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著作権保護とグーグル検索 宮崎正弘
マスコミ、ジャーナリズムを大きく揺らすグーグル問題のすべて。各社、和解に応じるか、裁判に訴えるかの岐路に。

検索大手の「グーグル」が発表した2009年度第一四半期決算は、売上高が前年同期比6%増の55億900万ドル、純利益が同9%増の14億2300万ドルに達していた。全世界のマスコミが不況に喘ぐ中、この会社だけは順風満帆に見える。

またグーグルは新興企業に投資するファンドの設立を計画中である。

投資規模は約1億ドル(約98億円)で、ファンド名称は「グーグル・ベンチャーズ」。グーグルは従来もエネルギー分野や関連分野領域へ投資してきた。グーグルの新ファンドは収益性を重視、幅広い分野を対象にする。

ところがグーグルは新聞広告事業から撤退する。

グーグルの広告顧客に新聞の広告スペースを売り込む事業を目論見、スカウトも繰り返してきたらしいが、不況の深刻化で、事業継続を断念したのだ。

グーグルは2006年11月にニューヨーク・タイムズなど全米有力紙50社と提携し、新聞広告分野に参入したばかりだった。これはビジネスモデルの多様化でもあった。
米国の新聞は地方紙が主で、特定地域の消費ニーズに焦点を当てなければ、やすやすと広告主がつかず、失敗に気がついた。

世界を揺らす「ストリートビュー事件」も起きた。

地図と写真を組み合わせた新サービスの「ストリートビュー」について、新潟県弁護士会は「個人のプライバシー侵害をなくす措置」をグーグルに求めた。

ストリートビューは世界中で閲覧でき、電子データとして加工できるので、人権侵害の恐れがあると批判され、撮影前に住民に告知することなどが提案されたのだが、表現の自由との兼ね合いもあって、グーグルに自制を促すだけに留めた。

こうしたサービスをめぐって世界的規模でトラブルが相次いでいる。

報道に寄れば「ネット上の地図から現場写真を見ることができる「ストリートビュー(SV)」について「プライバシー侵害の恐れがある」との懸念が広がったばかりか、地図情報サービス「グーグルマップ」に書き込んだ個人情報が誤って閲覧可能になる」。また住所録が流出した事件もおきた。

ストリートビューは個人レベルで楽しむのなら、問題は生じないけれども、このシステムでは、地図のURL(サイトのアドレス)を知人に送信すると情報が共有できる。友人同士で地図を共同で作成し、会合の待ち合わせに利用するなど、或いは同窓会名簿とか、団体名簿などを共有したりする。

とろこが地図に書き込まれた内容が、他のユーザーからも「丸見え」になるケースが頻発した。

▲著作権者を悩ませる大問題がおきた
最大の問題はグーグルの書籍全文検索である。グーグルは2005年に米国で団体訴訟を起こされた。そして三年かかった裁判で、この大型の著作権訴訟は和解合意がなされた。
この米国での裁判結果は自動的に日本の作家、評論家など著作権者に大きく影響する。なぜなら日本が「ベルン条約」に加盟しているためである。

早速、日本文芸家協会は、「日本の著作権者と出版各社を大混乱に巻き込んだ」としてグーグル本社へ抗議声明を送った。

グーグルは書籍の全文をデジタル化し、ネット上で閲覧できるシステムを構築した。これは著作権を侵害している。

このため米国の出版社が提訴したのだが、2008年10月に和解が成立した。大筋は(1)無断でデジタル化した書籍に対して解決金を支払う(2)2009年1月5日以前に刊行された書籍などをデータベース化し、商用使用できる。

日本文芸家協会は「和解案が重大な内容であるにもかかわらず、一部新聞などに広告を1回掲載しただけ。これは「信じがたい日本の著作権者に対する軽視。相談窓口も設けられていない」とグーグルのあやふやな姿勢を批判した。「全世界の著作権者を米国の法律・手続きで拘束することは極めて不当」と反対の立場である。

しかしながら著作権者の利益を考慮し米側の和解案に応じる。日本ペンクラブも理事会で声明を出す方針を決めた。

和解の対象は米国で著作権を有する人すべて。しかしながら著作権に関する国際条約「ベルヌ条約」は、あらゆる加盟国で出版された書籍は米国内でも著作権が発生する規定となっているために、その効力が世界160カ国以上に及ぶわけである。

グーグルはすでに入手できない書籍は「絶版」と定義し、絶版とみなされれば、データベース化して商業利用ができるものの著作権者側は、それを拒む手続きを行うことができる。

擁護派は、「データベース化されれば、多くの人に作品や学説などを広めることができる大きなメリットがある」として前向きな活用を提言している。反対派はあくまでも著作権保護の立場である。

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