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中国金融界を荒らす外資系四強 宮崎正弘
中国経済は「お雇い外国人」が領導しているがごとし。製造業の中国進出とは、廉価な人件費を求めての製造基地、輸出基地だった。中国の輸出の70%以上が、いまも、依然として外国企業によるものである。

典型は自動車生産だろう。中国純国産車は「奇瑞」一社。昨年の輸出実績は二万台程度(それもロシア向け)。ほか600万台のクルマは、すべて外国自動車メーカーとの合弁による。

金融界はどうか。
昨年春まで、中国の株式市場は八年間の低迷(低空飛行)を続けてきた。誰もインサイダー取引の巣窟である株式投資に手を出さなかった。
絶望的な市場だった。

これを劇変させて活気を取り戻させたばかりか、上海と深浅の株式市場をして、世界最大の投資ブームを惹起させたのがお雇い外国人証券会社の活躍だった。

黄金の錬金術を教唆した四強とは、ゴールドマンサックス(米国最大)、HSBC(英国系多国籍)、UBS(スイス)。そして老舗モルガン・スタンレー(米国第二位)。

活用した場は香港である。
既報のようにゴールドマンサックスが、中国四大国有銀行など主力企業の株式公開(IPO)の秘術を教え、さらには「私募債」という秘策を教授した。

手口は単純で、日本のバブル再建と同様に「再建」のための「債券買い取り機構」をつくって、四大国有銀行の不良債権をさっと国の金庫に移し替え、その結果、40%近くあった不良債権が4%以下になるという手品(奇術のたぐい)によって、投資家が飛びつくという仕儀。

この抜群な錬金術スキームを教えたのが、現在のブッシュ政権の財務長官になったポールソンである。

ポールソンは、なんたって、ゴールドマンサックスの前会長。北京に70回も通って、この手口を教え込み、ついでに銀行の上場に際しての幹事役という、たいそうな利権をもぎとってきた。

中国工商銀行はゴールドマンサックスが主幹事役となって115億ドルを掻き集めた。中国建設銀行と中国銀行はモルガンスタンレーとUBSが幹事行だった。

いずれにしても2006年から07年までに、これら国有企業の香港上場で掻き集められた金額は、なんと700億ドル(邦貨換算8兆4000億円!)。

▼中国の金融界がやがて西側に伍す、なんてシナリオはあり得ない
だが、招来の見通しが暗いのは、以下の理由による。簿価による不良債権比率は、株価が下がったときに、一晩で不良債権が肥大化する(日本の金融機関の大半がこれで弱った)。


溌剌として再建されたかに見える中国の国有銀行だが、じつはその後も不良債権が増している。経営体質が「共産党」の官僚主義と燻り続ける不良貸し付け、縁故貸し付けが業務の主流であり、あまつさえ四大銀行全体で、じつに、200万人の従業員がいる?!
 
その非効率は、いずれ沸騰する鍋蓋が飛び跳ねるように、経営を根本から脅かすだろう。体質改善と帳簿の不合理を多くの監査法人が指摘しているが、そのたびに、これら「お雇い外国監査会計法人」や「アドバイザー」らはお払い箱になっている。本当の経営情報が隠されているのだ。

株式市場に絶対不可欠の要件とは(1)市場の透明性(2)企業情報の客観性、透明性のふたつである。
 
コンピュータ取引は、この二つの條件をクリアした市場に導入された機械でしかない。デリバティブなどの先端性もまた、この二つの前提条件のうえに成り立つのである。
 
翻って中国は情報を国家が統制し、一方的な政治プロパガンダの手法が、株式市場における情報の流通にまでも影響している。国有企業は情報をまったくといって良いほどに操作している。

だから、中国の金融が世界の、とりわけ日米欧の先端的市場に伍すなどという近未来のシナリオは、中国が民主化されない限りあり得ない。

▼ 情報の自由な香港でのIPOは、これから多くの民間企業に移る
中国企業といっても、株式上場は国有企業ばかり、例外的に十社の民間企業がある。いま注目をあつめているのが「アリババ」である。

同社を創設したのはジャック馬と呼ばれる人物で天安門事件のときの民主活動家だった、という説もある。

モルガンスタンレーは、この「アリババ」を香港に上場させるべく交渉を積み重ねてきたが、いよいよ今月末に実現の運びとなった。25%の株式公開で同社は10億ドルを掻き集める。

モルガンスタンレーは、世界第二位の証券会社だ。その老舗が民間企業の上場ビジネスを本格化させた事実には注目すべきである。

モルガンに限らず、ゴールドマンサックスもUBSもHSBCも、アジアにおいて、経常利益の半分以上を稼ぎだしている。

モルガンが、中国の金融証券世界への進出では一番乗りを果たし、ゴールドマンサックスなどは、その後塵を拝した。

一時期はモルガンスタンレーが香港の新規上場幹事役で50%のシェアを占めたほどに強力な存在だった。香港では現在も首位で、二位以下は、UBS、HSBC、ゴールドマンとつづく。

そして、「中国政府いがい、上場できない企業はない」とジョークが、いまの香港金融界における合い言葉となった。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)
| 宮崎正弘 | 16:27 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |







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