<< 世銀、中国の成長率予測を下方修正 宮崎正弘 | main | 広州駅でついに圧死者 宮崎正弘 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | pookmark |







マスコミ人生もいろいろ 古沢襄
通信社の歴史をみると株価など経済ニュースを流すことで始まっている。それが第一次世界大戦を機にして戦争のニュースが大きく取り上げられるようになった。通信社の興亡は国家と運命をともにするといわれたものである。

日本の通信社も共同、時事の前身である同盟通信社は半官半民の組織であった。政治・軍事記者が主流で、従軍記者が多かったことから、同盟が一番多く殉職者を出している。支那事変で南京占領に際しては、無線機を担いだ従軍記者が兵隊とともに最前線に立ち、南京城占領の一番乗りを城壁の上から無線送信した。

軍部も同盟には輸送機を提供するなど最大限の協力をしている。まさに国営通信社。長崎原爆の時には軍の施設が壊滅したので、同盟の通信回線を使って大本営に被爆の第一報を送った。ポッダム宣言の傍受をしたのも同盟。

だから敗戦によってGHQは同盟の解体を最初に手をつけるとみられた。同盟幹部は先手を打って、自主解散し、アメリカのAP通信社をモデルにした非営利(社団法人)の共同通信社と営利(株式会社)の時事通信社という双子の兄弟組織を作っている。

政変があると総理官邸に各マスコミのテント村が立つが、官邸玄関の一番良いところに共同のテントが張られたのは同盟時代の名残といえよう。敗戦後、1950年代までは共同の政治部は最強の部隊といわれた。

共同の編集局で政治部だけは別格で編集局長は政治部OB。共同労組も政治部が牛耳っていた。その時代に私は入社している。最初の赴任地は仙台支社。支社長は戦時中のニューデリー特派員。

この頃は東京で発生するニュースを地方の新聞に送るのが共同の業務が主体となっていたので、支社の記者は僅か五人。ほとんどが東京から専用回線で送ってくるニュースを耳受けする速記者が主体。耳受けした記事を河北新報のボーイさんが、ひったくるようにして持っていき、印刷工場で活字を拾って、輪転機にかけて新聞を作っていた。

速記者は三交代の泊まり勤務をしていた。地方で発生する事件、事故が東京の紙面に載ることは滅多にない。私たちは閑な記者生活を二年送った。月給は一万二〇〇〇円。実は東京新聞にも合格していたが、月給は一万一五〇〇円、五〇〇円の差で共同を選んだ。

耳受けの送信が、間もなくテープ送信になった。記事を印字した一本のテープを適当な長さで切り、用紙に貼り付けて新聞社の渡す。速記業務が大幅に減った。とはいえ牧歌的なマスコミ時代であることには変わりない。記者は閑だろうということで、一年目に労組の東北支部委員長を押しつけられた。本部書記長が政治部だったので「地方勤務が終わったら政治部にこい」と誘われた。

そんないきさつがあったので政治部に転勤したら、政治班の中央委員にさせられた。やがて政治班選出の中央執行委員。組合活動をするために共同に入ったようなものである。もっとも、この経験が労務担当になって役に立った。

三十九歳で富山支局長、四十歳で金沢総局長になったが、この時代は新聞社が近代化、合理化に変貌する時と重なった。地方紙のカラー印刷、コンピューターと直結した印刷革命を現場で見ることが出来た。新聞社の印刷工場から活字工が姿を消す変化を肌で感じた。

この経験は衝撃的であった。新聞労連は合理化反対闘争が激しくなり、編集局の現場でもコンピューターに支配されることは、ジャーナリズムの衰退に繋がると危機感が広まっている。しかし合理化の大きな流れは変わらないと肌で感じていたから、パソコンやワープロに人より先んじて勉強することにした。

役員になって共同のコンピューター・システムをIBMで更改するシステム担当責任者になったが、編集局あがりの素人ながら、無事に勤めおえたのは、人より早くコンピューターの世界を知ったことが役に立っている。

生涯記者としてマスコミ人生を終わることも良い。そのために難関であるマスコミの競争試験を勝ち抜いてきたからだ。しかし、私のように編集局を途中下車しても、新しい世界が開けていることを後輩たちには知って貰いたい。老人の戯言なのかもしれないが・・・。

杜父魚ブログの全記事・索引リスト(2月1日現在1466本)
| - | 06:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







スポンサーサイト
| - | 06:00 | - | - | pookmark |







コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック

CALENDAR

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< May 2020 >>

SEARCH

SELECTED ENTRIES

RECENT COMMENT

CATEGORIES

ARCHIVES

LINKS

PROFILE