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「小沢流」の研究 花岡信昭
日銀総裁人事がようやく決着、3週間にわたる総裁空席の異常事態はとりあえず解消された。とはいえ、これですべてよしというわけにはいかない。

日本政治の混迷ぶりを、これ以上はないと言っていい「分かりやすい」かたちで国際社会に示してしまった。日本そのものの国際的な地位、存在感を一段と低下させてしまったのである。

日銀総裁は、言うまでもないが、G7(先進7カ国)の財務大臣・中央銀行総裁会議の有力メンバーである。世界経済を動かす米FRB(連邦準備制度理事会)議長とも対等に渡り合える力量を持たなくてはならない。国際金融の世界での人脈、交渉能力がものをいうポストだ。

そうした意味では、当初、福田首相が想定した武藤敏郎氏(元財務事務次官、日銀副総裁)が最適任であったことは、大方が認めるところだろう。白川方明新総裁は日銀生え抜きだが、学究肌で地味な存在であった。「趣味は金融」と言ってのける洒脱(しゃだつ)さも持ち合わせているようだから、今後は、その学問的見識と独自のスタイルを国際舞台でフルに発揮してほしいと願うのみである。

福田首相はこの国会同意人事で、3次にわたる提示を行わなくてはならなかった。副総裁で同意を得た白川氏が総裁代行となり、その後、総裁に昇格、最終的に副総裁1人が同意を得られずに空席となった。この間、名前を挙げられた人たちは「さらし者」にされたことになる。

「衆参ねじれ」の政治構造の中で、福田首相は対応能力の決定的な欠陥を示してしまったと言っていい。一方、この事態をつくり出した民主党の小沢一郎代表はどうか。一連の経緯を見ると、とかく、その政治行動が「分かりにくい」とされる小沢氏の(皮肉な言い方を許してもらえば)真骨頂を見せたと言っていいかもしれない。

☆基本理念もしれっと飛び越える

小沢氏は総裁人事攻防で何を狙ったのか。昨年の参院選大勝以後の政治行動の「ねじれ」は、いったいどいう意味合いを持っていたのか。あえて小沢戦略の解析を試みたい。

小沢氏には常にその政治行動について「説明不足」がついて回る。「原理主義者」とも称される。理念型の政治家といわれてきた半面、政局を動かす局面では、行きがかりにはこだわらず、理念、政治信条、基本政策などもポーンと飛び越えて大胆に転換して見せる。それが毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい政治家という印象を形成してきた。

昨年10−11月には、福田首相との間で「大連立」構想でいったんは合意した。それが党役員会で反発されて引っ込め、代表辞任の意向を表明、慰留工作を受けて辞意を撤回するという騒動を起こしたのは、記憶に新しい。

このとき、小沢氏が記者会見で明らかにした「民主党は若い政党で力量不足。政権担当能力が疑われている」という発言が、その認識を正直に表しているといえる。おそらく、その基本的な感覚はいまも変わっていないはずである。

大連立構想は、民主党が連立政権に加わって政権担当能力を示し、年金、消費税などの難問に一定の結論を出すことに主たる狙いがあった。来年9月には衆院議員の任期満了を迎えるのだから、いや応おうなく衆院総選挙がやってくる。いわば、2年弱の「期限付き暫定連立」であった。衆院選が近づいた段階で、改めて態勢を立て直し、2大政党時代を目指した一大決戦に臨むというのが大連立構想の趣旨である。

これに先立つ7月の参院選では地方の1人区を勝負どころと判断、農家への個別所得補償、子ども手当て増額といった「生活重視・バラマキ公約」を掲げ、その思惑が見事に当たった。かつて、民間活力の重視を軸に「小さな政府」を目指すとしてきた基本理念とは齟齬(そご)がある。そこをしれっとやってのけるのが「小沢流」でもある。

☆意識的につくり出す「がけっぷち」

参院選大勝で「小沢神話」が復活、党内をがっちりとつかんだはずの小沢氏だったが、大連立構想の破綻によって、その求心力に陰りが生じた。いま、小沢氏の最大目標は9月の党代表選挙である。党内には「反小沢」勢力の動きが目立ち始め、このままいくと、代表選挙には対立候補が何人か立ちそうな気配だ。

小沢氏にとって、民主党代表というポストは、もはや「争って奪い取る」対象ではない。「無投票再選」か、少なくもそれに近いかたちでなくては、ここまでの政治経歴を積んだ小沢氏としては受け入れられるものではない。

日銀総裁人事で小沢氏は当初、武藤氏の総裁昇格案を容認していたと伝えられる。それが、党内に「財金分離を貫け」という声が高まると、不同意に一転した。さらに第3次提示で、元財務省財務官・渡辺博史氏(一橋大大学院教授)の副総裁案に対しては、鳩山由紀夫幹事長ら党内の多数が支持に傾いたのを見て、今度は「天下りは認めない」ことを理
由に不同意を頑として譲らなかった。

日銀総裁が天下りポストといえるのかどうかは疑問も残る。小沢氏の主張だと、財務省はもとより、中央省庁出身者は未来永劫、日銀総裁には就任できないことになってしまう。

民主党の一連の対応には、メディアのほとんどが批判的であった。とりわけ、最終局面で副総裁人事をけったのは「やりすぎ」と映ったようだ。小沢氏はそうした非難を百も承知のはずである。なぜ、こういう態度に出たのか。

政治家としての総仕上げの段階を迎えている小沢氏としては、この政局を「最終決戦」と位置づけているのであろう。民主党内で「代表の威光」が維持できないようでは、それもおぼつかなくなる。

渡辺氏の副総裁案をあえて退けたのは、「オレの指示を受け入れられないのか」と党内に迫り、引き締めをはかる意味合いがあった。

鳩山氏ら党幹部には、「小沢氏のことだから、万一の場合、党を割りかねない」という恐怖心が拭えない。小沢氏はこういう局面では、意識的に「がけっぷち」をつくり出して見せるのである。これもまた「小沢流」である。

☆小沢氏の視線の先は9月代表選

小沢氏の現在の視線は9月代表選にある。だから、一連の国会対応でも強硬路線を取らざるを得ない。代表選をしのげそうにないという判断が高まった場合、自分が代表でいる間に衆院解散を目指そうとするだろう。代表選で再選間違いなしとなれば、解散はそのあとでも構わない。小沢氏が解散時期について「5−6月。少なくも年内」といった表現をしているのは、そういう意味である。

その一方では、一部の党幹部が危惧するように、一定の勢力を引き連れて自公与党と電撃的に連立政権をつくるという離れ業も選択肢となる。この相反する両極のシナリオの間で、小沢氏は政治パワーの維持を図っている。

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