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北と交渉するしか道はない(2) 松尾文夫
●シリア問題は過去のこと
松尾 シリア問題は解決したのか。

シーガル これまでのどの合意にも、シリアへの言及はない。だがブッシュ大統領は、昨年七月と八月に北朝鮮がシリアで何をやっていたかを知っていた。イスラエルがわれわれに話したし、昨年八月にはボルトン(前国連大使)が、シリアに対する北朝鮮の核支援に関して警告する声をあげていた。にもかかわらず大統領は九月一日と二日にジュネーブで米朝交渉を行うためヒル代表を送った。イスラエルが核疑惑施設を攻撃しようとしていることを知っていた。そしてイスラエルは九月六日に爆撃を行った。米国は同月末までに、アナポリス中東和平会議への招請状をシリアに送った。つまり大統領は、北朝鮮とシリアの間で何があろうと、両国との協議を続ける決意だ。

松尾 なるほど。ホワイトハウスはすべてを承知していたわけだ。となると、シリア問題はさほど重要ではない、ということか?

シーガル 目下のところは、われわれの安全保障上の死活的に重要な問題ではない。つまりシリアで何があったにせよ、北朝鮮がシリアで原子炉建設を助けたにせよ、問題にはならない。この支援は、一九九四年十月締結の米朝枠組み合意が破綻した二〇〇二年十月に始まった。だが、イスラエルはそれを爆撃したと主張している。だから、それが何であったにせよ、もはや存在していないことになる。となると、どこに安全保障上の問題が残っているのか。まだ何か脅威があるのだろうか。つまり何があったにせよ、もはや過去の話ということだ。シリアに対する北朝鮮の支援のすべてを解明するために、これ以上無能力化を遅らせるのは得策だろうか?

●カギを握る燃料棒の補充
松尾 そうするとあとに残っているのはプルトニウム燃料棒の数の問題と言うことになるわけだ。

シーガル 約八〇〇〇本だ。寧辺の原子炉には燃料棒が約八〇〇〇本あって、その二〇〜二二%を取り出した。

松尾 だが、検証はできないのでは。

シーガル いや、査察官がいる。われわれは彼らがやっていることを知っている。

松尾 だが、彼らは取り出す作業を意図的に遅らせている。

シーガル ロシアと中国と韓国から代償として来るべきものが来なかったからだ。だから北朝鮮は、原子炉からの燃料棒の取り出しを遅らせた。これは本当だ。中国と韓国に聞けば分かる。そう、期限までに引き渡さなかった、と答えるだろう。

松尾 ロシアはすでに引き渡しを終えた。

シーガル その通りだ。いまや中国も、ほとんど引き渡しを終えた。韓国も、ちょうど引き渡し終わったところだと思う。たしかに、北朝鮮がその気になれば、交渉材料として、いろいろと悪さすることができる。燃料棒の取り出しを完全に中止することも、その一つだ。彼らは取り出しを遅らせた。われわれが約束を守らなければ、今度は、それを完全に中止することもできる。これが彼らにとって第二の梃だ。しかし、われわれには梃がない。梃を持っているのは彼らだ。正確には分からないが、一九九〇年初めに、彼らは交換用の燃料棒を三〇〇〇本ほど作ったようだ。約八〇〇〇本を全交換するだけの数は持っていないが、部分的に燃料棒を取り出した原子炉に、新しい燃料棒を入れることができる。

松尾 そうすると、重要なのは補充の燃料棒の問題か。

シーガル その通り。燃料棒の補充ができなくなるのは、五〇%以上取り出したときだ。つまり彼らは、依然として燃料棒の補充という梃を持つ立場にある。だからわれわれは、原子炉の燃料棒を完全に取り出すことを求めているわけだ。そうなれば新しい燃料棒を補充することはできない。そして第三の梃は、彼らが二〇〇二年にやったように、新しい燃料棒を補充した後、原子炉を再稼働させ、さらにプルトニウムを生産し始めることだ。

松尾 再稼働という奥の手か。

シーガル 以上の三つの措置が、それぞれ梃になる。だからわれわれは、原子炉の完全な無能力化を求めているわけだ。まだ彼らが行っていないのは、補充用燃料棒の廃棄だ。彼らが原子炉からすべての燃料棒を取り出し、手持ちの補充用の燃料棒を廃棄すれば、たとえ彼らがもっとプルトニウムを作りたいと思っても、すでに無能力化されている燃料製造工場を再開し、八〇〇〇本の燃料棒を新たに作らなければ、原子炉を再稼働することはできない。それには一年以上かかるだろう。

松尾 その意味で彼らは無能力化を遅らせている。

シーガル その通りだ。彼らは無能力化を完了しておらず、それを遅らせている。だがそれは二〇〇七年二月の共同声明の中の、われわれがすべき部分を行わなかったからだ。それに尽きる。われわれは対敵通商法に基づく制裁の解除を促進することを約束したが、それをしなかった。テロ支援国家リストから外すための手続きを開始することも約束した。たしかに開始はしたが、まだリストから外しておらず、先に述べたような意味での無能力化が完了するまで、リストから外すことはないだろう。

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