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ルーツを求めて20年(2) 古沢襄
文学町長である高橋繁・西和賀町長が沢内村の教育長時代に、盛岡の岩手県立図書館で全五巻の「参考諸家系図」を調べていたら、南部藩士・古沢氏の出自が「生国常陸の人なり、浪士にて南部領山田村に来たり、北田村に移る」とあるのを見つけた。

作家・高橋克彦氏の叔父さんでもある繁さんは文学好きだが、歴史にも滅法詳しい。その生国常陸の人の名は古沢清右衛門、しかも「その末裔が宝暦年間に沢内代官となる」と記載されているという。「これは沢内・古沢家と深くかかわっているのは間違いない」と手紙で教えて貰った。

早速、紫波町北田を訪れた。街道をはんさんで古沢姓の家が二十軒もあった。古沢清右衛門の菩提寺・正音寺は、曹洞宗の古刹。沢内・古沢氏の菩提寺も曹洞宗の古刹である。

沢内代官の名は古沢長作。宝暦14年(1764)から明和4年(1767)まで「沢内通御代官被仰付」と記録に残っている。村にとっては代官は最高の権力者だが、盛岡藩からみれば末端の職制に過ぎない。支店長クラスといって良い。三年間、沢内村にいたが盛岡に戻った役職はたいしたものではない。

一方、沢内村の古沢家の最古の墓碑は延享5年(1748)のものがあるが、墓碑銘は読みとれない。菩提寺の古沢家過去帳では安永2年(1773)に没した玄質道了信士を筆頭にしている。玄質道了信士には雫石邑生まれの添え書きがある。

これらから古沢長作が代官として赴任する前に、沢内村には古沢家の先祖が雫石村からすでに移村していたことになる。苗字がない善兵衛という名だけの移村農民だった。

古沢代官が去って、善兵衛家に一大事が起こる。安永5年(1776)の盛岡藩雑書に「九月十三日、宮古御代官所金浜村安立、明和七年寅八月八日沢内へ御追放被仰付、新町善兵衛と申者へ罷有候処、当八月二十日より相見得不申候付色々相尋候得共、行方相知不申欠落候由」とある。

四囲を峻険な山にかこまれた沢内村は、盛岡藩の罪人の流刑地であった。寛文13年(1673)から慶応4年(1868)までの百九十五年間に百六十九人が沢内村に”遠追放”となった。その罪人は村の富裕な農家に預けられた。

山でかこまれ隔絶された村だから、罪人は座敷牢に閉じこめられたわけではない。村人と同じように起居していた。その罪人を善兵衛家は”欠落(かけおち)”させてしまった。要するに罪人を逃亡させてしまう失態をおかしたことになる。

罪人の見張りを怠った罪は、盛岡藩の藩刑法典である文化律で”近追放”と定められている。寛政9年(1797)の盛岡藩雑書に「御預者見守者取逃候番人御仕置之事」によれば見張りを怠った罪で沢内村から大迫などに追放された者が出た。

善兵衛家は二代目善兵衛の時代になっていたが、不思議とお咎めがない。それだけでない。早死にした二代目に代わって三代善兵衛になると村の役職である「沢内通馬肝入」となり、さらに盛岡藩の職制である「沢内通御山古人」と「「沢内通御境古人」に登用されて帯刀を許されている。「古沢屋」の屋号を名乗ることも許された。

苗字がない善兵衛家は富農とはいえ一介の農民に過ぎない。それが帯刀を許され、「古沢屋」の屋号を名乗って、家紋に「蔦」紋まで使うようになったのは、古沢代官との繋がりがなくては不可能だったろう。私は初代善兵衛が娘を代官に提供して、子まで授かったとみている。封建時代にはよくあった出世の便法だった。

常陸国の古沢姓と沢内村の古沢姓が結びついたのは、このような背景があったのではないか。いくつかある仮説のひとつとして、古沢清右衛門の流れ説はかなりの信憑性があると思っている。(つづく)

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