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台湾で逆転勝利の可能性は? 宮崎正弘
謝長廷(民進党次期台湾総統候補)『逆転勝利』の可能性はどれくらいあるか。国民党の「一党独大」に危機感をおぼえる台湾民衆が逆転コール。

まず立法院(国会)選挙結果(1月12日)をこまかく数字でみよう。
政党        得票数         得票率
〜〜〜〜     〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  〜〜〜〜
国民党      5,010,801    51・2%
民進党      3,610,106    36・9%
新党         386,660     3・9%
団結連盟       344,887     3・5%
紅党          77,870     0・8%
ほか

当日の投票率は58・5%だった。一党独裁ならぬ「一党独大」(台湾マスコミの命名)という結果が生まれた。

小選挙区制では勝者がたとえ300票差でも議席を得るため、議席獲得では国民党が81(全議席の72%)、民進党が27(同24%)となる。

また金門、馬祖、膨湖諸島は各一人。原住民選挙区は6人が割り当てられて優遇されており、合計9票は国民党へ自動的に流れるという不公平がある。

原住民優遇は日本の統治方式を国民党が踏襲したばかりか、これに歴史的支配方法としての民族分割統治を徹底させ、原住民が台湾本省人に反感を抱かせ、敵の敵は味方として、国民党を支持させるわけだ。

選挙制度の不公平を巡る議論は選挙終了直後から再燃し、馬英九は市町村合併による効率的統合を主張し、王金平は2年後から国会で選挙区是正議論をする、と記者会見している(1月14日付け『自由時報』)。

さるにても得票率の与野党格差は15%も開いたが、これは次回の総統選挙を占うメルクマールとはいえ、参考程度の数字でしかないことがわかる。

3月22日の台湾総統選挙は、天下分け目の戦いであるがゆえに投票率は80%前後になる。およそ1360万票をめぐる争いである。

親民党、新党は独自候補を出さず、馬英九で一本化しており、汎藍陣営の集票マシーンが効果的に稼働する体制はできている。最低でも49%は集めそうである。

今回の国会議員選挙では、棄権した人たちの七割方が民進党支持者だった。だから上表の民進党の基礎票におよそ250万票を加えると611万票となる。

これに李登輝氏率いる『団結連盟』の35万を上乗せすると、予測される民進党の得票は645万票となる。半分の680万票に、あと35万票差がある。これを民進党はいかに上乗せしてゆくか?

第一は国民党に選挙区事情で入れた人々の切り崩しだろう。立法委員選挙は小選挙区ゆえに、選択基準は国民党と民進党という色分けが第一義ではなく、じつは地元の有力者、ボスが選ばれる。投票者は政党を第二義とする。

だから原籍が当該選挙区にあっても現住所の異なる選挙民は、帰省してまでの投票行為をしない(それが大量の棄権を産み、民進党最大の敗因となった)。

▲3月22日までにどれだけの選挙民が原籍地へもどるか?
総統選挙の場合、国内の移動はもちろん、外国にくらす人々も帰ってくる。中国でくらす100万台湾人の、おそらく5万人から10万人も帰国して投票する(前回も米国、中国から投票にかえる人に国民党は実弾を支給したという“実績”もあるが)。日本に留学している台湾人学生も帰国して投票する率は高くなるだろう。これは台湾が不在者投票や海外での投票を認めないためである。

総統選挙は中国の脅威、脅迫を前にして「台湾人アイデンティティ」が問われる選挙ともなり、普段は共存する外省人と本省人との心理的葛藤を勘案するべきだ。しかしこれは数字をもって定量化できない要素だ。

追い上げには民進党がやや有利であり、まして謝長廷は自叙伝の題名を『逆転勝利』とするほどの、逆境に強い個性がある。

残る問題はしたがって、
(1)党内の主力四派閥をいかにまとめて挙党態勢を築けるか。
(2)李登輝氏率いる「団結連盟」の全面協力をいかにして得るか。
(3)経済論争では、どのタイミングで国民党が提示した景気回復プログラムを上回るアイディアをうまくだして、選挙民を魅了できるか。

ともかく旧正月明け(2月22日)から本格化する選挙戦開始までに謝長廷・候補は、残されたわずかな時間を、汎緑陣営の結束に充てなければなるまい。幸いにして陳水扁総統が党主席をはやばやと辞任したため、謝が党内をまとめる立場になる。

ところで、日本の民間レベルは、外務省とは異なって民進党贔屓が多い。また台湾が中国に落ちれば、すなわち日本の生命線が失われ、つぎは沖縄という不安が広がっている。

米国は残念ながら共和党も民主党も、陳水扁を嫌っており、どちらかといえば国民党の勝利を望んでいるフシが濃厚である。馬英九なら米国は操縦が可能とする、目に見えない政治的自信が伺えるほどに米国はブッシュ政権も民主党指導者も民進党に距離をおいているのだ。台湾の危機を理解しているのは共和党ネオコン系と民主党のリベラル、人権派くらいである。

だから保守派のウォールストリートジャーナルさえ、台湾立法員選挙国民党勝利を言祝ぎ、これで株価は上がると書いたほどだった。

台湾の選挙民が漠然と心理的不安を覚えるのは、やはり民進党では日米が支持しないのではないか、という輻輳した弱気の心理である。

「ストックホルム症候群」とでも言えば良いのか、これは長らく国際的に孤立してきた台湾民衆の弱点である。

謝は党内挙党態勢確率へ向かってラストスパートを切っており、大敗直後から李登輝邸を二回訪れ、高雄では反省集会を挙行して同情を誘い、翌日からは台湾独立建国連盟の黄昭堂主席、独立運動の大御所、辜寛敏氏らを訪ね歩いて基礎票固めに入っている。

国民党はあまりの大勝に油断が生まれ、巨大な逆流バネがあることをもっとも警戒している。

杜父魚ブログの全記事・索引リスト(1月12日現在1393本)
| 宮崎正弘 | 06:44 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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