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同盟国日本を甘くみた米国 古沢襄
戦に負けると敗軍は浮き足立つ。参院選という局地戦で負けても、衆院では圧倒的な軍勢があるという戦略観、大局観が失せている。攻め寄せる民主党の足音に気もそぞろ。大軍を擁した平家の軍勢が、水鳥の音に怯えて算を乱して敗走した故事もある。

敵前に展開する陣立ての中で、大将に切腹を迫るようでは、戦わずして”いくさ”に負けたようなものだ。震えながら切腹を迫った中谷元氏は防衛大学出の元防衛庁長官。以前は熱心な田中真紀子元外相の取り巻きだった。防衛オタクの石破茂氏もそうだが、小泉内閣で防衛庁長官に起用された面々が安倍おろしの先頭に立っている。

石破氏も中谷氏も、もとはいえば小沢一郎氏と新生党を作った仲間。早くも自民党に見切りをつけたと勘ぐる向きもあろうが、そんなこといえば二階俊博氏や船田元氏、小坂憲次氏も同じだ。自民党も民主党も政策理念では大差がない。不倶戴天の敵ではない筈である。むしろ地下水脈で繋がっている方が、保守二大政党下の日本政治にとって望ましい。

単純な対立構造の方が危険である。小沢氏にその傾向があるのは、むしろ危ういものを感じる。国内政争のために国の基本政策すらねじ曲げてしまうようでは元も子もない。

むしろ防衛族の武将たちが安倍殿様に歯向かう様をみると、小池百合子防衛相の起用に対するやっかみがあるのでは?と勘ぐりたくなる。久間防衛相が首になった時に、額賀元防衛長官ら防衛族は自分のところにお鉢が回ってくると予想したに違いない。石破、中谷両氏もモーニングを用意したかもしれない。

だが、お呼びではなかった。小池防衛相の起用の裏には小泉前首相の影がちらついている。ゆくゆくはヒラリー・クリトンの向こうを張って、女性初の”小池首相”が小泉の大殿の意向だという。これは奇想天外ではないか。実現するとは思えない。

「冗談じゃーない」。戦争技術に素人の卑弥呼の下でやっていれるか!というのが防衛族の本音であろう。小泉の大殿にしてみれば、三軍の長は目下は安倍大元帥。防衛相は手駒に過ぎない。郵政政局で非情な血刀を振るった小泉の大殿は、防衛族の反発などはさざ波程度にしか考えていない。

深夜、一人で好きな音楽をかけながら、郵政政局の第二幕を考えているという大殿だが、飯島勲秘書という”山本勘介”を放って敵味方の情報蒐集に余念がない。一年生議員のたばね役は、学校長の武部勤元幹事長。民主党の前原誠司前代表とも地下水脈で大殿は繋がっている。小泉新党は必ずしも絵空事ではない。要注意だと思っている。

やはり誤算があったとすれば、米国の方でないか。ブッシュ大統領の前でエルビス・プレスリーの曲で踊ってみせたり、エルヴィス愛用のサングラスを借りておどけて見せた小泉氏だったが、米国は安倍首相には異質なものを感じていたフシがある。

拉致問題にこだわる安倍氏の硬い姿勢は、北朝鮮との融和策に転じたブッシュ大統領にとって、小泉氏なら違う態度をとってくれたと感じていたに違いない。米下院の慰安婦決議には牽制の意味合いがあったのではないか。まさか自民党が参院選で大敗するとは思ってもみなかったであろう。

牽制がきき過ぎて小沢民主党の大勝という藪を突っついて蛇を出してしまった。インド洋から海上自衛隊が引き揚げる事態となれば、一番打撃を受けるのはブッシュ政権である。いまさら小沢代表に泣きをいれても、かなわぬ相談ではないか。小池防衛相が訪米しているが、打つ手は限られている。同盟国の日本を甘くみるべきでない。
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