<< 中央ア・イスラム圏の政治暗闘 宮崎正弘 | main | 小沢代表の地方行脚・再開なのか? 古沢襄 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | pookmark |







岩波文庫版『紫禁城の黄昏』が隠した部分 伊勢雅臣
昨日発信した国際派日本人養成講座589号「ラスト・エンペラーと『偽』満洲国」では、レジナルド・ジョンストン著『紫禁城の黄昏』をご紹介したが、渡部昇一氏監修の日本語版では、わざわざ「完訳」と銘打っている。

これは、その前に岩波文庫版が出されており、それが重要な部分を意図的に省略した「つまみ食い的な翻訳」だからである。この点を、渡部昇一氏は「監修者まえがき」で次のように述べている。

・・・ところがこの文庫本は、原書の第一章から第十章までと、第十六章を全部省略しているのだ。その理由として訳者たちは「主観的な色彩の濃い前史的部分」だからだという・・・。

第1章から第10章までは、辛亥革命後に中華民国が成立したが、帝室が残された経緯を辿っている。この部分では第6章の「革命の報に接したシナ国民の反応」で、一般民衆には共和国政府よりも皇帝への忠誠心が高かったことなどが語られている。

また、これが分からないと第8章の「共和国の首都に、なぜ皇帝がいるのか」も理解できない。

このあたりは、589号では「3.ロシアから満洲を取り返してやった日本」および「4.共和国の中の皇帝」で、述べておいた。

また第16章は「君主制主義者の希望と夢」と題して、

「民衆に根強く残る君主制復活への願い」
「『満蒙帝国』としてシナから独立する動き」
「日本の満洲国建国を予言」
「満洲人がシナに忠誠を誓う義理はない」
「リットン報告書への重大な疑念」

などの、小見出しが並び、満洲独立への動きを紹介している。589号での「6.満洲、蒙古の独立を望む声」の部分である。

渡部氏はこう書いている。

この部分のどこが主観的というのか。清朝を建国したのが満洲族であることの、どこが主観的なのか。第16章は満洲人の王朝の皇帝が、父祖の地にもどる可能性について、当時どのような報道や記録があったのかの第一級資料である。日本の政府が関与しないうちに、それは大陸での大問題であった。・・・

また岩波文庫では、序章の一部を虫が喰ったように省略している。そこを原本に当たってみると、それは溥儀に忠実だった清朝の人の名前が出てくるところである。

つまり岩波文庫訳は、中華人民共和国の国益、あるいは建て前に反しないようにという配慮から、重要部分を勝手に削除した非良心的な刊本であり、岩波文庫の名誉を害するものであると言って良い。

岩波書店に学問や言論、文化に対する出版社としての良心があるのなら、岩波文庫版『紫禁城の黄昏』を絶版にするか、意図的な省略や渡部氏が指摘した高校生レベルの誤訳を正して、改訂版を出すべきであろう。

杜父魚ブログの全記事・索引リスト
| - | 06:39 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







スポンサーサイト
| - | 06:39 | - | - | pookmark |







コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック

CALENDAR

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
<< February 2020 >>

SEARCH

SELECTED ENTRIES

RECENT COMMENT

CATEGORIES

ARCHIVES

LINKS

PROFILE