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屋山太郎氏の苦言 古沢襄
旧友の屋山太郎氏がベランメー調で活躍している。三十数年も昔の話だがローマ特派員から帰国した屋山氏とは同じ派閥担当で夜討ちに明け暮れた。同じ仲間だったのが秋田弁丸出しの渡部亮次郎氏。談論風発、辛口なんて大人しいものではない。鼻っぱしが強くて向かうところ敵なし。

お互いに古希を過ぎたが四十歳台の血気盛んな気風は少しも変わらない。屋山氏は政治評論家、渡部氏は外相秘書官になって途中下車したが、私だけはマスコミ電車から下り損なって役員となり、労働組合とのチャンバラ劇を八年もやった。途中下車する踏ん切りがつかなかったのである。

渡部氏が主宰する”頂門の一針”に屋山氏の「小沢民主党代表への苦言」が出ている。産経新聞【正論】(平成18(2006)年11月28日)から転載したものだ。昔の誼(よしみ)で杜父魚ブログにも転載させて頂く。まさに正論、趣旨に賛同するからだ。

           党首の座に甘んじる“大変節”か

≪不可解な沖縄県知事選≫
民主党を率いる小沢一郎代表の行動はまさに不可解なものである。1993年、政治改革、選挙制度の改革を唱えて自民党を割って以来、小沢氏が目指してきたものは政権交代可能な政界再編だった。

そのために小選挙区制度を導入し、二大政党制を志向した。自民党に対抗する新進党を結成したが、寄り合い所帯では政権をとるに足る政党に熟成させるのは無理と判断したのだろう。

新進党を解党して自由党を結成し、自民党と連立をすることによって、自らの改革案を実現させた。政府委員の廃止、副大臣・政務官の創設は官僚内閣制の根本を変える改革だった。衆院の比例選出定員20人の削減も二大政党制に一歩近づく戦略だった。ここまでの小沢氏の行動は理解できたし、十分意味のあるものだった。

しかし、民主党と合併し代表となり、9月無投票で再選されてからの小沢氏の行動はただの壊し屋ではないのか。一方の小泉純一郎氏の壊し屋は自民党の利権構造をぶっ壊し、保守政治に新しい局面を開いたが、小沢氏は何を狙って壊そうとしているのか。

民主党を乗っ取って民主党を壊そうとしているとしか思えない。その不可解な行動を象徴したのが沖縄の知事選挙である。日米安保条約に反対し、沖縄からすべての基地を追い出せという糸数慶子氏をかついで全野党共闘を展開した。

≪民主党に2つの不信感≫
このことは民主党に大きな2つの不信感を抱かせた。ひとつは民主党の安保・外交政策に対する不信感だ。かりに糸数氏が当選し、基地問題の処理にとりかかる時、民主党は無政府主義的な糸数路線を本気で支持するのか。

少なくともかついだ以上、抑えに回ることはできまい。共産党と共闘するという“奇手”はそもそも禁じ手だが、最低限政策協定を結ぶ手順は不可欠だった。これは自社さ政権以上の野合だ。

2つ目の疑問は知事選や来年の参院選に向けて対決姿勢を打ち出すために、審議拒否戦術に出たことだ。その標的となった教育基本法改正案については、民主党も独自の「新教育基本法案」を提出している。

基本法の必要性を認めながら、かつ十分な審議を尽くしたとみられるのに、知事選を有利に導こうとして審議拒否に出た。目的のために手段を選ばないのは政党の品格を貶(おとし)めるだけだ。

小沢氏は来年の参院選挙に勝つという一点のみで全面対決路線を突き進もうとしたようだが、時局を読み誤っているとしか思えない。政党支持率のどの調査をみても自民党の支持率は民主党の3倍から4倍ある。これは、かつて4〜5割にもなった自民党離れの無党派層が自民党に回帰しているからだ。

≪「官公労に依存」の変節≫
小泉政権以前の自民党が抱える問題は金権腐敗と利権漁りだが、この腐敗臭が消えたから無党派層の多くは自民党にもどった。一方、小泉政権以前以後を通じて民主党が抱える問題は連合の中の官公労への依存である。

教育の現場にいじめがはびこり、学力が極端に落ちた真の原因は、日教組が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)したからだ。基本法の「不当な支配」(第10条)の解釈をねじ曲げて、教員が文部科学省の「指導要領」までを「不当な支配」と断じ、職員会議を最高の議決機関として学校運営まで牛耳ってきた。

岐阜県職員による17億円の裏金、大阪市職員によるまさに税金泥棒のごとき所業、8日間勤めて5年分の給料を払わせていた奈良市の職員−。自治労はこういう不祥事に組合としてとるべき責任をとったのか。

小沢氏は参院選を目指して旧社会党の横路孝弘氏の片腕といわれる鉢呂吉雄氏を選挙対策委員長に、参院をとりしきる議員会長に日教組のボス、輿石東氏を当て、政権戦略委員会委員長に旧社会党系のナンバー3、赤松広隆氏を据えている。党の金を仕切る財務委員長は側近の山岡賢次氏だ。

要するに小沢氏は金を握って、旧社会党なかんづく官公労を手足に使って選挙を乗り切ろうとしているわけだ。国民が敵視している日教組と自治労が前面に出て選挙に勝てるわけがなかろう。

かつて小沢氏は常に天下をとろうと考えていたから、天下をとった時に困るようなことはしなかった。それが国民投票法を流し、防衛庁の省昇格、教育基本法まで流そうとしている。

小沢氏は代表再選に当たって深刻な健康問題に直面した。肉体的にも小沢氏が天下をとるのは不可能だ。これを悟って民主党代表の座で甘んじるという“大変節”を遂げたのではないか。自社体制の社会党委員長並みの発想だ。
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