年9月中旬〜 はじめ患者数(推定)は週間、数十人から、数百人で推移していた。

<第2期> 10月中旬〜 患者の集団規模(専門用語では「クラスター」という)が大きくなり、重症報告が入る。

<第3期> 11月末〜 全国規模で集団感染。患者数1万人超。死亡例が週間、数十例の報告。全体像の把握が困難に成る。

<第4期> 2005年1月〜 一週間の患者数は3万8000人から、中旬には15万人を超えた。パンデミック(大規模感染)と判断。4月に入って急激に小康状態に入った。

この結果、このシーズンの患者の総数は、東京都の人口をはるかに超える、じつに1770万人にのぼった、と推定される。このインフルエンザ関連で死亡した人は、肺炎を併発した人も含めると、軽く1万人を超えている。
新型インフルエンザの毒性が季節性インフルエンザと同じ程度と言っても、バカにはできないのである。

そこで、仮に第二波がこれまでのような経過をたどると想定し、米CDC(防疫管理センター)のシュミレーション方法を使って、二枚目の資料で推定を試みている。

第2波でウイルスが変異し、毒性が強くなっている場合も考え、毒性が軽度、中等度、重度の三つのケースを想定したものだ。想像以上の衝撃的な数字を示している。

二枚目の資料。「第2波における被害想定と医療体制」
≪軽度の場合≫(新型インフルエンザの米国での被害レベル) 致死率0.15%。感染者:3200万人、死亡者:5万人

≪中等度の場合≫(アジア風邪での日本の被害のレベル) 致死率0.53%。感染者:3200万人、死亡者:17万人

≪重度の場合≫(スペイン風邪での日本のレベル) 致死率2.0%。感染者3200万人、死亡者64万人

三枚目の資料。そのとき国は何をしてくれるのか。対応策、と言っても基本的な考え方を、一覧表にしたものだ。

「軽度」の場合でも、患者の数が少ない段階では、なんとか対応しようと、医療機関や保健所、地方自治体に対し「報告」を求める文言が目立つ。が、患者が“爆発的”増えてくると、

・ 調査:実施しない
・ 確定者の入院措置:実施しない
・ 自治体による発熱外来:原則実施しない
などなど---。

それだけではない。他の病気で入院している患者の手術、入院の延期などについても、「事前に調整する」「延期を検討する」---。

軽度でこれだ。まして、中等度、重度となると、「対応できる限り実施」。つまり何もできない、と告白。要するに、全体として何もできない、お手上げなのだ。いまからドロナワで用意をしても、何の役にも立たないことを自ら認めているのである。

新型インフルエンザは若い人の感染が目立った。高齢者は、科学的な証明はできていないが、長年の人生の中で獲得した免疫性があるからだという説もあると聞く。しかし、これまでの季節性インフルエンザでは感染から肺炎を併発して死亡する割合が、6割とも7割とも推定されている。

予想される第2波の襲来時期は、早ければ総選挙直前か、遅くとも直後となるだろう。郵政の人事だの、解散日程だの、政局だの、民主が優勢だって?小さい、小さい---。いずれにしても、新政権はこの問題で追及され、短命に終わることになるかもしれない。

どう変わっても、国民の命を守ることのできない国に私たちは住んでいるのである。

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