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2008年アメリカ大統領選挙展望(3) 松尾文夫
ウオール・ストリート・ジャーナル紙が2007年9月7日付の紙面で報じたていたところによると、この戦略は共和党側では「成功の明かし」、民主党側では「戦争終結の第一歩」とそれぞれの実績としてうたえることが可能な内容となるものだということで、以下のような段取りが紹介されています。

(1)現在、約16万人を数える駐イラクアメリカ軍のうち、 今年四月から、昨年はじめに増強された3万人を一ヶ月一旅団のペースで撤退を開始する。

(2)これと平行して、兵力削減も続け、今年秋までには 115,000人のレベルまで下げる。

(3)2009年1月20日、新大統領が就任するときには、アメリカ軍兵力は100,000人を割り込む。こうした削減にあわせてアメリカ軍の役割も海兵隊を中心とする戦闘参加から、イラク軍の訓練、軍事顧問役に移行していく。

その先については、クリントン政権時代の高官も加わっている「新しいアメリカの安全保障センター ( Center for New American Security ) 」などは、2009年末までにアメリカ軍は6万人程度まで減らし、以後2011年までは20,000人を駐留させることを提案している、と同紙は伝えていました。 要するに、民主党内でも、即時撤退を求めるケネデイ上院議員ら反戦急進派の勢力は少数派で、イラクでのアメリカの権益維持のためには、アメリカ軍の長期的な駐留が欠かせないとの考え方が主流を占めているということです。

民主党系の長年の友人は11月の時点で、民主党内では、こうした超党派的なイラク解決案を模索する動きが高まっていると述べ、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事について、肯定的でした。 そして、彼はイラン、シリアも加えた国際的な枠組みで最終的なイラク和平を達成するとの、ちょうど一年前にベーカー・ハミルトン共同委員長のイラク研究グループ(ISG) がまとめた超党派の報告書に盛られた諸提案は、べーカ―氏のブッシュファミリー全体:の指南役としての立場からいっても、今も生きていると見たほうがよい、と解説してくれました。

ISG報告書を無視する形で実施されたイラクへのアメリカ軍“増強”も、イラク現地対策のみならず、政治的にも政権内タカ派を抑えこむ一つのステップとして、ベーカー氏らも了解していたと、見ることができるというわけです。この背後にはやはり「9・11」のショックが後を引いていること、すなわち、ブッシュ大統領がイラク戦争開始の大前提とした「テロとの戦い」については、各種世論調査でも国民の大勢が支持していることが明らかになっている現実があります。NBC-WSJの最新の調査でも、イラクで民主主義が根ずくまでアメリカ軍がとどまるべきだが24%、即時撤退が26%、と二分されるのに対して、37%が一定の規模のアメリカ軍の駐留やむなしと答えている数字が出ています。

ちなみに今年1月2日のウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、オバマ候補も、「我々の外交官を守り、アルカイダ拠点に対する攻撃を遂行するために」との理由で、一定のアメリカ軍のイラク駐留を承認する立場だという。 共和党側でも、一貫してブッシュ戦争を支持してきたマケイン上院議員がここに来て勢いを盛り返し、ニューハンプシャー州予備選挙で勝利の可能性がでてきたとみられている事ともあわせて、今後の注目点である。(続く)

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