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中国の大学事情 宮崎正弘
中国の大学生はとうとう2150万人。圧倒的な質の低下。学生が増え、大学設備が足りず、銀行は優先的に融資し、いずれ倒産?

国連ILOの労働対策専門家は次のように分析する。

「4兆元(57兆円)の景気刺激策はあまりにも土木建設志向、カネは要するに国有企業大手にまわり、不良債権をかかえる銀行も、勘定におかまいなく、プロジェクトがあれば融資に応じている。

中小企業にはカネが回らず、この景気刺激策は、ほかの政策との整合性が決定的に欠ける。だが最悪の問題は大学生の就職難という悲惨な状況に対して効果的対策がでてこないことだ」。

新卒学生に職がない事態は、ますます深刻化した。
 
過去十年間、中国での大学生は年率30%という桁違い勢いで伸びた。「大学を卒業すれば給与が高い企業で働ける」というのが最大の動機だ。

1998年に中国の大学生は全部で380万だった。昨年、新卒だけで560万人、ことしの新卒学生が610万人。

2008年統計で中国全土の大学生は2150万(大学院も含める)の凄まじい数字となった。上海での大学進学率は65%に迫り、重慶の15%程度と明らかな地域格差も目立つ。

これに対して大学教員が120万人、十年前の知的レベルと圧倒的に質が落ちている。

医学知識のない教員が薬学部で教えたり、科学的教養に欠ける者がコンピュータ理論を教えたり、大学そのものが拝金主義に走り、高層ビルの校舎を建てたりして借金を膨張させてきた。

たとえば安徽省には50の大学があるが、合計の債務はすでに12億ドルに達している。広東省では省立大学の倒産を予防するために3000万ドルの緊急融資を広東省政府が銀行に命じた。

ブームに乗っかろうと地方では即席の大学が雨後の竹の子のように誕生し、たとえば南京の或る大学では生徒を募集しても収容できる設備がなく、カフェ・テラスを臨時の教室で借り受けたり、ホテルを貸切りとして応急措置をとった。そうやって学生の急増に対応した。

こうした泥縄対策の結果、中国全部の大学が抱える借金は1000億ドルにも達するという。

革命以前、中国の教育は儒学だった。戦後、識字率を高めるための教育制度から革命後の中国のシステムは出発したが、これは農村部の人々が軽工業の工場などで働いても最低限度の仕事をこなせば良いという需要だったからだ。

▲作り出された駅弁大学のトリック
以後、改革開放政策のもとで経済成長が豊かさを運んでくると大学ブームが起こる。中国の中央政府管理の大学は全土に75,これがエリート校。ほかに地方政府などが設立した大学は2100余。

「産業界が欲している人材を大学ではろくに教えていない。教育現場は恐ろしいほどに需給格差、教育の質のアンバランスと無駄がでてきた」(ウォールストリート・ジャーナル、4月28日)。

大学教員や管理スタッフも圧倒的に員数がたりないうえに質が落ちた。大学が設備を増築すると言えば銀行は融資を優先した。土木建築には必ず汚職がともない、設計通りの実験設備が出来なかった。運動場もない、高層ビルの建物だけが増殖した。

学生数は平均で11倍に増えた。図書館の蔵書は、おなじ期間に50%しか増えなかった。

こうした驚くべき現状を目撃しても、それを報道しないのが日本の大手新聞。「中国の未来は薔薇色」と日本のマスコミは言い続けるのだろうか?

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