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地方党員の票の出方に注目 古沢襄
自民党の総裁選挙の選挙戦がスタートした。リベラル色が濃い福田康夫氏と新保守主義の安倍首相に近い国家観の持ち主である麻生太郎氏の一騎打ちには興味がある。国会議員票では福田氏が圧倒的に有利なのだが、むしろ地方票141票の出方の方に勝敗は度外視して注目している。

自民党員に限られるのだが、右傾化の傾向をみせてきた国民意識が時計の振り子の原理で左に振れ戻すのか、あるいは新保守主義的な傾向が一定規模で定着化したのか、党員意識をみてみたい。

福田、麻生両氏の生活重視の政策はほとんど変わらない。どちらが総裁になるにせよ小泉改革で生じた”負”の部分に光を当て、大都市と地方の格差是正に積極的に取り組む姿勢では大差ない。地方の党員にとっては判断基準に迷うところであろう。

安倍首相は米国重視の小泉外交を軌道修正して中国との友好関係を進める選択をとった。麻生氏の外交路線も安倍外交の延長線上にある。福田氏は日米同盟を基軸としながらも積極的なアジア外交を展開する姿勢をみせている。

国会議員で福田支持を打ち出した議員の中には日中外交推進派が名を連ねている。党員レベルでは、福田外交にどう反応するのであろうか。北朝鮮政策でも麻生氏と福田氏に微妙な温度差がある。経済制裁を続けて北朝鮮の変化を待つのか、話し合い路線も並行して行う姿勢をみせる福田氏に党員がどう反応するか、党員票の出方に興味がある。

新保守主義的な傾向が党員の間で定着していれば、地方票では麻生氏が福田氏を上回るかもしれない。しかしマスメデイアは安倍首相の新保守主義的な傾向には、おしなべて冷淡であった。メデイアの傾向をみれば、リベラル福田の支持票が麻生氏を圧倒するかもしれない。

国民レベルでみれば、福田氏のリベラル色が過半数の支持を受けるであろう。民主党がリベラル色が顕著だからである。だが自民党の党員レベルでは、どう出るのであろうか。

新保守主義というと米国の新保守主義・ネココンを連想するが、米国のネオコンは特殊例に過ぎない。日本の新保守主義は中曽根元首相の時に生まれた国の伝統、文化を重くみる国家観。安倍氏の理念とも共通している。

麻生氏は「福田氏の国家観を聞いてみたい」と言っていた。福田氏にあるのは世界観ではないか。父親の福田赳夫氏は「世界の福田」という言葉を好んだ。流行歌の「二人のために世界はあるの!」に異議を唱えて「世界のために二人はあるの!」と言ったこともあった。

当時はたかが流行歌に大人げないと思ったものだが、世界好きはリベラル福田氏に遺伝しているのではないかと思ったりしている。麻生氏に国家観を問われて、福田氏がどう答えるのか、これも興味がある。

こんな点に耳を澄まして福田、麻生両氏の論戦を聞くのも面白い。どちらが新総裁になるにせよ新首相は日本の外交路線の舵取り役になる。
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