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七十年前の国際社会の縮図が 宮崎正弘
グルジアを侵略したプーチンは1938年のヒトラーの顔に似てきた。英米、NATOはグルジアの苦痛を遠くから見ているだけなのか。

1938年(ちなみに昭和13年)九月だった。ちょうど70年前である。

英仏独伊の四ケ国首脳がミュンヘンにあつまった。英国からチェンバレン、ドイツはヒトラー、そしてイタリアからはムッソリーニ。

会議はヒトラーが強硬に主張していたチェコのズデーテン地方の割譲を巡って協定を結ぶために開催されたもので、チェコはもちろん拒否したが、ヒトラーの圧倒的軍事力を前にイタリアに介入を依頼した。

当時、英仏とロシアはチェコ支援条約などを結んでいた。

列強は無力だった。

ヒトラーはチェコのズデーテン地方をまんまと懐にした。この動きをみたハンガリーとポーランドも、チェコの地方割譲を要求した。チェコはばらばらに解体されてしまった。

そして70年の歳月。

2008年8月8日、プーチンは北京五輪開会式に涼しい顔をして臨み、一方ではグルジアへの軍事侵攻を命じていた。

そしてグルジア領内の南オセチアとアブハジアの独立を承認した。

グルジア難民およそ百万人。グルジア経済はロシアからのガス供給で成立しており、しかしグルジアのサアカシビリ大統領は、なんとしてもNATOに加盟し、西側の一員として国際社会に認知されようと獅子奮迅の努力をしてきた。

ロシアの圧倒的軍事力の復活を前にしてドイツもフランスもイギリスも、そしてイタリアも、肝心要の米国も、なにもできずにうろたえ、リップサービスでロシア軍の撤退と、南オセチア、アブハジア独立承認の撤回を要求しているだけである。

▲EUは何もしない、何もできない、「だってガスはロシアから来ているから」。
EUは緊急会議を開催した(九月一日)のに「ロシアへ経済制裁は行わない」とする決定をしたのみ、グルジア国民をひどく失望させた。

ロシアにおいてはグルジア労働者襲撃(殺されたグルジア人60名以上という報道がある)、グルジア・レストラン襲撃事件がおきてロシアの異常なナショナリズムが爆発している。

ブッシュは「ロシアの軍事行動は主権国家を踏みにじる行為」となじり、支援艦を黒海へ派遣し、さらにはチェイニー副大統領をグルジア、ウクライナを訪問させるだけで、ジェスチャー演技のテレビ政治を行ったとはいえ、軍事的対決を巧妙に避けた。

七十年前の国際社会の縮図がカフカスの南で、国際社会のテレビ報道の前で堂々と繰り返されている!

次はグルジアの独立そのものが犯される危険性がある。

(読者の声1)いつぞや貴誌を「早読み」ではなく「早すぎ」と揶揄調に比喩した読者がいましたが、早期警戒情報的な情報発信メルマガとしては、すばらしい貢献をしていると思います。

昨日つけのパキスタン情勢も、日本のマスコミ分析がほとんど無い時点で、ブッド元首相の夫が優勢という最終情勢は、はじめて知りました。

また米国共和党の副大統領候補ペイリン女史が新鮮なイメージで参戦したために「共和党にも勝機」という分析も「へぇ」と思いました。

或る保守系評論家の意見では、マケインが勝利するだろうと希望的観測を獅子吼するだけなので。つまり、共和党に勝ってほしいと念じるばかりに共和党有利とミスリードする保守系メディアのなかで、冷静に事態を分析する態度は冷たい気もしますが、大事なことではないかと思い筆をとりました。(UU生、山形県)

(宮崎正弘のコメント)思いこみ、思い入れの報道が日本ではいかに多いか。たいそう危険なのですが、外国にいる、多くの特派員の質を見ていますと・・・
 
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