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「ポスト北京五輪」議論に欠けるもの(4) 宮崎正弘
▼中国の石油政策は激変している
中国は石油価格の高騰を不思議に黙認してきたが、その姿勢から、価格抑制へと180度の政策転換が行われた。

じつはこの資源戦略の路線修正、というより資源重視路線の変更は密かな中国高官のOPEC訪問で如実となった。イナタナショナルヘラルドトリビューンに依れば、中国高官とOEPC事務局長との会議は十月中旬に開催されているという(同紙、10月25日付け)。

産油国重視外交と鉱区利権拡大を国策として、がむしゃらな資源の確保を「節エネルギー政策」より優先させてきた中国。

年初来40%のガソリン高騰に、消費者からの悲鳴が挙がっていたが、中国は国内の不満を強引に抑えこみ、価格をそのまま上昇にまかせてきた。

世界戦略上、世界の鉱区で操業する中国石油産業が、ますますの高利潤追求と利益を確保していけるためであり、また中国企業の財務体質強化に繋がる。ペトロチャイナの躍進に関しては、既報の通りである。中国経済は成長を継続できるという思惑があった。まさしく胡錦濤執権党においては「成長が強迫観念」だった。

ところが風向きが変わったのは、あまりの石油価格高騰による消費者暴動がミャンマーなどで発生し、その余波を警戒したため、ではない。

軍が主導の備蓄がままならず、さらには国家備蓄計画に支障がでた。一バーレル80ドルでは予算が取れないのだ。

官僚エコノミストたちの発言力が強まり、消費サイドの実態では、極端に節エネルギーが遅れており、とりわけ公害施設、環境設備の更新さえ円滑化すれば、従来の消費の半分以下で石油輸入を抑えられるという、日本企業がとうに達成した企業の自助努力が、新しい目標になったからである。大量の環境汚染防止、公害防止設備が日本に発注された。

▼資源は有限、人材も有限
石油高騰が間接的な動機付けとなって、産業の再編成にも異変がおきた。地方の中規模な鉄工所、鉄骨メーカーなどが、産業調整政策によって廃業、転業を余儀なくされている。

基本的に業界再編は朱容基前首相時代からの「国有企業改革」以来であるが、雇用重視より、企業の効率的再編重視へと、これまた姿勢が変化したのである。

すでに石油、ガス、化学、航空などの再編は軌道に乗り、自動車メーカーの調整もほぼ完成しつつある。だから、この過程で王子製紙などの一環パルプ工場の進出に「待った」がかけられた。全体の受給バランスを崩す、特定産業の進出は、中国にとっても「もう要らない」と言うわけである。

資源絡みが中心になるのは、アルミ精錬とか、鉄骨組立とかの弱小メーカーが随分と多く、無駄な価格競争を局所的には産んでいるからだ。信用収縮ならぬ業態収縮は鉄鋼、発電所、セメント、建材、化学肥料などのメーカーにも及ぶ。

建築ブームにのって中国の粗鋼使用量は、四億三千万噸。中国の粗鋼生産は三億噸弱であり、残りは日本、韓国、ドイツなどから輸入してきた。「鉄は国家あり」という古い強迫観念も毛沢東以来の共産党の指導者のあたまのなかに、まだ残映が微留しているのかもしれない。

しかし次から次への鉄骨を組み立てても、マンションブームが続いており、需要に供給が追いつけないという異様な状況が産まれた。

この結果、世界各地では鉄鉱石の原材料価格を押し上げ、鉄鉱石を運搬するバージ船の運賃を高騰させ、人件費からターミナル使用量、倉庫代までも押し上げ、しかも石油代金が一ドル80ドルから、90ドルを更新したことにより、発展するアジア各国では成長が低下した。中国も急成長ばかりの信仰に疑問が生じた。

鉄鉱石は十年前にFOB価格(積出港荷揚げ価格。運賃、保険料をのぞく)が一噸あたり50ドルだった。過去十年で80%あがったが、2007年だけで、さらに25%の上昇を示した(ロイター、10月25日付け)。

中国の昨年度実績で自動車生産は600万台を突破、ここでも鉄が足りない。自動車鋼板は、中国では生産出来ないので、日本と韓国からの輸入に頼っている。

トヨタは、新車購入を希望する消費者が三ヶ月待ちという状況が過去二年ほど続いている。驚くことに現地の販売中国人は顧客に「ウェイティング・リストの順番をあげてやろうか」と持ちかけて小遣いを稼ぐ手合いも出現しているそうな。

鉄鋼の材料が値上げされ、昨今、とくに目立つのは地方の弱小メーカーである。値上げに応じられず、つまるところ、原材料が入手できず、生産ができない。倒産が待っている。価格高騰を抑え込むのは生産量の調整である。


▼量から質へのコントロールを国家の基本方針として仕切り直したが。。。
中国は年内5500万噸の需要抑制、量のコントロール政策にでた。そこで企業が対応したのは量を確保するための企業買収合併という最後の手段である。

武漢鋼鉄(湖北省)は昆明鋼鉄(雲南省)を買収したばかりだが、いまや大手の被買収対象となった。最大手の宝山鋼鉄(上海)は、年内に8000万が必要だが、不足量2500万トンの供給を確保するため、他メーカーの買収に積極的に動く。

従来の政策では地方の製鉄メーカーの再編に関して「規格に合格しない」「資産状況が悪い」「不良が多い」などの理由で閉鎖を命じてきた。それが「構造そのものの調整」を掲げる政策に転換し、業界の再編を促しているのである。

一方、ステンレス・スティールとニッケル生産で中国は世界一。前者は世界消費の半分、後者ニッケルも世界の四分の一をまかなう。これらの原材料花王メーカーも、ニッケル、鉄鉱石などの原料の高騰で、価格を値上げしてきたが、需給バランスは依然として売り手市場だ。

ニッケルは2000年以来7年間で六倍となり、価格は、この一年間でも3%%のアップ。ニッケルの先物相場は倫敦で取り引きされているが、五月に一噸あたり31750ドルが、十月八日には一トンあたり51800ドルもの「暴騰」を示している。

イケイケドンドンの生産量の重視政策は、完全に終わった。環境問題と高品質の需要という時代の変化を捉えて、中国の鉄鋼会も量より質の時代にはいった。

北京五輪を待たずして、この業界再編のなみが、中国をいかに変えるか。理論的には経済を活性化させる筈だが、国家全体の富国なんどそっちのけで、自分さえが良ければ良いというのが普遍的伝統的中国の価値観であり、再編へ向かうダイナミズムは、どこか途中でひんまがってしまうであろう。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)
| 宮崎正弘 | 15:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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