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「お受験」戦争 岡田光正
受験という言葉は大学入試を意味するものと思っていたが、最近ではそうではないらしい。幼稚園に行っている孫が来年春から小学校という時期になって、ガ然親の目の色が変わり始めて、オジイチャンである私もようやく事態の深刻さに気がついた。

近くの公立小学校に入学させればいいのではないかと甘く考えていたが、その小学校は最近荒れてきてイジメやユスリが目立ってきているという。公立の中学校の荒れが次第に低年齢化して小学校にも及んできたらしい。親としては天心無垢で育ってきた娘を、いきなりそんな嵐の中にさらしたくないという防衛本能が働くのはもっともだろう。

公立は義務教育で試験もない代わり、学区制で決められた小学校にしか行けず、選択の自由がない。イジメもなく、教育環境もしっかりとしているところを選ぼうとすれば、いきおい少数の有名私立小学校に絞られ、いわゆる「お受験」戦争が勃発し、エスカレートせざるを得ない状況にある。

こんな中で関西にいる娘から東京の有名私立小学校の入学説明会があるから、参考までに聞いてきてくれないかという依頼があった。その学校法人は小学校を経営するだけではなく、一般教育では幼稚園から短大まで、音楽教育では高校から大学までの二系統の一貫教育システムを保有しているユニークな学園だ。

このため国立・私立を問わず一流大学への進学校としてかなりの実績を上げているほか、本人の才能に応じて俳優・音楽家など芸術方面への人材も多数供給している。だから一度この学園のどこかの部門に入ってしまえば、あとは本人が転学しない限り一貫教育の恩恵を受け、進学するたびに塾通いや受験で費やす無用な労力から解放されることになる。

その分だけのびのびと学園生活をエンジョイでき、自分の目標に向かって全力を傾注することもできる。当たり前といえば当たり前のことだが、日本の教育の大勢がそれと逆行しつつあることが問題である。

そうした状況では、この学園は大半の親たちにとって天国のような存在に見えるだろう。ところが現実は、あまりにも多い受験者の殺到によってその入り口は地獄なのである。学園側は通学時間片道40分以内と厳重な制限を設けて受験者を絞り込もうとしているが、親たちは通学時間圏内にマンションを借りるとかして対抗策に必死だ。

このため昨年は10倍以上の競争率になり、年々激化する傾向にある。今年も校長挨拶と事務局から具体的な授業内容、受験手続きの説明会が1度では収容しきれず、日を改めて2度にわたって行われた。

両日とも会場の熱気に父兄はますます入学願望を募らせるとともに、いよいよ厳しくなる狭き門にため息もしきりだった。以下は教育論を交えた校長挨拶の要旨である。

本日は当小学校の説明会にご来場くださりありがとうございます。このような機会に、皆様とともに現在の日本の子供が置かれている状況と、子供を巡るさまざまな問題について考え、話し合えることは大変有意義だと思います。

私どもの教育目的を一言でいえば、子供の将来の人生を描くことによって、社会の未来を語ろうということにあります。こうした教育目的の下に、子供たちはそれぞれ自分の人生を自分で選択できる能力を持ち、創造的に生きる人間に育っていって欲しいと考えています。

人間は他の動物と違って極端に早産で生まれます。馬や犬などの動物は、生まれ落ちるとすぐ自分の足で立ち、自分で母親の乳を飲みにいき、短期間で自立していきます。ところが人間は20年もかかってようやく一人前になるのです。そこに至るにも親や学校の教育のあり方が、決定的な影響を持つことも動物と大きく異なる点です。

今、子供を巡る教育環境に大きな問題となっているのは、動物にとっては当然の独り立ちが、できない人間の子供が増えていることにあります。人間も動物と同様に、外界の変化に適応して自立していくには、なによりも自分の身体的感覚の五感を研ぎすますことが必要です。それに加えて人間だけが持つ、心で感じる第六感も働かせなくてはなりません。

当校の教育は、子供たちが本来持っている五感を磨くだけではなく、第六感の能力をも引き出して、自分たちがじかに物事とかかわり、自主的に解決できるような人間になることを目指しています。

そのような教育目的の一環として、学校に隣接している山林を借り、今年の秋から子供たちの運動場兼遊び場に拡張して使用します。そこには大きな楓の木があり、ジャングルジムの代わりに木登りが出来るし、下に落ちてもケガをしないよう雑草の茂みも残してあります。

池や小川の水場も作り、鳥や魚などの小動物が寄ってくるのを観察したり、昆虫や植物の採集も体験できます。放課後も午後四時ころまで子供たちに開放し、ドロまみれになって自分たちの身体的感覚を大いに磨いてもらいます。

一方、知的感覚の育成もおろそかにはしません。21世紀はコンピューターの時代です。

当校では子供の時からコンピューターに慣れさせ、使いこなしながら物事を知的に分析する能力を身につけさせようと思っています。少なくともコンピューターに使われるような人間にはしたくありません。

こうした身体的,知的感覚の強化と並行して、心で感じる第六感を育てるために、ひとりひとりが新しい出会いを大事にして、仲間と一緒に協調して行動することの素晴らしさを教えていきます。それには世界の平和を守る認識が不可欠であり、最終学年の修学旅行には毎年広島を選び、実地で平和教育を行っています。

現在の子供を巡るさまざまな問題解決の一助になればと、当校の教育理念の一端をお話しましたが、ご理解とご協力を賜れば幸いと思います。(杜父魚文庫より)

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