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直木賞が彩なす人間模様(1) 古沢襄
12日の古沢元・真喜文学碑忌に西和賀町長の高橋繁氏が「古沢元とその文学」の講話して頂くことになった。高橋町長は売れっ子の直木賞作家・高橋克彦氏の叔父に当たる。夫人が雪崩の研究家・高橋喜平氏(故人)の娘さん。

以前に直木賞の研究家・川口則弘氏から古沢元の作品「紀文抄」のことで調査を依頼されたことがある。川口氏のことは労作であるホームページ「直木賞のすべて」を読んでいたので、高橋町長にお願いして沢内村教育委員会が刊行した「古沢元作品集」を送って頂きそれを寄贈した。

         http://homepage1.nifty.com/naokiaward/

折り返し、お礼の知らせがあった。

いくら御礼の言葉を重ねても重ねたりないほどで、今の私の感謝の気持ちをあわらす言葉が見つかりません。語彙が少なく、平凡な言い方しかできず恐縮なのですが、ほんとうにありがとうございます。心より感謝申し上げます。

『古澤元作品集』は、実際に拝見するまでは、勝手に、小冊子のようなものを想像しておりましたので、その堂々たる構えと、中身の充実ぶりに、驚いております。

何年も探し求めてきた「紀文抄」を、ようやく読むことができる幸せを噛み締めながら、また、このようなかたちで現代の人間にも読む機会をつくってくださった、編集に携わった方々に敬意を払いながら、じっくりと読ませていただきたいと思います。

また、思いがけず古沢襄様のご著書や、古沢元・真喜ご夫妻に関する書物までお送りいただき、どれもはじめて目にする貴重なものばかりで、胸がいっぱいです。

これらどの本も、かならずすべて読ませていただきます。まだ、ちらりと中を拝見した程度ですが、それだけでも「古沢元氏の中学時代の同期に、のちに直木賞作家となる森荘已池がいた」といったような記述を発見し、驚いてしまいました。

まだまだ不勉強な身なもので、森荘已池について詳しく知っているわけではないのですが、以前、『消えた受賞作 直木賞編』という、過去の直木賞受賞作のアンソロジーの編纂に携わった折り、森氏の受賞作「山畠」「蛾と笹舟」を収録するにあたって、ご息女で詩人でいらっしゃる三紗さんに、盛岡までお話をうかがいに行ったことがあります。

森氏が若くして文学的才能を開花させ、天才と呼ばれた中学生時代のことや、宮沢賢治との出会い、戦争により心ならずも上京を断念せざるを得なかったこと、その後賢治研究に生涯を捧げたことなど、森氏の貴重なお話をうかがうことができ、感動したおぼえがあります。

いろいろと感動したことのひとつは、三紗さんが、父・荘已池の詩や小説などの作品を、のちの世代にまで遺していくことに大変熱心でいらっしゃったことからくるものでした。
そして古沢襄様のご著書を、今、手にしてみて、ご遺族の方が、かつて広く評価された作家の業績を、のちのちの世に伝えていこうとされるご努力に、尊いものを感じずにはいられませんでした。私などのちっぽけな個人的な研究も、そういった方々が積み上げてこられたものなくしては、ほとんど成り立たないことを、あらためて痛感いたしました。

そういった貴重な先輩がたの蓄積の一部を、お送りいただきまして、ありがとうございました。私ももっともっと勉強させていただきます。いずれ私のホームページで、古沢元氏や、そこから派生する直木賞に関係した作家たちのことなども、書かせていただくつもりでおります。

この知らせには私も感動した。詩人の三紗さんの尽きせぬ父親に対する思いと森文学を後世に伝えようとする情熱を初めて知ったからである。

森荘已池氏には盛岡でお会いしたことがある。古沢元の旧制盛岡中学の同級生で、岩手県で初めての直木賞受賞作家といった程度の知識しかなかったのだが、お会いして穏やかな風貌ながら、時流におもねない毅然たる文学者の姿に圧倒される思いだった。翌日、私は初めて訪れる古沢元の故郷・沢内村にマイカーで女房と二人旅に出た。(続く)
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