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クーデター説のその後 古沢襄
与謝野馨官房長官と自民党の麻生太郎幹事長が、安倍晋三首相を辞任表明へ追い込んだとする「クーデター説」の真偽をめぐり、まだ論議が交わされている。

クーデターの片割れとされた与謝野氏は「中川秀直前幹事長も首相の辞意を知っていたはずだ」と反撃している。クーデター説の震源地が中川氏とされるからである。

首相が辞任表明する前日に中川氏も官邸を訪れて首相と面会しているから、与謝野氏にすれば「中川氏が安倍氏に会っていたことは事実だ。中川氏が首相の辞意を知っていても、ちっともおかしくない」と指摘する。

自分自身の認識については、12日に初めて辞任の意向を聞いたとしながらも、「後で考えれば10、11日に首相は何らかの意思を伝達したがっていたといえるが、自分の感受性が鈍かった」と説明した。

さらに「多少の情報戦は総裁選に色を添えるが、両陣営とも節度を持って選挙を戦わないと、国民の評価は落ちてしまう」と述べ、クーデター説については中傷にあたるかという質問に対し、「もちろんそうだ」と不快感を隠さない。

一方、中川氏は広島市での講演で「クーデター説」に関して「私が言ったという話があるが、そんなことを言った覚えはない」と否定した。

一年前のことになるが、安倍政権が誕生した時に森元首相と青木参院議員会長は幹事長に中川氏を強く推した。中川氏も意欲満々で、その時に官房長官には与謝野氏の名があがっている。中川・与謝野コンビが出来るという観測があったのだが、安倍氏はお友達の塩崎恭久氏の官房長官起用にこだわって与謝野官房長官が日の目をみなかった。

これは小泉政権の末期にまで遡って政権の内部事情をみてみる必要がある。竹中平蔵氏の主導で推進された小泉改革だったが、その路線修正をもとめたのは谷垣禎一財務相であった。

「弱肉強食、格差社会ではなく、家庭や地域の絆で支え合い、国と国民は信頼のきずなで結ばれている国を目指す」という持論は今では当然のこととされるが、小泉改革の継承で独走しつつあった安倍氏は内政政策で独自性を出すことを避けている。

その中で無派閥の与謝野経済財政担当相は、竹下路線とは微妙な距離を置いた経済政策を唱え、与謝野擁立の一部の動きもあった。その当時、政調会長だった中川氏は安倍支持で一直線だったが、政策面で与謝野氏と近かった。

そこから中川幹事長・与謝野官房長官コンビが予想されたのだが、小泉前首相が与謝野氏の起用に難色を示したといわれる。安倍首相が塩崎官房長官を起用した裏事情は、小泉改革路線の維持にあった。

参院選の自民党大敗後、安倍首相は麻生幹事長・与謝野官房長官の新体制をとったが、小泉氏にとっては意に染まない面があったと思う。加えて安倍氏が麻生幹事長に傾斜したことは前任者の中川氏にとっても不快感を持ったに違いない。

麻生幹事長が「改革を進める方向に行こうとするなら安倍首相が率いる自民党以外ない。小泉前首相ができなかったことを、安倍首相は九ヶ月間に全部やった(外相発言)。自民党をぶっ壊すと言う人を選び、その方が事実、ぶっ壊した。ぶっ壊された後の自民党をどうやって立て直すかが、与えられた役目(幹事長発言)」と言ったのは小泉批判と受け止められた。

加えて与謝野官房長官が「一方的に市場原理主義、”勝ち組と負け組”とかいう政治はやりたくない。温かい、心優しい気持ちで政策転換することがないと日本人には受け入れられない」と言ったのも小泉チルドレンを刺激している。

クーデター説は安倍首相に対するクーデターというよりも小泉前首相に対するクーデターという側面を持って急速に自民党内に広がった。その結果が、外交面で小泉外交の批判者だった福田康夫氏を圧倒的な多数で総理の座に押し上げたのだから、皮肉といえば、これほど皮肉なことはない。
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