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中国独裁はあと50年? 渡部亮次郎
米国の専門家の予測の一つだが、経済自由化が進んでも中国の独裁体制は変わらず、少なくともあと50年続くと見るべきだという本が出版された。

「頂門の一針」734号(2007・3・8)に転載したが、産経新聞の ワシントン特派員古森義久記者が同日の紙面で伝えたもの。中国の将来は経済の自由が広がっても政治面での独裁や弾圧は長期にも変わらないというのだ。

これを著したのは米国の著名な中国研究者ジェームズ・マン氏。マン氏はロサンゼルス・タイムズの中国特派員や外交記者などを務め、「北京のジープ」など中国についてのベストセラーの書3冊ほどをすでに出版してきた。

現在はジョンズホプキンス大学高等国際問題研究所(SAIS)の中国問題研究員で、「中国への夢想」、副題「米国の指導者たちは中国での弾圧についていかに言い逃れをしてきたか」と題して米国大手出版社の「バイキング」から2月下旬に刊行された。

米国の対中観としては「経済の自由化によりやがては政治面でも民主化される」という予測と、反対に「内部の諸問題のためにやがては激変し、現政治体制は崩壊する」というものだが、マン氏はどちらも否定している。

尤も両方とも民主化の時期を「やがて」とし、具体的な予測を避けている。中華人民共和国は1949(昭和24)年10月1日に共産党革命によって成立した。

人々は革命は初体験だったが、漢、明、清などと体制の変換は常に体験した歴史を持っており、あまり動じなかった。しかし信頼もしていない事は当然であろう。

引き換えて中国の20分の1の歴史しか持たないアメリカ人は革命を体験せず、期するところは常に改革、改良である。したがって中国についても「経済の自由化によりやがては政治面でも民主化される」という楽観論が先に立つ。

反対に「内部の諸問題のためにやがては激変し、現政治体制は崩壊する」と言う見方は共和党系のシンクタンク(研究所)などに見られるがどちらかと言えば小数意見である。

古森記者は1941(昭和16)年生まれ。アメリカ留学の経験があり、1987年にに毎日新聞から産経新聞に転じた記者。

産経ではロンドン支局長 1989年(平成元年)ワシントン支局長 1990年(平成2年) 米国ウッドロー・ウィルソン・フェロー1998年(平成10年)迄 1994年(平成6年) ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員。

1998年(平成10年)9月より中国総局長(31年ぶりに産経新聞北京支局再開)と言う変わった経歴の持ち主。北京には3年間在任。中国に関する著書多数。

2001年(平成13年)ワシントン駐在編集特別委員・論説委員(現職) 2005年(平成17年)杏林大学客員教授 (兼任 現職)

こうした経歴からマン氏の著作に興味を持ったものであろう。あまた居る日本からのワシントン特派員で、中国にも駐在したと言う経歴の記者は居ないであろう。

さて、マン氏の「中国への夢想」は米国の中国観を取り上げ、中国が今後どう変わっていくかの予測を(1)安心シナリオ(2)激変シナリオ(3)第3のシナリオ−の3つに大別している。

同書によると、「安心シナリオ」は経済の開放や自由化が進めば、共産党独裁の政治体制も変わることが不可避であり、米国としては貿易や投資の拡大で中国の経済自由化を早めれば、やがて必ずそれが政治に影響し、民主化が始まる、という予測。

このシナリオは現在の米国の主流の予測であり、ブッシュ大統領も「経済の自由は自由の習慣を生み、やがては民主主義をもたらす」と述べている。

民主党もクリントン前大統領が「中国の経済的変化は自由の精神を拡大し、ベルリンの壁の崩壊のような変化を必然的に招く」と語り、ともに政治面での中国の民主化の実現をうたったことが記されている。

日本でも支持されているのが「激変シナリオ」。中国の貧富の差や社会不安の増大など内部の諸問題のために、やがては経済的崩壊や共産党体制の崩壊など激変が起きる、という予測。人民解放軍による反乱や一般民衆による革命という可能性までが含まれる。

マン氏は米国での中国の将来をめぐる議論はもっぱらこれら2種のシナリオを基礎に展開されるが、現実にはそのいずれも実現の見通しはきわめて少なく、最も確率が高いのは「第3のシナリオ」だとしている。

このシナリオに従えば、中国の経済の自由化や高度成長はなお進むが、その一方、現在の政治システムは不変で、言論や結社の自由もなく、一般的選挙も実施されず、共産党の一党独裁がこのまま30年から50年もの長期の見通しで保たれる、という予測。

マン氏は中国での共産党に対抗する政治勢力が存在しないこと。共産党の統治の効率が優れていること、人民解放軍の反政府勢力粉砕の能力の高いこと、一般中国人の民主主義への姿勢などを理由にあげ、この「第3のシナリオ」が実現する公算が圧倒的に大きいと主張する。
 
そのうえでマン氏は米国がこの見通しを基礎に中国への対処を政策として固めていくべきだと論じている。これを紹介した古森記者は意見を挟んでいないが、「どの見方をするにしろ、ワンパターンでは見るなよ」と言っているように思う。   2007/03/08
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