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正月から待っていた 渡部亮次郎
盆の十三にち 正月かた待ってダ。百姓仕事に追われ、趣味も全く無く、98歳で死んだ母が、たった1回、節をつけて呟いた歌(?)がこれだった。田舎の盆は月遅れ,今日13日が盆の入りである。

昔の百姓にとって「百姓泣かせの雨」というのがあった。夜中だけ降って夜明けと共に上がる雨。晴れたら仕方ない、野良に出なければならないから百姓泣かせなのである。

春先の播種(苗代への籾もみ撒き)に始まり、代掻き、田植え、草取りと続き、稲から穂が出るころ、丁度、月遅れで盆となる。この日ばかりは朝から野良仕事のすべてを休んで先祖の供養、墓参り等をするのである。

その週に広場か通りで盆踊りが行われる。裸電球の下、若者たちが前身に汗を滾らせて叩く大太鼓に合わせて数十人の老若男女が輪になって踊る。殆どの人が仮装だ。そこで叫ぶように歌うのだ。「盆の十三日(にち)正月から待ってだ」(秋田訛)。歓喜の雄たけびにも似た歌だ。

田圃の稲は今、花が咲き、あとは秋の取入れを待つばかり。やがて大根も太くなっている。無数を抜いて洗って日干し。たくあんにするのだ。葉もよく干す。野菜の無い冬の貴重なビタミンAの補給源だ。

私も中学、高校へ通いながら田植えから草取り、稲刈りまで、今と違ってすべての手作業を手伝った。それらのすべてを1日で1反(10アール、300坪)を仕上げられれば1人前といわれて達成した。

考えてみれば昔の田圃の仕事はすべて手作業だった。だから百姓の指の先にはいつも泥がつまり、男女とも中年には腰が曲がったものだ。今は田植えも刈り取りも機械、草取りは除草剤になったから、猫背、蟹股、腰曲がりの百姓はいなくなった。

その代わり、田圃から泥鰌(どじょう)が死滅し、朱鷺(トキ)など野鳥の生態に大変化をもたらしている。餌を絶滅させておいて、野鳥だけは生かせというのは人間の勝手すぎる夢では無いか。

泥鰌だけは東京なら養殖ものをどこかで食べられるが、タニシだけは大人になってからは食べた事がない。これも除草剤で絶滅したのだ。

今から60年以上前の敗戦直後は、戦争中の肥料不足、病虫害の蔓延により米の収穫量は1反歩5俵か6俵だった(300Kgから360Kg)。

しかも田圃を地主から借りている小作農はその半分を地代として物納しなければならなかったから、コメ農家の癖に米を口に出来ない日もあった。

明治37〜38年の日露戦争で出征した農家の次三男が無料・無制限だった白米の飯をたらふく食べて何万人かが脚気にかかってかなりの人が戦う前に死んだのはこの所為である。白米にはビタミンB1が入ってなかったからである。

ちなみに海軍だけは指導者のよろしきを得てパンやライスカレーでB1を補い、事なきを得た。それに倣って今も海上自衛隊は毎週金曜日の昼食はどこでもカレーだそうだ。

横須賀基地のカレーは有名であり、九段靖国神社の売店では「海軍カレー」がレトルトで売っている。

閑話休題。それまで日本の革新的な農林官僚にはできなかった農地解放(地主から土地を取り上げ、小作農に低廉価格で払い下げる事)を進駐してきたマッカーサー元帥があっという間に強行した。

土地を失って失望した大叔父は首を吊って死んだ。しかし小作農は狂喜乱舞。収穫のすべてが自己所有となったのだから自転車を買い、ラジオを買った。生産量も倍増した。中国人も毛沢東よりトウ小平が好まれるのは同じ理由だ。

しかし、やがて娘や息子は大学を出たとは言うものの都会から帰ってこなくなり、長男には来る嫁がいなくなった。辛うじて中国や東南アジアから無理して迎えている始末だ。

結果、いまや盆の十三にちは誰も待たない休日だが、将来への希望もあまり無い夏となったのである。私?家督を継いだはずの妹婿が倒産して田地田畑はおろか、大きな自宅も人手に渡してしまったので盆に帰るところを失って、2年が過ぎた。2007.08.12
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