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身を捨てられぬ菅直人 渡部亮次郎
逃げる菅直人を捕えて「捕らぬ狸の皮算用」と皮肉ったのは07・03・02の『頂門の一針』728号の渡部亮次郎。闘い終わって産経政治部長経験の評論家花岡信昭氏は07・04.10の産経紙で「民主 痛恨の判断ミス」と斬り捨てた。

花岡さんは言う。「ここは菅直人代表代行の出馬しかなかった。・・・勝てなくてもいいのである。菅氏は民主党の窮地を救うための<殉教者>となり、党内の信望を一手に集め得たはずだ。次の局面に繋げる何かが生まれたはずだ。(しかし)こういう負け方では何も残らない」

自分を犠牲にする事は野球のバントにも似ているが、菅直人は野球すら知らないらしい。まして、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、という諺も知らなかったか。

「一身を犠牲にするだけの覚悟があって、はじめて活路も見出し物事に成功することが出来るということ」小学館「故事俗信ことわざ大辞典」。

いや菅だけでなく小沢代表も鳩山幹事長の反対した、という声。そうか、そうならば彼らも野球も諺も政治も知らない点で同罪よ。

728号を再録して振り返る。

<菅直人民主党代表代行の東京都知事候補からの逃げ方を見ていると「捕らぬ狸の皮算用」という諺を思い出す。狸を捕まえるとか、毛皮を剥いで売るとか言うことが無くなったので、死んだような諺だが、菅にはぴったりである。

簡単に「広辞苑」(岩波書店)から。「(まだ捕らえないうちから、狸の皮の売買を考えることから)不確実な事柄に期待をかけて、それを基にした計画をあれこれ考えること」。政権が来たら俺が総理大臣だから都知事になっていてはチャンスを失う。

同じ岩波の「ことわざ辞典」(時田昌瑞著)では。「先行きが不確実なことに期待して、あれやこれやと計画することのたとえ」。算用は計算したり、勘定をすること。猟で、狸を捕える前から、皮をいくらで売ってそのあとは・・・と計画やら計算やらをすること。

大正時代以降の言い回しらしい。江戸時代は「穴の狢(むじな)を値段する)「飛ぶ鳥の献立」「儲けぬ前の胸算用」と言ったらしいが今では専ら「捕らぬ狸・・・」だ。

4月に行われる都知事選挙をめぐっては、現職保守系の石原慎太郎の3戦にまともに刃向かえる民主党候補は、東京を地盤としている菅が知名度から言っても歳適任者だと党内外で囃し立てられて来た。

しかし「頂門の一針」719号(2007.2.22)で触れたように菅は必死で逃げた。<菅氏について小沢代表は「(私と鳩山氏との)3人の役割分担がうまく機能してきたので、今後もそういうことでやっていきたい」と、都知事選には擁立しない考えを重ねて示した。Asahi Com 2007年02月17日22時20分

しかし、このままでは石原慎太郎都知事に戦わずして3選を許す危惧も出てきたため、民主党東京都連は遂に21日、「最強の候補」として菅氏に出馬再考を申し入れた。菅氏は当然、即答を避けた。必死の逃亡である>。

前宮城県知事の浅野史郎が出馬に前向きになった2月末には「太陽が西から昇っても出ません」と峻拒した。どうもこの裏で菅は三井物産系の日本総合研究所会長寺島実郎を使って浅野に出馬を口説いていたらしい。

そのあたりを3月1日付の産経新聞で田北真樹子、石元悠生両記者が解説している。党内で菅待望論が強まると菅側近議員は「菅さんを国政から追い出すための擁立論」と警戒。

「民主党が政権を獲った時に、体力的に不安のある小沢氏に代り菅氏か鳩山氏が首相になれる可能性が高い」と党幹部が言っているという。流石に菅自身はこんな事は口にはしないが図星だろう。当に捕らぬ狸の皮算用では無いか。

世の中とは、決して捕らえる前から皮算用をする猟師(代議士)を尊敬はしない。笑うのである。大正時代以来、しかし、それだけ、笑える猟師が多かったから、諺として定着したわけでもある。

率先垂範、人の厭がることを厭わずに行えば世間は味方し、参院選も勝たせるだろう、その後か同時かは分らないが衆院選も勝たせるかもしれない。利益の計算だけして、不利に立ち向かわないのでは無党派層の支持はどうだろうか。

浅野前宮城県知事の出馬を見越して、民主党本部は推薦ではなく「支援」という緩やかな縛りにとどめるようだが、緩やかな縛りで党員は浅野支援に撃って一丸となるものだろうか。楽をするだけだろう。

現に東京都連の田中良都議団幹事長は「民主党の看板は要らないが、実質的な支援が欲しいというのは、只の偽装」と早くも浅野批判(産経新聞3月1日付)を始めたではないか。加えて売名目的に蠢動する向きもある。

それでも狸を捕まえても居ないのに、皮算用に耽っているようでは「虻蜂取らず」と言う諺もある。説明を要すまいが「あれもこれもと狙って、一物も得られない、欲を深くして失敗するのに言う。(「広辞苑」) (文中敬称略)2007.03.01

<率先垂範、人の厭がることを厭わずに行えば世間は味方し、参院選も勝たせるだろう、その後か同時かは分らないが衆院選も勝たせるかもしれない。利益の計算だけして、不利に立ち向かわないのでは無党派層の支持はどうだろうか。>だとすると民主党の未来は暗い。2007・04・10
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