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国際条約優位か、憲法優位か 古沢襄
現行の日米安保条約を一方通行の偏務条約から双務条約に再改定すべきだという論がある。戦争放棄を規定した日本国憲法を改正するのは、日本の国民感情からみて困難が予想されるから、憲法という国内法よりも国際条約という国際法が優先するという学説に立って日米安保条約を再改定を図る考え方。

国際条約が日本国憲法よりも優位に立つという学説は、憲法98条2項「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」から条約優位説を唱えている。

また98条1項(憲法の最高法規性)および81条(違憲審査)において条約がはずされていることは、憲法は条約との関係において、必ずしも最高法規でないことを示しているという。

これに対して憲法が条約よりも優位に立つという学説がある。憲法優位説は条約が憲法に優位すると解すると、内容的に憲法に反する条約が締結された場合には、法律よりも簡単な手続によって成立する条約によって、憲法が事実上改正されることになり、国民主権ないし憲法の建前に反するとする。

条約優位説が強調する国際協調主義は戦後の国際社会の一般原則であり、確かに日本国憲法を支える重要な原則であるが、そこから直ちに条約が憲法に優位するという結論を導き出すことはできないというのが論拠になっている。

たしかに98条1項および81条から、憲法に対する条約の優位が論理必然的に導き出されるわけではない。また日本国憲法は条約優位の明確な規定を置いていない。あくまで憲法解釈の世界に委ねられている。

民主党の小沢一郎代表は、憲法は世界の平和を希求し、国際社会で名誉ある地位を占めたいと平和原則を明確に規定しているから、国連の平和維持活動に参加することは、たとえ武力の行使を含むものであっても日本国憲法に抵触しないと一貫して主張している。

その一方でイラク戦争型の一部国家による有志連合の参加には反対の立場をとる。国連が承認した湾岸戦争型の国連軍、多国籍軍の参加には賛成。インド洋における自衛艦の給油活動には反対するが、国連の決議によってオーソライズされたもの、アフガンで言えば、ISAFは憲法に抵触しないとしている。

政権を担い、外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAF参加を実現したいと主張する。国連の平和活動に積極的に参加することは、たとえ結果的に武力の行使を含むものであっても憲法に抵触しない立場をとる。

広義に解釈すれば小沢理論は、国際条約が憲法に優先する立場であろう。これに対して福田首相はISAF参加で武力行使に巻き込まれれば憲法違反になると退けた。

この論争は国会で党首同士の討論で、国際法と国内法の論議として、もっと深まりを望みたい。国際法レベルでは、国家は国際法上の義務を免れるために国内法を理由とすることはできないという考えが、国家の慣行においても学説上も一応は確立している。

条約法に関するウィーン条約27条では「当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することはできない」としている。オランダ、オーストリアなどは条約に憲法より上位の効力を認めている。小沢理論が憲法違反として無下に退けるのは問題がある。

同時に憲法を形骸化するために条約優位の学説を援用して、日米安保条約に双務性を持たせる改定は国民から支持されまい。あまりにもご都合主義だからである。
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