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久保田るり子氏の「朝鮮半島ウオッチ」 古沢襄
産経新聞の「朝鮮半島ウオッチ」で”北朝鮮軍の異例人事、その真相は?””金総書記、新たな肩書きで登場”で詳しく分析している。金永春・人民武力相(次帥)と呉克烈・国防委員会副委員長の存在を重視する点は、杜父魚ブログで指摘したが、久保田るり子氏の解説記事はそれを要領よくまとめている。資料としても貴重な分析記事である。

<北朝鮮の軍の要職に、強硬派でならす金正日総書記の複数の「側近中の側近」が登用され、これが金総書記の異例な肩書で発表されたため、その背景に関心が集まっている。専門家の間では軍強化以外の異なった意図の指摘や、「後継体制」への関連などの分析がなされている。軍からの指示で内政を固め、軍事的脅威で外交を仕切ってきた金正日体制に「新たな変化」が起きているのか。(久保田るり子)

大物側近とは
注目されている人事は、金永春・人民武力相(次帥)と呉克烈・国防委員会副委員長(前朝鮮労働党作戦部長)の任命だ。

側近中の側近とされる金氏と呉氏。金氏は金正日総書記が欠席した昨年9月の建国60周年式典で軍を代表して「偉大なる金正日同志万歳!」と演説した人物で1995年に軍の作戦計画をつかさどる総参謀長職に就任以来、韓国への潜水艦侵入事件(98年)、黄海での南北軍事衝突(99、2002年)などの強硬策を主導し、2回にわたるテポドン発射(98、06年)や核実験(06年)も行った。

呉氏は、対南工作を担当する党作戦部を89年から約20年間率いた。それ以前は総参謀長も勤め、「83年ミャンマーのアウンサン爆破事件、87年大韓航空機事件にも関与したとみられる」(韓国紙・朝鮮日報)秘密作戦の大物だ。

異例の時期、異例の名義
北朝鮮の軍人事は通常、4月が多い。しかし、今回は3月8日の最高人民会議代議員選挙を前に金正日総書記の誕生日(2月16日)をはさんだ2月11日と同19日の任命だった。ミサイル発射準備が進められ、対外的な軍事的緊張のなかでの発表。また、金総書記の肩書は従来の「国防委員長」に加え「党中央軍事委員長」の肩書が使われた。

「党中央軍事委員長」は、亡き金日成主席のポストだったが、その死亡(94年)以降、一度も使われていない。空席か、あるいは金総書記兼務か、とみられていただけに、今回の登場は異例だ。

こうした軍人事発表を「後継体制への地ならしではないか」とみるのは北朝鮮の軍事情勢に詳しい早稲田大学の恵谷治客員教授だ。

「金日成の死後、金正日は軍の支持を得るために先軍政治を打ち出した。国家機関である国防委員会の下に軍を置き、人民軍を直接、統制してきた。以前とは異なり、人民武力相は行政だけを担当、実際の権限は総参謀部と総政治局が握ってきた」と恵谷氏。

そのうえで、「金永春氏の人事は、先軍政治を党が軍を指揮する従来の形に戻す意味があるとみる。そのために自身の肩書に党中央軍事委員長の名前を使った。軍を党の統制下において暴走に歯止めをかけ、後継者への権力委譲を行う考えなのではないか。金氏と同時に任命された総参謀長(李英鎬・前平壌防衛司令官)は小物だ。金永春氏は金日成時代のような力のある人民武力相の役割を果たすことになるだろう」と話す。

一方の呉克烈氏は、健康問題で執務が困難視される国防委員会の趙明禄・第一副委員長(総政治局長)に代わる「実力派重用」との見方だ。

軍要職の10年ぶりの変化か
金氏、呉氏の登用は朝鮮人民軍の3要職を空軍出身の趙明禄氏、海軍出身の金鎰●(=吉を2つヨコに並べる)・人民武力相、軍団長(陸軍)出身の金永春氏で取ってきた陸海空の約10年間のバランスを崩した−と指摘するのは、北朝鮮の内政問題に詳しい慶応大の礒崎敦仁専任講師だ。

「一連の変化は昨年から始まっている一部閣僚交代と連動した次期体制づくりだろう。また、中央軍事委員長という肩書の登場は、権力委譲の受け皿の可能性がある。金正日総書記が金日成主席から世襲を進めた時代に最高司令官などポストを受け継いできた」

また、礒崎氏は「この2年、新たな下部組織の新設など国防委員会の組織化が進んでいることから、国防委員会の位置づけに関する憲法改正が行われる可能性もある」と分析している。

最高代議員選挙の約1カ月後、4月初旬に開かれる第一回会議では金総総書記が国防委員長に推挙され、国防委員会の全容や内閣の閣僚名簿が明らかになり、「第3期金正日体制」がスタートする。閣僚級(前回42人)のうち10数人の交代が韓国筋によって確認されている。

軍部の軍団長クラス交代の情報もある。軍の要職に側近を指名、早々と公表した背景には、新体制の順調な調整を強調する狙いもありそうだ。(産経)>

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