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無法の訴訟ジャングル(2) 伊勢雅臣
■6.陪審員制度による「ご当地評決」■
誰でもいいから太った獲物を捕まえ、骨までしゃぶり尽くす、こうして90万引きもの恐竜が生きている訳だが、それだけのたくさんの獲物を捕まえるための二つの罠がある。

第一の罠は陪審員制度である。陪審員は普通の市民が任命されるが、日当5ドルと交通費程度の支給しかなく、仕事を2ヶ月も休まなければならないので、失業者や、パートタイマー、公務員など比較的ひまな人間がほとんどである。教養のある高収入階層は公務や国際会議を理由に免除を求める場合が多い。

服部君射殺犯の裁判でも、人種差別意識の根強い地域で、白人ばかりの、それもあまり教養がない陪審員が揃ったら「ご当地評決」も当然だ。

マクドナルドの例でも、とんでもない理屈をこねた当の弁護士自身が「とても勝てるとは思わなかった」と述べている。陪審員制度のもとでこんな可能性がある限り、ディープ・ポケットを狙った「駄目でもともと」式の訴えが無数に発生してしまう。

また被告の方も、よほど自信があっても、万一負けたら天文学的賠償金、勝っても高額の弁護料となれば、ほどほどの金額を払って、法定外和解に持ち込むのが得策である。原告側弁護士は、相手の弁護料のやや低い額を狙って、和解を持ちかける。獲物が罠にはまったら最後、逃げ場はないのである。

■7.立法による罠■
獲物を増やす第二の仕掛けは立法である。新しい法律を作れば、新しい獲物を大量に引っ掛けられる。そのためにワシントンDCでは数万人がロビー活動に従事している。

たとえば、製造物責任(PL)法。欠陥商品を売った企業の責任を問うという建前は立派だが、その運用状況は、冒頭での酔っ払いが起こした事故でホンダが24億円とられた、という事例からよく窺える。

米国の小型飛行機業界は、製造から二、三十年たった中古飛行機で、顧客の方がどんな改造をしていても、事故が起こったら製造者を訴えられるというので、訴訟の集中攻撃を受けた。85年の訴訟ピーク時には、年間販売額14億ドルに対して、2億1千万ドルを訴訟費用に費やした。

売上高の15%も訴訟費用に消えたら、生き残れる会社は少ない。アメリカの主要29社のうち、20社が倒産してしまった。PL法の罠で、ほとんどが恐竜に食い尽くされてしまったと言える。

■8.恐竜たちの海外進出■
90万匹の弁護士という肉食恐竜が、最近はいよいよジュラシック・パークの外にも獲物を求めだした。最初の餌食はドイツ企業だった。フォルクスワーゲンや、ジーメンスなど対して、第二次大戦中に強制労働に従事させられたユダヤ人や戦時捕虜約200万人に替わって、賠償請求訴訟を起こした。

その手口は従来と同様、まず餌食となるドイツ企業を引っかける法律の制定。99年7月に成立したカリフォルニア州法の修正で、第二次大戦中の強制労働に関する補償では、時効を撤廃し、2010年までに訴訟を起こすことを可能とした。

たまりかねたドイツ企業に替わってドイツ政府が乗り出し、米政府との間で総額50億ドルで合意する見通しとなった。和解の場合の弁護士料の相場3割が適用されると、1500億円相当が弁護士の懐に入ることになる。

■9.狙われた日本企業■
これに味をしめて、恐竜たちの次に標的とされたのが日本企業である。戦時中の元米兵捕虜や、中国系、韓国系米人が日本企業に強制労働させられていたとして、補償を求める訴えが相次いでいる。上記のカリフォルニア州法が「ナチ・ドイツとその同盟国」を対象としているので、日本にも適用されたのである。(したがって連合国側の強制労働は訴えられない。)

もう一つの罠は、米連邦法「1897年対外補償請求法」が97年に修正され、米国籍、米在住者に限らず、世界中誰でもがアメリカで訴訟を起こせるようになったこと。今回の訴訟でも、韓国やフィリピンの国民が、カリフォルニアで訴訟を起こしている。これらをあわせると、これまでの提訴は合計28件、数百億円から、数千億円規模に膨れあがってきた

サンフランシスコ講和条約では、次のように定めている。連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中に日本国及びその国民がとった行動から生じた連合国及びその国民の他の請求権・・・を放棄する。

「連合国およびその国民」とあるので、民間の賠償請求もできないはずで、講和条約を結んでいないドイツとは事情が異なる。この点はトーマス・S・フォーリー駐日米国大使も、このような日本への主張は禁止され、平和協定によって対日賠償請求は全て片付けられていると発表した。

しかし、どんな道理も論理のトリックで言い負かす手口は、いままで見てきた通りである。まして金の伴わない「誠意ある謝罪」などには、見向きもしない。アメリカ市場での経験豊富な小田部勝ホンダ・ノースアメリカ副社長は、ジュラシック・パークで生き延びる秘訣をこう語る。

我が社は理由のない示談には絶対に応じない姿勢を貫いてきました。弱みを見せれば好きなだけやられる。訴訟を受けて立てば膨大な出費となりますが、私はこれを企業防衛費と考えています。日本では水も空気も安全もただ、と見なされますが、アメリカでは企業の安全は有償だと考えなくてはなりません。

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